November 16, 2011 / 6:38 AM / 8 years ago

東京市場は株安・金利低下進む、仏国債格下げのうわさで

 [東京 16日 ロイター] 16日の東京市場ではフランス国債の格下げのうわさが流れ、株安と金利低下が進んだ。一方、米国ではマクロ経済指標が底堅さをみせながらも、追加金融緩和期待が並存している。

 11月16日、東京市場ではフランス国債の格下げのうわさが流れ、株安と金利低下が進んだ。写真は1日撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 欧州債務危機懸念が相反する2つを結び付けており、欧州や日本の株価がさえない半面で米株は堅調だ。政策を据え置いた日銀にも追加緩和期待は残っているが、欧州でも追加緩和観測は強いことから円高が緩やかに進行し日本株を圧迫している。

  <ユーロ売りは新たな段階との声も>

 出所は明らかでないが、フランス国債の格下げのうわさが昼過ぎに流れ、ユーロは一時1.3437ドル付近まで軟化。TOPIXも年初来安値を割り込み2009年3月以来の水準まで下落した。仏国債に関しては、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが10日、一部の顧客に対して仏国債の格付けが変更されたとのメッセージを誤って流したことで、マーケットが過敏になっている。

 仮にフランス国債が最上格を失えば、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)債にも影響が出る。格下げや融資能力の低下で、現在、欧州債務問題に対応すべく具体化を進めている危機対応策がとん挫するおそれも強まるため、その影響はフランス一国にとどまらない。 

 円債市場では「欧州問題の先行き不透明感から銀行勢の積極的な買いがみられるようだ」(国内証券)とされ、10年債利回りは前営業日比1bp低下の0.950%と、昨年11月9日以来、約1年ぶりの水準に低下した。「海外勢が日本国債を安全資産として再評価する動きがある」(別の国内証券)との指摘もあった。

 15日のユーロ圏金融・債券市場では、イタリア10年債利回りが再び7%台に乗せると同時に、フランス、オーストリア、ベルギーの国債利回りも上昇、独連邦債との利回り格差はユーロ導入以来の水準に拡大した。「『ドイツ寄り』とみられて比較的売りの対象になっていなかったオーストリアや北欧の国債まで売られ始めたことに対し『ユーロ売りは新しい段階に入った』との見方も出ている」(外資系証券トレーダー)という。

  <欧州危機で米緩和期待が維持>

 一方、米国経済の堅調さを示す指標が相次いでいる。10月の小売売上高は予想を上回る前月比0.5%増。11月のニューヨーク州製造業業況指数も今年5月以来6カ月ぶりにプラスとなった。市場では「米経済は堅調のようだ。力強い成長とは言えないが、それほど悪くもない。数か月前まで多くの人が第4・四半期の景気後退を予想していたことを考えれば、状況は大きく好転している」(FTNフィナンシャルのエコノミスト、アレックス・ホーダー氏)と、米経済への楽観的な見方が増えている。

 その半面で、経済が堅調であれば後退するばずの金融緩和期待は維持されている。矛盾する2つを結び付けているのは欧州債務危機だ。「もはやテールリスクといえないほどに欧州の債務問題は深刻化している。米経済の堅調さを示す指標が続いているが、先行きは不透明として同時に追加金融緩和期待も共存している。マーケットが都合よく2つの材料を使っている面もあるが、ある意味、不安感が強い証拠だろう」(SMBCフレンド証券シニアストラテジストの松野利彦氏)という。

 米サンフランシスコ地区連銀は14日、欧州債務危機を背景に米国が2012年初頭までにリセッション(景気後退)に陥る確率は50%以上ある、とのリポートを発表した。一方、10月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.3%低下し、連邦準備理事会(FRB)に政策発動余地があることが示された。シカゴ地区連銀のエバンズ総裁とサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は15日の講演で、経済成長が十分でなければ追加緩和が必要になる可能性に言及している。

 実際、このまま米経済が堅調さを維持し続けるのは難しいとの見方も出ている。「潜在成長率を上回るペースで成長している米経済は今後鈍化する」(外資系証券エコノミスト)という。

 クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は16日付リポートで「インフレ率上昇は家計の実質購買力を奪い、家計は消極的な理由から貯蓄率を引き下げてきている。このため、インフレ率が低下し、実質購買力が回復しても、むしろ家計貯蓄率は上昇し、実質消費の改善は限定的なものに止まる可能性が高い」と述べている。

 堅調な米経済指標と追加緩和期待に支えられ米ダウは堅調。コモディティ価格も総じてしっかりだ。欧州株もさえないが、欧州中央銀行(ECB)は来年にも追加利下げをするとの見方が多い。

 一方、日本株は円高懸念もあり上値が重い展開となっている。日経平均は8500円を割り込んだ。

 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BofAML)の11月ファンド・マネジャー調査によると、世界の投資家の日本株の投資ウエートは、前月のマイナス5%からマイナス19%と、アンダーウエートが拡大した。円高や世界景気の減速に伴う企業業績の下方修正、オリンパス(7733.T)事件に伴う日本全体のコーポレート・ガバナンスへの懸念などが背景だという。一方、今後1年間に最もオーバーウエートしたい市場は新興国市場で、2位は米国だった。

 <日銀の相対的な緩和姿勢の弱さを指摘する声も>

 欧米での金融緩和観測が強まる一方、外為市場では円高圧力が再びかかりはじめている。

 日銀は15─16日開催の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0─0.1%程度に据え置くことを、全員一致で決定した。景気判断を下方修正したことで市場では「追加緩和には否定的ではないニュアンスがうかがえる」(第一生命経済研究所・主席エコノミストの熊野英生氏)との声も出ているが、「日銀は欧米中銀と比べ相対的に緩和姿勢が弱いと受け止められている」(国内証券エコノミスト)との指摘も依然少なくない。

 ドル/円は76円台をうかがう動きをみせているほか、ユーロ/円は一時103.99円まで下落した。

 マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は「日銀はETF(指数連動型上場投資信託受益権)の買い入れなどを進めているものの、マーケットにはさほど効果が表れておらず、市場の声を十分認識しているとは言いづらい。欧米当局による追加緩和の可能性があるなかで、日銀は金融緩和への意識に乏しく、後手に回らざるを得ないとみている」と厳しい見方を示している。

 また外為どっとコム総研社長の植野大作氏は「日銀は、産業界や国会、学会などの一部にある緩和不足という批判をかわすために、バランスシートの一部、目立つところを拡張させているだけのようにも見える。結果としてみると、思い切った量的緩和が進んでいない」と指摘。欧州はこれから緊縮財政と金融緩和の組み合わせで通貨安圧力を発生させてくることが想定されるとして、ユーロ/円は100円割れのリスクも出てくるとの見方を示している。

  (ロイターニュース 伊賀大記;編集 佐々木美和)

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