August 24, 2011 / 12:36 AM / 8 years ago

ムーディーズ、日本国債を格下げ:識者はこうみる

 [東京 24日 ロイター] ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に引き下げたと発表した。見通しは安定的に変更した。

 8月24日、ムーディーズが、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に引き下げたと発表した。写真は都内の株価ボード。9日撮影(2011年 ロイター/Issei Kato)

 今回の格下げは、多額の財政赤字と、2009年の世界的な景気後退以降の政府債務の増加を受けたもの。債務残高の対GDP比上昇の抑制を困難にしているいくつかの要因があることが、今回の格付アクションの根拠となった。

 市場関係者のコメントは以下の通り。

●安全通貨としての円の位置づけ変わらず

 <三菱東京UFJ銀行アナリスト、井野鉄兵氏>

 ムーディーズが日本国債を格下げしたが、為替への影響は限定的とみている。同社は、5月に格下げ方向で見直すことを明らかにしており、格下げは想定内。むしろ、日本政府格付けの見通しが安定的に変更されたことが印象的だ。

 格下げといってもまだダブルAクラスであり、日本国債が日本国内で消化可能という事情もある。直ちに日本国債売りにつながるとは考えにくく、安全通貨としての円の位置づけにも大きな変化は出ないだろう。

●見通し変更は、むしろ好感

 <RBS証券 チーフ債券ストラテジスト 福永顕人氏>

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に引き下げる一方、見通しについては安定的に変更した。1ノッチの引き下げは事前予想通りでサプライズはない。むしろネガティブにとどまるとみられていた見通しが安定的になっており、それが好感される面もあるのではないか。

 前原誠司前外相の民主党代表選出馬表明で、今後の増税へ向けた議論が一層不透明となったことが、長い年限の金利上昇圧力となっている。だが、需給バランスが急変するかどうかには懐疑的だ。財務省は25日に利付20年物国債の入札を予定しているが、事前調整が進めば無難に通過すると予想する。

●見通し安定的への変更で安心感

 <岡三証券 日本株情報グループ長 石黒英之氏>

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に引き下げたと発表した。ただ市場では来週の民主党代表選までには国債格下げがあると想定されていたため、特段サプライズはない。むしろ見通しを安定的に変更し、機関投資家からの売りが出始めるシングルAへの格下げの可能性が低くなったことが安心感につながりやすい。

 国債格下げによる日本株への影響は限定的だろう。世界的な金融不安に対する警戒感を背景に引き続き戻り売りが出やすく、政策対応待ちの状態が続くとみている。

●市場はある程度織り込み済み

 <SMBC日興証券 チーフ債券ストラテジスト 野村真司氏>

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、日本政府の自国通貨建て・外貨建て債務格付けをAa2からAa3に引き下げたと発表したが、マーケットはある程度織り込んでいると思われる。格下げそのものに違和感はない。今回の格下げは、基本的に財政再建路線の見通しがたっていないことが背景にある。税と社会保障の一体改革の法制化のメドがたたず、復興基本計画の中でも増税という言葉は出ていない。民主党の中で増税反対が多く、財政再建に前向きだった野田佳彦財務相もトーンダウンしてきている。

 きょうの円債の軟調地合いは、格下げによる面よりは、民主党代表選への不透明感、高値警戒感、20年債入札を控えての調整といった要因で、足元の上値が重くなっている感じだ。

●クレジットスプレッドへの影響は限定的

 <トヨタアセットマネジメント 投資戦略部 チーフストラテジスト 濱崎優氏>

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本政府国債を格下げしたが、すでに格下げ方向での見直し中だったため、その時点で政府関係債などを含めて格下げを織り込んでいた。今回の格下げで、大きな影響は出ないとみている。クレジットスプレッドへの影響も限定的で、ワイド化は見込みにくい。

 ただ、今後の財政運営によって厳しい見方が出てくれば、再び格下げ圧力にさらされる可能性もある。

●新政権の政策運営けん制、市場混乱に配慮も

 <野村証券 チーフ・クレジット・ストラテジスト 魚本敏宏氏>

 市場は、ムーディーズによる日本国債格下げを織り込んでいたが、新首相の財政運営を確認してから格付け判断に踏み切るとみていただけに、タイミングがやや早かった印象だ。ムーディーズの立場からは、事前に格下げを発表することで、新政権の政策運営に対してけん制するとともに、財政規律の劣化に歯止めをかけたいという狙いがあったのではないか。

 格付けの見通しをネガティブから安定的にした。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国格下げ後に株価が急落したように、市場を過度に混乱させたくないという一定の配慮も感じられる。

 2014年ごろには、家計の純貯蓄と政府の借入残高がほぼ均衡する。少子高齢化が進展する中で、貯蓄の取り崩しが生じるため、銀行の国債購入原資が減少に転じる可能性がある。現在、国内資金を中心に消化されている日本国債が近い将来に海外資金に依存せざるを得なくなることは、市場の共通認識。財政規律に向けて、歳出抑制および増税を含めた財源確保は避けて通れない。安定的となった格付け見通しを楽観的にとらえることはできない。むしろ、ダウンサイドリスクはくすぶり続けるのではないか。

 今後はソブリンと連動性が高い金融セクター、内需系セクターを中心に格付けの下方圧力がかかることは否定できない。日本ソブリンCDSは朝方の取引で反応は限定的だったが、今後はじりじりとワイド化圧力がかかるのではないか。

*内容を追加して再送します。

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