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日系企業の生産・収益に打撃、洪水長期化なら日本経済下振れ必至

 10月25日、タイの洪水による日本経済への影響が懸念され始めている。バンコク北部で撮影(2011年 ロイター/Bazuki Muhammad)

 [東京 25日 ロイター] タイの洪水による日本経済への影響が懸念され始めている。多数の日本企業が進出している上、収益力の高い海外拠点であるため、洪水により生産停止や減産が長引けば、企業業績への下押し圧力は免れない。

 東日本大震災のショックから立ち直りつつある日本経済にとって、欧州金融不安や円高とともに大きなリスク要因としてのしかかりそうだ。

 SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストの試算によると、タイの洪水は日本の上場企業の経常利益を1.5%、純利益を3.9%減少させる見通し。固定資産の減損を含めた純利益ベースでは、特に自動車(輸送用機械)の減益幅が12.4%と大きく、電機や化学・医薬品もそれぞれ5.9%、1.7%と大きな減益になるもようだ。

 <操業停止1カ月でトヨタ230億円の減益、ホンダは来春まで影響との見方も>

 自動車業界のアナリストであるJPモルガン証券の高橋耕平氏は、洪水の影響がどれだけ長期化するか現時点では正確な予測が難しく、同業界への定量的な業績予想は控えるとしつつも、各メーカーの現地拠点が1カ月操業を停止した場合の影響を試算。営業利益でトヨタ自動車7203.Tは230億円、日産自動車7201.T63億円、ホンダ7267.T100億円の減益としている。 

 自動車業界関係者によると、東日本大震災の場合と異なり、タイでは代替の難しい部品は生産されておらず、日本国内など他の地域からの調達も可能。しかし、完成車の組み立て生産については、円高で国内生産を増やしにくいため、現地の生産停止をカバーするのが難しい。日系メーカーのなかでもホンダは洪水被害が大きく、本格操業は来春との見方も出ているという。

 一方、タイでツナ缶、冷凍食品製造など多数の関連会社を展開しているマルハニチロホールディングス1334.Tなど、被災地と離れたバンコク東部で展開している企業に影響はなく、進出地域が明暗を分けた。ただし自社拠点は無傷でも、自動車など顧客メーカーの減産で「間接的な影響が出る」(新日本製鉄5401.T)例もある。

 第一生命経済研究所の永浜利広・主席エコノミストは、「対外直接投資の収益を地域別にみると、2005年度から10年度にかけてタイからの収益は1.5倍拡大。豪州、中国に次いで収益性の高い進出先となっている」と指摘する。特に自動車業界での拡大が目立つという。タイでの生産活動停滞は日本企業の収益面で大きな影響を与える可能性が高く、1ドル70円台が定着しつつある円高や欧米経済減速とともに、2011年度下期の日本経済の下押し圧力となる懸念がでている。 

 (ロイターニュース 竹本能文;編集 北松克朗)

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