August 22, 2011 / 8:22 AM / 8 years ago

「ETN」が日本初上場、アジア唯一の本格市場に向けた期待と課題

 [東京 22日 ロイター] ETN(Exchange Traded Note)が23日、日本で初めて東京証券取引所に上場する。これまでアジアで「ETN」が上場したのはシンガポールの1本のみ。このため本格的な「ETN」市場が日本で発展するチャンスだ。

 8月22日、ETN(Exchange Traded Note)が23日、日本で初めて東京証券取引所に上場する。写真は東京証券取引所。19日撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 「ETN」は構造上トラッキングエラーが出ない利点があるほか、保有することでレバレッジをかけたりショートポジションの構築が可能だ。ただし債券であるため、発行体の「クレジットリスク」が常に存在する。市場に根付かせるためには認知度を高めることに加え、銘柄の十分な確保という課題もクリアしなくてはならない。

<世界の「ETF」市場規模に占める「ETN」、まだ約1%>

 1993年に誕生した「ETF」の市場規模は6月末時点で1兆4400億ドル超。これに対して、06年誕生の「ETN」の残高は約1%の150億ドル超にとどまる。両者の決定的な違いは、「ETF」が現物資産の裏付けのある商品であるのに対して、「ETN」にはそれがない点。ETFは長い期間をかけ、豊富な選択肢と認知度の高まりを背景に、急速に残高を伸ばし背景がある。「ETF」に慣れてきた投資家が「ETN」をすぐに受け入れられるのかどうかは未知数だ。しかし海外の「VIX指数」を対象にした「ETN」には、1週間に残高の4倍の取引がある活況な銘柄もあり、東京市場関係者の期待は高い。

<個人と機関投資家 それぞれのメリット>

 「ETN」は、株価指数や商品価格、新興国市場や通貨、金利、ボラティリティ、投資戦略など「特定の指標のリターンに連動することを保証する債券」で、裏付けとする資産を必要としない。このため外国人に対して投資規制が存在する国の株式や、現物を保有することが困難なコモディティなどへの投資を可能にする利点がある。発行体の金融機関は対象指数と「ETN」の価格が「連動するよう保証」するため、償還価格と対象指数の間のずれ(トラッキングエラー)も理論上発生しない。

 個人投資家にとっては、株式と同様に投資ができ、証券会社の特定口座でも扱え、税制上も株式と同じ証券税制が適用されるというメリットがある。

 機関投資家にとっては、自社にないアセットクラスに投資する際に使うというメリットがあるという。ある国内投信は「新興国や通貨への投資では、一部活用が可能かもしれない。投信よりも投資顧問の方がETNの特性を活かしやすいかもしれない」と話す。東京証券取引所の上場推進部、調査役の内藤友則氏は、機関投資家が利用するメリットについて「ETNはレバレッジやショートポジションがつくれる商品。提供する意義は高い」と語る。

<ETNに潜むリスク>

 しかしながら「ETN」は「Note(債券)」であることによるリスクが存在する。金融機関がその信用力をもとに、価格が特定の指標に連動することを保証する債券であるため常に発行体の「クレジットリスク」が存在する。裏付けとなる現物資産を持たない「ETN」は、発行体の倒産や財務状況の悪化等で価格が下落したり、価値がゼロになるリスクを秘めている。

 この点に関連して、市場では「今回はバークレイズ・バンク・ピーエルシーと個々の企業のクレジットリスクの、どちらを取るのか、ということになるが、上場基準のハードルは高めにしていると聞いている。あとは投資家の好みの問題だ」(国内証券)との声が聞かれた。

<まずは9銘柄、課題は品ぞろえ>

 国内初の「ETN」は、バークレイズ「iPathシリーズ」のボラティリティ指数(S&P500VIX指数=恐怖指数)とコモディティ指数群の計9銘柄。

 バークレイズ・キャピタル証券のマネージング・デイレクターで、インベスター・ソリューション本部長の石橋泰寛氏は「今後もETFでは組成しにくいが投資家ニーズの高いものや、ETNで組成すると便利なものなどを商品化することで、ETFを補完し投資家の選択肢を整えていきたい。日本の投資家にニーズを反映した、オリジナルのものも出していきたい」としている。

 東証の内藤氏は「銘柄数という意味では、そう遠くない将来にETFに並ぶのではないか。日本の投資家ニーズを踏まえた商品化が組成業者の腕の見せ所になる」と品揃えに期待する。アジアで唯一の本格的ETN市場をつくるためには、「ETN」の認知度を高めると同時に、銘柄数の早急な充実が欠かせないとみられている。

 (ロイターニュース 岩崎 成子;編集 宮崎 大)

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