October 28, 2011 / 10:28 AM / 8 years ago

国内債増加・株圧縮が減速、外債運用に変化も=生保11年度下期運用計画

 [東京 28日 ロイター] 2011年度の生命保険9社の運用計画は下期に入っても、国内債増加・株式減少という構図に変化はない。ただ国内債の積み増しや株式圧縮は上期でかなり進んでおり、下期の規模は少なくなる見通しだ。

 10月28日、11年度の生命保険9社の運用計画は下期に入っても国内債増加・株式減少という構図に変化はないが、国内債の積み増しや株式圧縮は上期でかなり進んでおり、下期の規模は少なくなる見通しだ。写真は昨年8月、都内で撮影(2011年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 また予想外に円高が進み、金利も上昇しなかったことで、外債などに若干の運用姿勢の変化が出ている。一方、欧州債務危機の深刻化を背景にユーロ建て資産を減らすとの声もあった。

 <国内債は2兆円程度の増加か>

 下期の国内債券積み増しは生保9社合計の公表されている分を合計すると約1兆0100億円、具体額を示していない会社も合わせると「約2兆円の積み増しが計画されていると推計される」(みずほ証券ファイナンシャルアナリストの祖父江康宏氏)という。ただ上期は約3兆円超積み増したとみられており、規模としては下期は小さくなる見通しだ。積み増しが順調に進んでいるほか、2012年3月期から新基準のソルベンシー規制が導入されるため、残高(分母)自体を増やしたくないとのインセンティブも今後働く可能性もある。

 明治安田生命はALM(資産・負債の総合管理)運用の中心となる円建て公社債について、4月時点では年度ベースで1兆円程度積み増す方針だったが、これを2兆円に引き上げた。ただ、上期段階ですでに計画の7割弱を達成していることから、下期の買い入れペースはスローダウンする。

 一方、世界的な利回り低下で、超長期債の金利も低下しているが、保険という長期商品の相対投資として生保の超長期債ニーズは依然高い。「超長期債を中心に20年債と30年債のバランスを考慮しながら運用する」(日本生命)。ただ各社ともこれまでの年限長期化でデュレーションは順調に伸びており、「長期金利が1%を割り込むような局面では債券残高の積み増しや、デュレーションのさらなる長期化は考えていない」(太陽生命)との声も出てきた。

 <株式圧縮もスピードダウン>

 株式は引き続き横ばい、もしくは減少とする生保が多い。「ソルベンシーマージンの規制強化やIFRS(国際会計基準)など会計ルールの変更などにあわせ、財務健全性の向上を図るために価格変動リスクを抑える必要がある。そのため国内の株式市場が回復したとしても、中期的な株式残高減少のスタンスを維持する見込みだ」(朝日生命)という。

 ただ株式残高の圧縮も進んだことから、売却スピードもやや鈍化し始めている。富国生命では、リーマン・ショック後から国内株式を継続して減らしてきており、08年度に簿価ベースで4600億円あった国内株式は10年度末には3300億円となっている。下期はここから更に200億円を売却し、3000億円程度になる見通しだ。ただ「ここからさらに落とす計画はない。これまでも少しずつ進めてきたが、今後は3000億円のポートフォリオの中で、成長産業などに銘柄入れ替えをやっていきたい」としている。 

 一方、日本生命のように横ばいから増加方針とする生保もあった。同社では、国内株は上期に700億円の増加させた。下期以降の日本株について復興需要や企業業績の回復期待で年度末に向け上昇基調を維持するとしている。「国内株式については、個別銘柄ごとに成長性や株主還元などの状況を、中長期のポートフォリオ収益向上の観点から見ながら取り組む」という。

 <予想外の円高進む、日経平均予想も下方修正>

 各金融市場は4月時点の予想とは異なり、円高が進行、株価や金利は伸びなかった。4月時点の日経平均の2012年3月末予想は1万円─1万1000円だったが、今回は9000円─1万0750円と1000円ほどレンジが切り下がった格好だ。

 為替予想も円高方向に修正され、4月時点の年度末予想は85円─90円と当時のドル/円水準の80円前半から比べると円安予想だったが、今回は75円─80円に修正された。春先は米国や欧州などでインフレ対応から金融引き締め傾向が強まる一方、日銀の金融緩和は継続されることから、内外金利差拡大からの円安を見込む声が多かったが、予想に反し世界経済の減速懸念から円高は対ドルで史上最高値を更新し75円台まで上昇している。

 金利予想も年度末1.3%─1.5%から1.0%─1.2%、と30ベーシス程度、切り下がっている。

 こうした相場状況が下期の運用方針に影響も与えており、「ヘッジ付き外債の魅力がある」(三井生命)との声も出てきた。ただ海外金利も低下し、ヘッジ付き外債のヘッジコストを引いた利回りは、日本の超長期国債と変わらないレベルになっていることもあり、投資妙味自体は低下しているのも事実。ユーロ圏の債務危機対策合意や景気悲観論の後退を背景にした最近の金利上昇がどこまで続くかが焦点だ。

 一方、オープン外債は円高予想を背景に需要は低下傾向にある。

 半面で、円高余地も小さくなってきたと読み、円安転換時には、円安のプラス分を取りに行くことも考えてヘッジ比率は現状を維持するという生保もあった。「円高リスクは若干あると思うが、ドル/円で70円を割って、あるいはユーロ/円が100円を割って更に円高が進むということは想定していない」(富国生命)という。

 ユーロ建て外債は各社とも圧縮する方向にある。第一生命では、7月末時点でイタリアとスペインの国債を約3000億円保有していたが、足元の10月時点で残高をさらに圧縮している。

 一方、日生では「ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインの国債は保有していない。イタリア国債は一定程度を保有しているが、市場に影響を与えるので今後の保有に関するスタンスは言えない」と述べている。

 (ロイターニュース 金融マーケットチーム;編集 佐々木美和)

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