October 31, 2011 / 9:03 AM / in 8 years

焦点:介入効果は一時的か、根強いQE3観測とドルの希薄化

 [東京 31日 ロイター] ドルは31日、政府・日銀によるドル買い/円売り介入を受けて4円超急上昇した。しかし市場では、量的緩和第3弾(QE3)など米追加緩和観測が根強く、介入効果は一時的との見方が少なくない。

 10月31日、ドルは政府・日銀によるドル買い/円売り介入を受けて4円超急上昇したが、市場では米追加緩和観測が根強く、介入効果は一時的との見方が少なくない。都内で昨年9月撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 追加緩和がドル価値の一段の希薄化を招けば「ドル安」は回避できないという。日本が介入によって市場からドルを吸い上げても、米国によるドル増刷の勢いには到底追いつかず、近い将来にドル/円が底打ちする可能性は低いとみられている。 

  <介入規模は過去最高の可能性> 

 政府・日銀は31日、早朝の取引で75.31円と過去最安値までドル安が進んだことを受け、約3カ月ぶりにドル買い/円売りの単独介入を実施した。安住財務相は「納得がいくまで介入する」と強い決意を示し、ドルは一時79.55円付近まで急反発。その後も介入は継続的に実施され、78円後半から79円前半の水準を維持している。市場では、今回の介入規模が前回8月4日の4兆5129億円を大幅に上回り、一日としては過去最高規模に達した可能性があるとみられている。

 一方、市場では、介入が実施されたことで、ドル/円の「底打ち時期」が先送りされたとの声も出ている。マーケット・ストラテジィ・インスティチュート(MSI)代表で金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は、介入はドルが一時的に上がってもまた下がるという循環的なドル安を招くと指摘する。「介入期待感で売るべき人が様子見を決め込む一方で、短期筋はドルを買って、介入後の利食いのチャンスを待ち構える構造が定着する」という。結果として「ドルはダラダラと下げ止まらず、70円割れもあるだろう」と同氏は予測する。 

  <QE3とドルの希薄化>

 7─9月米国内総生産(GDP)など堅調な米マクロ指標は続いているが、マーケットの米追加緩和観測が消えないこともドル安進行予想の背景だ。

 この日も市場では、「最近の日銀のパターンでは、米国で何らかのアクションがある前に行動をとっている」(信託銀)との声が聞かれ、11月1―2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和第3弾(QE3)を含めた追加策を示唆するとの見方が広がっていた。

 米国債を6000億ドル購入したQE2の拡大版のようなQE3となるかは不明だが、「量的緩和」と呼べるような政策であれば「QE3はドルの増刷であり、ドル価値の希薄化につながる。ドル安は回避できないだろう」と東海東京証券のチーフエコノミスト、斎藤満氏は予想する。 

 また米国が今後とも量的緩和を通じた金融緩和を推し進めざるを得ない原因として、欧州ソブリン危機が招いたCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)問題が米銀のバランスシートに破壊的な影響力を与えるとの不安がある。

 CDSは企業や国などの信用リスクを対象とした取引で、CDSの買い手は売り手に対してプレミアム(保険料)を支払い、対象となる企業や国が債務不履行を起こした場合に、買い手は売り手から保証金を受け取る。

 「今回は欧州の合意で時間稼ぎできたが、一部の米銀はギリシャ国債のCDSの売り手になっていると見られ、いずれギリシャが破綻した場合には、米銀に莫大な資金負担が発生し、3年前の危機を再現しかねない」と東海東京証券の斎藤氏は警告する。

 さらに「現状では(3年前のように)米銀救済のための財政出動は不可能で、米国民世論の支持も得られない。QE3が実施されるのは時間の問題だ」との見通しを同氏は示した。 

 EUは、27日の首脳会合で銀行が保有するギリシャ国債について50%の減免を受け入れる合意が成立した、と発表した。国際スワップデリバティブ協会(ISDA)は、銀行との合意は「自発的」とみなされるため、CDSの決済(売り手から買い手への支払いを)求められる「クレジット・イベント(信用事由)」には該当しないとの判断を示した。

 しかし、「50%のヘアカットがクレジット・イベントではないとの解釈は、投資家のリスクヘッジの道具としてのCDSが十分に機能しないということで、CDS市場の信任を損ない、結果的に現物(国債)そのものが売られる事態を招く」と斎藤氏は指摘する。 

  <MBS購入に対する方針転換> 

 「ドルの下落は続くだろう。その理由は米国が金融緩和を続けざるを得ないことと、欧州で金融収縮が起きていることだ」とMSIの亀井氏は言う。「米国では金融機関の不良債権問題の深刻化が進んでいるとみている」。欧州では、ソブリン問題で金融機関が自己資本の拡充を求められる中、欧州金融機関の間では投資資金の回収や貸しはがしが起きているいう。

 9月に開催されたFOMCでは、保有している政府機関発行の住宅ローン担保証券(エージェンシーMBS)と政府機関債の償還金をエージェンシーMBSに再投資するという異例の方針が打ち出された。「そもそもFRBとしてはリスクのある同証券(MBS)を手放す方針だったが、これを転換したことは、先行きを読むうえで重要だ。こうした流れの中でQE3も決まるのではないか」と亀井氏は話している。 

 (ロイターニュース 森佳子 編集:伊賀大記)

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