September 2, 2011 / 2:32 AM / 8 years ago

野田新内閣の財務相に安住氏:識者はこうみる

 [東京 2日 ロイター] 野田新内閣の閣僚人事で2日、財務相に安住淳・民主党前国会対策委員長の起用が決まった。識者の見方は以下の通り。

 9月2日、野田新内閣の閣僚人事で、財務相に安住民主党前国会対策委員長(写真)の就任が決まった(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

●スタンスわからず市場は反応しにくい

 <みずほ証券 エクイティストラテジスト 瀬川 剛氏>

 財務相や外務相などの主要閣僚の人事報道をみていると「党内融和」を前面に出しており、これまでの経験や専門知識などとはあまり関係ない新内閣の布陣という印象が強い。マーケットでは実際の行政運営に不安が強くなる可能性がある。財務相に内定したと報じられている安住淳民主党前国対委員長の経済政策スタンスもわからないので、市場は反応しにくい。

●為替や財政政策の発言履歴なく白紙、第一印象が重要

 <外為どっとコム総合研究所 社長 植野大作氏>

 財務相人事は債券市場では財政政策、為替市場では介入政策に注目しているが、そうした政策について発言履歴がほとんどない。各市場にとっては白紙の人なので、最初の印象がとても重要。民主党政権の歴代財務相を見ると、鳩山政権下の藤井裕久氏は円高希望発言をして、その後にいくら修正しても、この人は円高が嫌いではない人という印象がぬぐえなかった。一方、菅直人氏は財務相就任直後に円安希望発言をして、円高が嫌いなんだなという印象が強かった。そうした記憶の残像はどうしても残ってしまう。安住淳氏は海外のヘッジファンドなどにとってはニューステロップで「Azumi」と流れても、「Who?」という反応だろう。就任後の数日、数週間で安住氏が何を語り、何を行うかが大切になる。

 常識的に考えて、野田佳彦新首相が財務相を任命するときに、自分がこれまでやってきた政策を反故にするような人を任命するとは思えない。現状を踏襲かするかどうか、事前に面談ぐらいはして任命すると思う。とはいえ、介入を現場で指揮するのは安住氏なので、第一印象がどうなるかが注目される。

●不用意な発言で相場が振れるリスクも

 <野村証券 シニア・エコノミスト 吉本元氏>

 特別にアクの強い人物ではなく、霞が関と対立することはないだろう。すぐに増税に結びつくかどうかは別として、財務省の意向が通りやすくなるとみている。ただ、閣僚経験がなく財政分野に通じているわけでもない。為替介入などに関して不慣れなため、不用意な発言をして相場が振れるリスクはある。揚げ足を取られる可能性もあり、その点が心配だ。

●びっくり、増税路線に反対しない人を選んだ

 <みんなの党 政調会長 浅尾慶一郎氏>

 びっくりした。野田佳彦首相は増税路線に反対しない人を選んだのだろう。(財政・金融などにあまり関与した経験のないとみられる安住氏の財務相就任は)なかなか大変だろうと思う。今後は新政権が成長戦略に乗り出すのか、あるいは増税路線を進めるのか(国会論戦などを通じて)質していきたい。

●「無色透明」という印象

 <みずほインベスターズ証券 チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏>

 財政・金融などに関連した役割の経験は今までないのではないか。その意味では「無色透明」という印象を受ける。だからこそ 野田佳彦新首相が選んだのかもしれないと思っている。野田新首相は財務相を経験した後に首相になった。政治的には財政再建を打ち出していく方向にある。「癖(くせ)のある財務大臣」だとやり難くなる面があったのではないか。したがって、色のない人を選んだとも取れる。今後は、経済財政担当相とうまく噛み合うか注目される。

 相場への影響は今はない。実際に政策の方向性が出て、初めてマーケットが評価することになり、今はその段階ではない。

●経済・財政運営に対する印象薄い

 <SMBC日興証券 チーフ債券ストラテジスト 野村真司氏>

 ポスト的には党務が多く、政策面でのイメージは薄い。事前報道にあった岡田克也民主党前幹事長に比べて経済・財政運営に対する印象があまりなく、マーケットも反応しづらいのではないか。今回は幹事長人事が最大の肝だったので、マーケットインパクトという意味では、閣僚人事よりも幹事長人事の方が大きかった。今後の手腕を見極めたい。

●経済・財政運営に大きな変化はなさそう

 <JPモルガン証券 シニアエコノミスト 足立正道氏> 

 国対委員長として野党とのパイプがあり、2011年度第3次補正予算や12年度予算の策定にはよいのではないか。経済・財政運営に大きな変化はなさそうだ。

●大胆な財政再建は困難に、増税は先送り見通し

 <みずほ証券 シニアエコノミスト 飯塚尚己氏>

 安住氏も含め内閣全体が若手・中堅の実力者ばかりとなり、軽量級という印象は免れない。財政再建は不可能とみている。与野党に増税への警戒感が強く、実際、経済状況はダウンサイドリスクが高い。野田首相の党内基盤が弱いこともある。12年度の復興増税実施や社会保障のための消費増税の税制法案を年内に仕上げることは無理だろう。岡田前幹事長が閣内に入らなかったことで、財政や外交の交渉力がかなり落ちたと思う。 

 日銀にとっては、極端に日銀に批判的な人物が経済閣僚に入らず、一安心ではないか。代表選ではどの候補も日銀に緩和を要請していたし、デフレは続くので、増税が実施されれば今後も緩和圧力は出てくるとは思う。しかし、今回の布陣により財政再建がそれほど進まなければ、増税規模の縮小や実施時期の遅れで景気下押し圧力は小さくなり、日銀への圧力要因は多少減った。

●野田首相の影響力が強く株式市場は中立的な反応

 <ドイツ証券チーフエクイティストラテジスト 神山直樹氏>

 安住淳前国対委員長の財務相就任に関して、現時点ではどう反応していいかわからない。野田佳彦前財務相が首相に就任するわけなので、野田首相が財務相時代にやってきたことを引き継ぐ形になるだろう。評価としてはとりあえずニュートラルだ。(安住氏に)重要ポストを与えたが、細かいところは野田首相が口を出すことになるとみている。株式市場は野田首相が財務相に対してかなり影響力を持つとの見方から(安住氏起用が)株式市場に影響を与えなかったということではないか。

 財務相の経済政策への関与が大きくなくなってきた状況で、新財務相は為替介入と税制でどこまで主導的な役割をするのか、税制に関しては古川元久元官房副長官が主導するのか注目する。野田首相と同じようなスタンスだとすれば官僚的な意味で責任はとるが、前のめりで目立ったことはしないとみている。さらに、政府税調がどう動くのか、あるいは国家戦略相が経済政策を運営するというもともとの方針に戻るのかもポイントだ。

 (安住氏が財政政策や金融政策などに関与した経験が乏しいとみられることについては)ひどく不安というより、経済政策のなかでどのぐらいの発言をしていくことになるのか様子をみないとわからない。ガイトナー米財務長官のように政策の中枢には座らないのではないか。(日米財務相会談などでは)単なるカウンターパートであって首相などの代理人になるのか、あるいは国家戦略相が経済政策の中心になるのかも注視したい。日本では内閣のメンバーが何かの専門家であることはもともと少なかった。

●経済環境悪化で財政再建より景気対策にシフトへ

 <クレディスイス証券 チーフエコノミスト 白川浩道氏>

 閣僚人事は、ややパワーダウンの印象だ。ただ、誰が財務相になっても今の経済環境では財政再建は無理だろう。世界経済は下手をするとリセッション入りする可能性がある。増税どころか景気対策にシフトすることになるだろう。財政を悪化させないような対策に知恵が問われる。復興国債の発行環境もあまりよくないため、第3次補正の規模も小さくなるだろう。

 景気対策では、円高への対処が肝心だが、これは世界経済の問題であり、もはや日銀の金融政策の出番ではない。金融緩和で量を出せばどうにかなるものではないことは皆わかっている。日銀も抵抗するだろう。 

●財務省に洗脳される可能性、予算成立手腕には期待

 <信州大学教授 真壁昭夫氏> 

 1、2度面識があるが人の良い方だ。ただ過去に財政に関して目立った発言はなくサプライズ人事。優秀でプレゼンテーション能力に長けた財務省の官僚に洗脳される可能性がある。もしかしたら野田首相がそれで構わないと思ったのかもしれない。

 野党とのパイプがあり2011年度補正予算や12年度予算の成立にはよいと期待。しかし海外経済の不透明要因が高まりつつあり、財政再建一辺倒では日本経済は持たない。そのあたりのバランス感覚をどの程度持っているのか期待と不安がある。

●見識乏しく期待できない、財務省の増税シナリオに乗るだけ

 <自民党衆院議員 山本幸三氏>

 安住淳氏の財務相就任に関し、財務・金融についてはまったくの素人だと思う。これまで委員会などで会ったことはなく、見識があるとも思えないので日銀や財務省をリードしていくことはできないだろう。(経済政策を主導していく)財務相としては期待できない。野田佳彦首相が財務相だった時と変わらない。日本はデフレ脱却や円高是正を進めなければならないのに、結局は財務省の増税シナリオに乗るだけだ。

●人柄は悪くないが実力は未知数

 <自民党衆院議員 平沢勝栄氏>

 (安住淳財務相とは民放テレビ番組などによく一緒に出演したが)人柄は悪くない。しかし、実力は未知数だ。国と地方の債務が膨張し日本の財政で危機的な問題を抱えているこのタイミングで、財政政策や金融政策などにあまり関与した経験のない安住氏が財務相に就任することは理解できない。要するに野田内閣は実力本位ではなく党内の勢力調整を優先しているのであり、実力本位などではない。その意味で軽量内閣と言える。

*内容をさらに追加して再送します。

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