November 17, 2011 / 10:20 AM / 8 years ago

大塚HDの特許切れ対策は道半ば、潤沢な資金でがん領域など強化へ

 [東京 17日 ロイター] 大塚製薬が踏み切ったデンマークのルンドベック(LUN.CO)との提携は、大塚ホールディングス(4578.T)の収益の大きな柱である「エビリファイ」の特許切れ対策として一定の評価はされているものの、穴を完全に埋め切れるとは言えない。

 同社は、中計において、バランスの取れた収益構造を目指すとしており、今回の提携により入る一時金や潤沢な手持ち資金で、中枢神経領域のさらなる強化や医薬品事業のもう一本の柱であるがん領域のパイプライン強化、機能性食品などのニュートラシューティカル(NC)事業の販路拡大などに手を打つことが必要になる、と見られている。

 大塚製薬の岩本太郎社長は、ルンドベック社との提携を発表した11日、ロイターとのインタビューで「2つの薬剤が持つ潜在的な能力が最大限発揮できる体制が整った。それも早く。巷で言われている問題点に対しての大きな回答になっている」と自信を持って答えた。

 岩本社長の言う「巷で言われている問題点」とは、大塚HDの連結売上高の33%を占めている抗精神病薬「エビリファイ」の米国での特許が2015年4月で切れる影響をいかに最少化し、成長を継続するかという点だ。

 ルンドベックとの提携により、「エビリファイ」の後継薬として開発を進めている「OPC―34712」とエビリファイの持効性注射剤(IMデポ)など最大5品目について、研究、開発、商業化を協力して進めることとなった。「ポストエビリファイ」として期待を込める両剤の可能性を高めるほか、ルンドベック社が手掛けるアルコール依存症やアルツハイマーなどへ中枢神経領域のカバー範囲を広げる可能性が生まれた。IMデポは米国FDAによる新薬申請書(NDA)の受理待ち、OPC―34712は臨床第3相入りしている。会社側は開示していないが、IMデポは2012年、OPC―34712は2014年頃の発売とみられている。

 <引き続き、医薬品分野の強化は課題>

 「エビリファイの特許切れを埋める施策であり、非常にポジティブ」と評価して、野村証券は目標株価を2800円から3000円(16日終値2104円)に引き上げるなど、市場では一定の評価を受けている。ただ、エビリファイへの依存度があまりにも高く「特許切れ対策としては道半ば」(クレディスイス証券アナリストの酒井文義氏)との指摘も多い。

 2015年4月の特許切れ前までに、ルンドベック社から一時金が入ることもあり、半減は避けられないとみられている15年3月期から16年3月期にかけての利益の落ち込みは、提携前よりも急角度になる可能性もある。

 ルンドベックとの提携により、契約一時金、開発・承認達成金、売上達成金を含めると、大塚製薬は最大で18億ドルを受け取ることになる。売上げ達成金を除いても、14億ドルが入るほか、開発費用などの低減を図ることができる。大塚HDは、2011年9月中間期末で現預金4371億円を保有しており、有価証券や今回の提携分などを加えると、6000―7000億円と潤沢な資金を有することになる。酒井氏は「資金はあるため、強みのある中枢神経領域で企業買収や製品導入を行う可能性がある」とみている。別の外資系証券アナリストは「中計でNC関連事業のアジア展開加速が示されたが、具体策がない。ここを具体化してくるのではないか」とみて、販路確保などの可能性を指摘した。

 潤沢なキャッシュと一時金収入の使途について、大塚ホールディングスの樋口達夫社長は「中長期の成長を確固とするために使う」とのみ答えている。

 ルンドベック社との提携を経ても、「ポストエビリファイ」に向けた動きが市場から注目されている状況に変わりはない。そもそも、「OPC―34712」の臨床第2相試験のデータに不安が残ると指摘する向きもある。ルンドベックとの提携も、OPC―34712の開発が上手く進んでこそ実になるもので、新たなM&Aや提携の動きとともに、OPC―34712の臨床第3相試験の進ちょくは、同社の将来性を大きく左右する材料となりそうだ。

 (ロイターニュース 清水 律子 編集:宮崎大)

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