November 2, 2011 / 5:58 AM / 7 years ago

ドラギECB新総裁、ギリシャ危機再燃でいきなり力量を試される展開に

 [フランクフルト 1日 ロイター] マリオ・ドラギ欧州中央銀行(ECB)新総裁は、就任早々に総裁としての力量が試され、ユーロ圏危機の深刻化に対して重要な決定を下すことが求められることになる。 

 11月1日、ドラギ欧州中央銀行(ECB)新総裁は、就任早々に総裁としての力量が試され、ユーロ圏危機の深刻化に対して重要な決定を下すことが求められることになる。6月撮影(2011年 ロイター/Francois Lenoir)

 ギリシャのパパンドレウ首相が第2次支援策受け入れの是非に関する国民投票実施の方針を示したことで、ギリシャのユーロ圏メンバーの資格に疑問が生じ、総裁の出身国であるイタリアへの市場の圧力が増しただけでなく、ECBは短期的に危機波及を阻止し得る唯一の防護壁といった存在となっている。

 アナリストの間では、緊張を緩和できるのはECBのみとの見方が多い。新総裁の初舞台となる3日の定例理事会では、政策金利の変更はないとみられるものの、巨額の債務を抱える国の国債買い入れを増やすかどうかが焦点となる。 

 ソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、ジェームズ・ニクソン氏は「3日の理事会では、新総裁がイタリア国債買い入れのスタンス継続を強調し、インフレ阻止姿勢を緩めるような印象を与えないことが重要」と指摘した。

 ロイターが先週エコノミスト70人を対象に実施した調査では、半数以上が3日理事会では金利が据え置かれ、12月の25ベーシスポイント(bp)の利下げへの下地が準備されると予想している。

 イタリア出身のドラギ氏は64歳で、各国中銀関係者の間の評価も高い。まさに嵐の最中にECBの舵取りを引き継ぐこととなったが、ギリシャの国民投票の動きを受け、ユーロ圏参加国の資金需要を支えるための無制限の資金提供への圧力は増すばかりだ。

 ECBは債務危機に直面する国の国債を買い入れ、これらの国々の借り入れコストを削減することが可能。ただこれは、ドイツ出身のECB当局者2人の辞任の原因になるなど、ECB内でも意見対立が表面化している。 

 <ドイツの抵抗>  

 今年に入りウェーバー独連銀総裁は、ECBが昨年5月に開始した国債買い入れに異を唱えて総裁を辞任。財政政策の領域に足を踏み入れ、インフレ阻止というECBの目的が妥協に屈したとの認識を示した。

 その後同じくドイツ出身のシュタルク氏も専務理事を辞任した。関係者によると、ECBが8月に再開した債券買い入れプログラムへの反対しての辞任だという。

 ECB内では、ウェーバー氏の後任のバイトマン独連銀総裁を含む少数派グループが債券買い入れ再開に反対していたが、イタリアとスペインの国債買い入れが決定された。今後もこのグループが買い入れ拡大の動きに反対することは想像に難くない。 

 ドラギ氏は先週、ユーロ圏危機に対応するため危機国の債券買い入れを続ける用意があると発言した。これについてはトリシェ総裁(当時)がすかさず「市場はドラギ氏の発言を過剰解釈している」と補足する発言をしている。

 1日の市場では、国民投票のニュースでギリシャの無秩序のデフォルト(債務不履行)のリスクが増大する一方、イタリア国債10年債の独連邦債に対する利回り格差がユーロ導入以来の最高水準に達した。 

 シティグループのエコノミスト、ユルゲン・ミシェルズ氏は「これらにより、ECBによる介入への圧力は大幅に強まった」と指摘。同氏は3日の理事会での政策変更はないと予想している。

 さらに「(ECBは)姿勢に変更があるとは言わないだろう。債券買い入れ額は増えるだろうが、ECBがこの点について公式に政策変更を表明するということではない」と述べた。 

 <いきなりの大改革はなし> 

 3日の理事会後の会見では、ECBの債券買い入れ計画の今後が大きな注目点となるが、新総裁の下でコミュニケーションに変化があるかや、400億ユーロのカバードボンド買い入れ計画の詳細についても関心が集まる見通し。 

 10月のユーロ圏インフレ率は2カ月連続で3.0%となり、ECBがターゲットとする2%をやや下回る水準を大幅に上回った。これにより、ECBがただちに利下げに踏み切るのは難しくなった。

 12月に発表される成長率とインフレ率のスタッフ予想では、ドラギ総裁に利下げをめぐる土台が提供される可能性があり、エコノミストは3日の理事会で何らかの手掛かりを得ようとするだろう。 

 理事会では、10月と同様にユーロ圏の経済見通しの下振れリスクに焦点があてられる見込みで、依然として物価安定に対するリスクが「おおむね均衡」とされるかどうかが注目される。

 野村のエコノミスト、ローレント・ビルケ氏は、現時点の物価リスクを下向きと表現することは、おそらく12月の利下げを示唆する最も重要な機会となる、と指摘。

 「ドラギ総裁にとって、初日からコミュニケーションの方法を変えるのはリスクを伴う。最初の理事会から大改革を打ち出すのではなく、徐々に変わっていくだろう」と述べた。 

 (Eva Kuehnen記者;翻訳 中田千代子 ;編集 宮崎大)

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