August 17, 2011 / 6:16 AM / in 8 years

独仏首脳会談では市場の不安拭えず、金融取引税にも警戒感

 [東京 17日 ロイター] 独仏首脳会談では市場の不安は拭えず、午前の東京市場は株安・債券高となっている。薄商いながらリスク回避の動きが優勢だ。

 8月17日、独仏首脳会談では市場の不安は拭えず、午前の東京市場は株安・債券高となっている。写真はサルコジ仏大統領(左)とメルケル独首相。16日撮影(2011年 ロイター/Philippe Wojazer)

首脳会談は、財政赤字の上限設定や年2回の首脳会議開催などを含むユーロ圏の統合に向けた広範な対策で合意したが、市場が期待するユーロ圏共同債や欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模拡大には踏み込まなかった。金融取引税の導入やユーロ圏景気減速への警戒感も強

く、慎重ムードが続いている。

 <投資家の慎重ムード続く、金融取引税には警戒感> 

 ユーロ圏共同債は首脳会談の議題にならないとの見方が事前に広まっていたことから、失望までには至らなかったが、合意内容は市場のポジティブな反応を引き出すことはできなかった。ユーロ圏の一段と緊密な統合で具体案が示されたものの、「市場としては、最低でも一定の前向きな動きや具体的な何かが明らかになると期待していた」(カンター・フィッツジェラルドの米国市場ストラテジスト、マーク・パド氏)という。

 市場はユーロ共同債について、財政政策の一体化を図り債務危機を回避するうえで有効な手段とみており、期待感も大きい。ただ、異なる経済事情を持つ国々が金融政策だけでなく財政政策も一体化するのは簡単ではない。また「北欧の方では多文化主義の失敗などが叫ばれているが、共同債はこうした流れに少し逆行しており、二大大国と言えども、そう簡単には踏み込めないのだろう」(SMBC日興証券・シニア債券為替ストラテジストの野地慎氏)との指摘もある。

 金融マーケットは前週の波乱が過ぎ、小康状態となっているが、「投資家心理は警戒モードで変わらず。株価は近々直近の安値を試すと見る向きが少なくない」(外資系証券トレーダー)と、市場では引き続き弱気な声が多い。「異なる国がユーロという統一通貨を導入するという壮大な実験がきしみを生じながら、中途半端な対応しかできていないことが、欧州金融株の売りが止まらない要因だ」(マネックス証券チーフ・エコノミストの村上尚己氏)という。

 欧州経済のけん引役ドイツの第2・四半期実質国内総生産(GDP)が前期比0.1%増とほぼ横ばいで、ユーロ圏の成長率は同0.2%に減速。欧州・米国・アジアと連鎖的に経済が減速する危険があり、夏季休暇で薄商いとはいえ、警戒感は払しょくされていない。

 また首脳会談で、金融取引税の導入が提案がされたことに警戒感を示す声も出ている。会談では、仏独両国の財務相が、9月に欧州連合(EU)レベルの金融取引税に関する共同提案を取りまとめることで合意した。大和住銀投信投資顧問シニアファンドマネージャーの奥原健夫氏は「財政面で無い袖を振れないため、苦肉の策だろうが、金融取引税は民間部門への負債付け替えであり、市場が最も嫌う政策である。実現すればリスク資産の圧縮を招き、市場心理を一段と悪化させる可能性も否定できない」と述べている。

 午前の日経平均は反落。一時、9000円割れ目前まで下落した。薄商いだが、欧米経済減速や円高への懸念から主力輸出株に小口の売りが出た。一方でソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)関連など、内需系中小型株を個人投資家などが物色している。

 eワラント証券トレーディング部ヴァイスプレジデントの堤壮一郎氏は「市場は依然、ソブリンの信用力に対して神経質になっている。S&Pによる米国債格付けの引き下げをめぐり、米証券取引委員会(SEC)が調査中と報じられている。仮にS&Pの誤りが指摘されれば、日経平均は9500円程度まで回復しても不思議ではない。一方、フランスが格下げされるような事態になればグローバルデフレの懸念が広がり、株価は下値模索の展開になる」と述べている。

 <外為市場ではスイスフラン高対策に注目>

 独仏首脳会談が期待外れに終わり、外為市場ではユーロが軟調。CTA(商品投資顧問業者)がユーロ/円のロングポジションを手仕舞ったことで、ユーロ/円は110円前半まで下押しした。きょうにも発表されるとみられるスイス国立銀行(中央銀行、SNB)の大胆なスイスフラン高対策に、市場は関心を注いでいる。

 市場では「スイスフランキャリーのポジションを持っている向きは、アンワインドさせられている。ただ、全般は結果を待って様子見だ。対策への期待があるだけに、何も出ないと失望感からスイスフラン買いになる可能性がある」(国内銀行)との声が出ていた。 

 ドルは76円後半で上値の重い動き。夏季休暇明けの実需勢の動向が注目されたものの、仲値はわずかなドル不足となり、実需の影響は限定的だった。ただ、「79円後半から80円にかけての実需のドル売り予約は日ごとに増えていて、潜在的なドル安要因」(邦銀)だという。

 海外ファンド勢の一部は、8月26日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれる恒例の経済・金融会合で、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的緩和第3弾を示唆する可能性に賭け、ドル売りポジションを、主にオプションで構築中だという。

 <金利低下予想強まる>

 円債市場ではグローバルな景気悪化懸念が広がる中で、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和姿勢が鮮明となり、金利低下圧力が強まるとの見方が多くなっている。

 みずほインベスターズ証券・チーフマーケットエコノミストの落合昂二氏は欧州経済について「優良国の成長率が期待に届かず、ユーロ圏の景気先行き懸念は相当高まった印象だ。今後の各市場は懸念を増幅させる動きにならないとも限らない。さらに、マーケットはECBの利下げを深く織り込むことになるだろう。年内に利下げが実施される可能性も、否定できなくなってきた」と述べている。

 午前の国債先物は続伸。もっとも、前日の米債高を受け買いが優勢となったものの、積極的な手掛かり材料に欠ける中で値幅は9銭にとどまった。お盆休みモード継続で商いも膨らまず、出来高は7000億円に届かなかった。

 現物債は長期・超長期ゾーンしっかり。複数の市場参加者によると、10年ゾーンは官庁系の買いで需給が引き締まっており、きょうもこの状況が続いているという。「長いところから、手前にきている投資家もいるようだ」(外国金融機関)との声もあった。

 (ロイターニュース 伊賀大記;編集 田中志保)

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