August 29, 2011 / 6:33 AM / 8 years ago

民主党新代表に野田財務相:識者はこうみる

 [東京 29日 ロイター] 民主党は29日、菅直人首相の後任を選ぶ党代表選を実施し、決選投票で野田佳彦氏が新代表に選出された。

 8月29日、民主党は菅首相の後任を選ぶ党代表選を実施し、決選投票で野田佳彦氏が新代表に選出された。写真は決戦投票を終え、海江田氏(右)と握手する野田氏(2011年 ロイター/Toru Hanai)

 新代表の任期は菅代表の残り任期である来年9月まで。30日にも国会で新首相に選出される見通し。市場では財政健全化への取り組みに期待が集まる半面、増税路線を嫌気する見方も出ている。

 市場関係者の見方は以下の通り。

●日銀も汗かくことは必至、財政規律重視も調整型の対応

 <SMBC日興証券 チーフマーケットエコノミスト 岩下真理氏>

 日銀への緩和圧力はどの候補も言及していたが、野田新代表なら一番マイルドで日銀もほっとしていると思う。ただ「皆で汗をかく」ということは、日銀も当然汗をかくことになるだろうし、執行部や財務相の顔ぶれ次第では圧力は強まる可能性もある。日銀との意思疎通という意味では、これまで財務相として一緒にやってきており、スムーズにいくと期待している。

 財政規律については、最も財務省よりながらも、成長とのバランスをとりながら、調整型の対応をすると思う。復興増税も、妥協点を探りながら実施するだろう。

 ただし、日本国債の格下げは米国債格下げとは全く異なるレベル感。数字的な目標は示さないといけなくなるだろう。

●為替市場は材料視せず、円高歯止めに期待

 <みずほ証券 FXストラテジスト 鈴木健吾氏>

 財務大臣の直近の経験者で、為替介入をした実績もあり、円高の歯止めになることが期待される。しかし為替相場は今のところ材料視していない。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を受けてか、全般的にドル売りの地合いが強く、ドル/円は上値が重い。ユーロや豪ドルもドルに対して上昇している。ニューヨーク市場が議長講演の内容を消化しきれていない可能性があり、今夜のニューヨークの反応をもう一度見たい。

●無難な結果、株売りも短期的な動き

 <カブドットコム証券 マーケットアナリスト 山田勉氏>

 民主党新代表が野田氏となったことは一番サプライズがなく、無難な結果だといえる。小沢氏を中心とした反主流派が巻き返した場合には今ままでの与野党合意がひっくり返る可能性があったため、(主流派である)野田氏に決定しひと安心というところだ。今後の焦点は第3次補正予算案の成立だが、野党との対話も可能な野田氏ならスムーズに決定するのではないか。野田氏は財政規律を重視しているが、すぐに復興増税に踏み切ることはないだろう。野田氏の選出を機にマーケットでは債先買い・株先売りの動きが一部でみられたが、イベントドリブン型の短期的な取引とみている。

●組閣にパワー・バランス必要か

 <みずほインベスターズ証券 チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏>

 民主党代表選は決選投票となり、野田佳彦氏が新代表に選出された。決選投票になった段階で、財政再建路線に前向きとされる野田氏有利の見方が高まったことで、債券相場は強含みとなった。ただ、先週ぐらいから、野田氏は増税色を後退させていた。今後財政再建路線を出せるか不透明な面がある。3次補正に関して、増税か、もしくは妥協案なのか、多くの意見を尊重してバランスを取る必要が出てきており、即断はできないと思われる。これからの組閣にもパワー・バランスが必要になると思われる。

●財政再建路線で金利上昇抑制、クレジットスプレッドの安定要因に

 <三井住友海上きらめき生命保険 経理財務部部長 堀川真一氏>

 民主党新代表に野田氏が決まったが、財政再建に向けた取り組みを推し進めるというイメージがかなり強く、債券市場にとって金利上昇を抑制するとの期待感が強まりそうだ。代表選では復興増税をただ一人明確に主張していたので、財政再建に一番理解があり、意欲もあると受け止められる。金利の上昇を抑える政策を取れば、クレジットスプレッドの安定要因に働くとみられる。

 財務省と日銀の関係も良好。国債の引受を日銀に強いらせたり、インフレ目標という話もしていない。野党との関係においても問題ないのではないか。マニフェスト(政権公約)の主要政策の見直しを盛った自民党・公明党の3党合意を順守し、厳しいねじれ国会に臨む考えを明らかにしている。

●親小沢体制よりは良い選択

 <大和証券 投資情報部長 多田羅信氏>

 野田氏は増税論者とみられているが、拙速に増税に踏み切れる経済状況ではない。まずは第3次補正予算の成立など政策の進展に期待したい。民主党内の調和など難しい運営を迫られるが、海江田氏が選任され親小沢体制で固められることを考えれば、悪くない選択だろう。マーケットへの影響はニュートラルとみている。

●財務省と一体で日銀に無理ない圧力か

 <JPモルガン証券 シニアエコノミスト 足立正道氏>

 民主党政権で2年近く財務省とぴったりと行動していた野田氏が新代表に選出されたことで、財務省が推進してきた政策はスムーズに受け継がれるだろう。円高・デフレ対策では財務省とともに日銀に対して圧力をかけてくるだろうが、「国債引き受け」のような無茶な要求はないと考えられ、日銀も応じる形になるだろう。

●民主はトロイカ体制終えん、2013年に衆参同日選の可能性

 <政治評論家 屋山太郎氏>

 民主党新代表は野田佳彦財務相か前原誠司前外相のどちらかだと予想していた。前原氏の得票数が伸びなかったのは外国人の献金問題が要因だろう。また、前原氏は復興増税や大連立などに前向きだったが、逆に野田氏は大連立を部分連合とするなどトーンダウンした印象を受ける。野田氏の場合、政策的には財務省に取り込まれていると当初は感じたが、増税ありきのトーンが代表選が近づくにつれ変わったのではないか。これは前原氏出馬の効果だと思う。前原氏が出馬せず最初から野田氏支持に回っていたら、増税路線に突っ走るところだった。

 一方、海江田万里経済産業相の得票数に関しては、もっと手を回して増やすかと思っていたが想定通りだったといえる。これはトロイカ体制の終えんを意味する。今回の代表選も小沢一郎元代表と鳩山由紀夫前首相が牛耳っているような印象を与えた。民主党内には「クリーンな政治」というキャッチフレーズを使えなくなったことを悔やむ議員がかなり多い。だが、(海江田氏が票を上積みできなかったことをみても)小沢氏が裏で操る政治はもう終わったと思う。野田氏が代表選終了後のスピーチで「ノーサイドにしよう」と述べたが、代表選で顕在化した「小沢対反小沢」の亀裂は修正されるのではないか。

 これまではいつ解散があってもおかしくない情勢だったので、解散・総選挙を念頭に置くなら票は前原氏に流れると思ったが、そうはならなかった。野田氏ははったりを言ったりせずオーソドックスに、そして地道に諸課題に取り組むと思う。このため解散・総選挙は後ズレし2013年に参院とのダブル選挙になるだろう。

*内容を追加して再送します。

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