November 7, 2011 / 4:48 AM / 9 years ago

EFSF支援に慎重なG20、米経済と中国緩和期待が相場下支え

 [東京 7日 ロイター] 週末のイベント通過後もマーケットでは依然として慎重ムードが強い。ギリシャは連立政権が誕生する見通しとなったが、財政再建の道のりは依然不透明だ。

 11月7日、週末のイベント通過後もマーケットでは依然として慎重ムードが強い。写真はG20首脳会議に出席した各国首脳ら。3日撮影(2011年 ロイター)

 イタリアが国際通貨基金(IMF)に監視を求めるなど欧州債務問題への懸念は晴れていない。カンヌの20カ国・地域(G20)首脳会議では欧州金融安定ファシリティー(EFSF)への協力に消極的な発言が目立った。10月米雇用統計など底堅い米経済と中国の金融緩和期待が相場を下支えているが、投資家の積極的なリスク選好行動は乏しい。

  <イタリアへの不安が市場で広がる>

 イタリアは自らIMFと欧州連合(EU)に年金制度改革など前週の欧州連合(EU)首脳会議で合意した経済改革について監視を要請した。ベルルスコーニ首相は6日、監視受け入れについて、主導権はイタリア側にあり、いつでも撤回可能との考えを示したが、市場では同国の債務問題について懸念が広がっている。4日は10年物利回りが一時6.43%と、ユーロ導入以来の最高水準を更新した。同国下院は8日に財政関連法案の採決を行うが、首相辞任を求める声が広がるなか、可決の見通しは立っていない。

 現在、欧州中央銀行(ECB)が証券市場プログラム(SMP)に基づきイタリア国債を購入しているが、ドラギ新総裁は3日の理解後の会見であくまで暫定的なものであると明言。ECB理事会メンバーのメルシュ・ルクセンブルク中銀総裁も5日、イタリアが確約した改革を実行しないと判断した場合、イタリア国債の買い入れを停止する可能性をECBはしばしば討議していると述べるなど、ECB側から甘い声は聞かれない。

 一方、EFSFの機能拡充も難航している。カンヌのG20サミットでは、EFSFへの協力について各国から慎重な意見が相次いだ。機能拡充にはレバレッジを効かせる案が浮上しているが、その際は資金をEU以外からも集めなければならない。中国やブラジルなど、EFSFへの出資が期待されている国は、G20で資金拠出を確約する前に詳細な情報を得る必要があるとの姿勢を崩さなかった。「EFSFと協力していく用意があると表明した国は、ほとんどなかった」(メルケル独首相)という。

 野村証券・金融市場調査部チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏は「イタリアの資金繰り支援が仮想ミッションとなるEFSF拡充について、G20首脳会議で欧州域外からまったく参加姿勢が示されなかったが、拡充の枠組みが決まっていない中では当然の結果だろう」と述べる。きょう、あすのユーロ圏およびEU財務相会合で、レバレッジによる同拡充案の詳細が決まらないようだと、再度市場に失望を与える可能性があるという。

 また一部の国はEFSFへの直接投資よりも、IMFを通じた出資により関心を示しているとされ、IMFの姿勢も注目されている。

 週明けアジア時間のユーロは1.3839ドル付近から1.3741ドル付近まで下落している。ギリシャは連立政権が誕生する見通しとなったが、過去2年間に年金の減額や深刻な失業に見舞われてきた多くのギリシャ国民は依然として、あらゆる政治家に不信感を抱いており、連立政権が誕生したからといって、国民の不満が鎮静化するとは限らないとの見方は多い。

  <リスクテークに慎重な投資家、金利は依然低位>

 外部環境の不透明感の「濃度」は薄まらず、投資家は依然リスクテークに慎重だ。日本の10年長期金利は1%を下回る水準で推移している。

 円債の相場動向について、JPモルガン証券チーフ債券ストラテジストの山脇貴史氏は「目先の注目はギリシャからイタリアへ移るだろう。ギリシャ問題の目先の危機回避はポジティブ要因だが、EFSF拡充に関する不透明感やイタリアの政局混乱、欧州銀行のバランスシート調整、キプロスの先行きなどがネガティブ要因」と指摘。その上で「市場が冷静に戻るまでの間に小康状態に持っていけるかが勝負どころで、ECBの積極関与だけが、唯一の打開策のように映る」との見方を示している。

 ただ、円債先物は取引一巡後は伸び悩んだ。「店頭では買い注文は入らず、週内に予定されている40年債入札を控えた調整に終始した」(外銀)という。

 店頭市場では超長期債利回りが上昇。市場では「業者の売りが主導しているのではないか」(外資系金融機関)との声が出ている。週内の40年債入札をめぐっては「生命保険会社の需要も一息ついており、そんなにビッドが見込めないのでは」(前出の外資系金融機関)との観測があり、なお警戒感が強い。

 <堅調な米雇用統計と中国の金融緩和期待>

 一方、堅調な米経済と中国の金融緩和期待が株式などリスク資産の相場を下支えている。10月の米雇用統計は非農業部 門雇用者数が8万人増と、市場予想の9万5000人増を下回ったが、過去分は上方修正され、失業率は9.0%と前月の9.1%から改善した。仕事を求める人が増えたにもかかわらず失業率は低下するなど、前向きな経済動向の兆候もうかがえる内容となった。

 また中国のインフレにピークアウト感があるとして、「金融緩和が今週後半にもあるのではないか」(外資系証券)との期待も強まっている。週明けの上海総合指数は小反落となっているが、前週末にはほぼ2カ月ぶりの水準に上昇していた。

 中国共産党の地方政策部門の代表、陳錫文氏は4日、金融関連会合で「マクロ経済政策の基本が来年変更されることはない。積極的な財政政策と穏健な金融政策を実施する」と述べた上で、金融政策をより微妙な変化に柔軟に対応し、先を見越したものにするため、今後微調整する可能性があるとの認識を示した。

 前場の日経平均は小反落となったが、売り一巡後は下げ渋った。市場では「センチメント系データの弱さが消費や生産に表れず、予想外に米経済は堅調だ。こうしたファンダメンタルズが比較的しっかりしているときに追加金融緩和があれば大きな効果を示すだろう」(マネックス証券チーフ・エコノミストの村上尚己氏)との声が出ている。

 ロイターが4日、10月の米雇用統計後に米プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)21社を対象に実施した調査によると、回答のあった19社中16社は、米連邦準備理事会(FRB)が追加緩和を行うと予想している。

 (ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)

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