October 26, 2011 / 8:07 AM / 8 years ago

EU首脳会議後の株安・円高の連鎖警戒、イタリアに焦点

 [東京 26日 ロイター] ドイツからの再三の「冷や水」で26日の欧州連合(EU)首脳会議に対する「期待感」は小さくなっており、失望の可能性も低くなってきているが、マーケットの関心は政局不安が強まっているイタリアに移ってきた。

 10月16日、市場では、EU首脳会議で具体策が決まらず将来への期待感も維持できなければ、ドル安/円高と株安の連鎖が起きる可能性もあるとして警戒感は強い(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 経済規模がギリシャよりも格段に大きい同国だけに、債務問題が深刻化すれば、現在想定されている対応策では不十分になるおそれがある。首脳会議で具体策が決まらず将来への期待感も維持できなければ、ドル安/円高と株安の連鎖が起きる可能性もあるとして市場の警戒感は強い。

  <ユーロ圏最大の国債市場持つイタリアに政局不安> 

 イタリアはユーロ圏3位の経済大国。国内総生産(GDP)はギリシャの約7倍だ。ユーロ圏最大の国債市場を持ち、公的債務は1兆8000億ユーロにのぼる。GDP比では120%に相当し、先進国では日本(約200%)に次ぐ2番目の大きさになる。ECBの国債買い支えにもかかわらず、市場の標的となっているのは、同国が今後3年間に償還期限を迎える債務の借り換えで、約6000億ユーロの債券を発行する必要があるためだ。 

 財政再建策の策定が急務だが、24日の臨時閣議では、経済改革の柱となる年金支給開始年齢の引き上げに連立を組む北部同盟が反対し、合意がまとまらなかった。連立与党は25日、経済改革案で合意したが、北部同盟は依然として年金支給開始年齢の引き上げに反対しており、連立与党内に亀裂が生じている。北部同盟のボッシ党首は記者団に対し、EUの改革要求をめぐって政権が崩壊する可能性もあるとの見方を示した。ギリシャ問題は依然くすぶっているが、大国イタリアの迷走に市場では「焦点はイタリアに移ってきた」(外資系証券トレーダー)との声が強まってきている。

 EU首脳会議が危機対応策の前提としているのは、あくまでギリシャの債務問題だ。イタリア国債まで市場の売り対象となれば、銀行の資本はさらに悪化し、4400億ユーロ(6000億ドル)の欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)の機能強化では済まない可能性が大きい。25日のイタリア10年債利回りは前日比横ばいの5.96%。売りが加速する分岐点と言われる7%まで余裕はないだけに、市場の不安感は強まっている。

 日経平均は小反落。公的資金の買い観測に一時プラス圏に浮上したが、上値は重かった。東証1部売買代金は1兆円割れと商いは引き続き薄いものの、市場筋によると欧州マネーの売りが止まらないという。「リスクオフの売りはいったん止まっているが、債務問題がイタリアに飛び火すれば8000円台の維持すらも難しくなる。年金改革が難しいとすれば財政再建の他の柱を見つける必要があろう」(インベストラスト代表取締役の福永博之氏)。欧州債務問題の拡大はリスクオフによる株安と円高の連鎖を引き起こす可能性があるため、日本の輸出株への積極的な買いは鈍い。

  <依然として反発力弱いドル/円>

 オーバーナイトで再び史上最安値を更新したドル/円の反発力は依然弱く、東京時間に入っても76円付近をさまよっている。午前9時前から一部のファンド勢が介入期待でドルを買い持ちにしたことでドルは一時76.16円付近まで値を戻したが、9時過ぎても介入が実施されなかったため反落した。下値では輸入勢のドル買いが見られたものの、EU首脳会議を目前に東京勢は総じて様子見だという。

 安住淳財務相は26日午前の衆議院財務金融委員会で、現在の円高について、わが国の実体経済を反映していない、としたうえで「あらゆる措置を排除せずに必要な場合には断固たる措置を取る」と改めて表明したが、為替市場は反応薄だった。   

 住友信託銀行マーケット・ストラテジストの瀬良礼子氏は、1ドル=75円半ばくらいまで一気に円高が進むようなら介入の可能性が出てくるとみている。ただ、今のように緩やかな動きであれば、介入のタイミングを計るのが難しくなりそうだという。

 一方、野村証券チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏は「EU首脳会議の結果を受けて、金融市場に失望感と同様が広がれば、ドル/円の下値リスクが増幅されるだろう。ドル/円が現行水準から大幅に下落した後に介入を実施しても、現在輸出勢がドル売り目標とする77円後半から78円台までドルを押し戻せない確率が高まる」との見方を示している。

  <日銀の追加緩和期待で円債先物は大幅続伸>

 円高が急速に進めば、日銀も明日の金融政策決定会合で追加緩和に動くとの見方が市場では多くなっている。介入とのセットで一体感を演出する作戦に出る可能性もあるという。

 こうした期待感から国債先物は大幅続伸。前日の米債高など外部環境がポジティブなほか、日銀の追加緩和観測も支援。グローバルマクロと呼ばれる海外ファンドや、商品投資顧問業者(CTA)が先物取引で買いを入れたという。

 白川方明日銀総裁は26日午後、衆院財務金融委員会に出席し、「今夏以降ギリシャに端を発する国際金融危機のもとで国際金融市場の緊張が高まっている」と指摘した。ただ欧米市場で社債のプレミアムなどが上昇しているのに対して日本市場は「極めて安定」しているとしている。

 市場では「追加緩和に動くかはEU首脳会議を受けたマーケットの荒れ方次第」(大手証券トレーダー)との指摘が出ていた。

 SMBC日興証券チーフストラテジストの末澤豪謙氏は「投資家は26日の欧州首脳会議での欧州債務危機に対する包括策の決定内容待ちという状況で、決裂と収束の両方の可能性を天秤にかけているようだ。金利が上昇するにせよ、低下するにせよ、今晩の結果次第では、あす以降のレンジが大きく変わる可能性がある」と述べている。

 (ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎大)

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