November 21, 2011 / 5:38 AM / 8 years ago

米財政協議の決裂観測で暗い市場、給与税減税や失業保険の延長焦点

 [東京 21日 ロイター] 米財政赤字削減策の協議が決裂する見通しとなり市場は暗いムードだ。自動的な歳出削減は2013年からだが、米与野党の対立で年内に切れる給与税減税や失業保険の延長が頓挫すれば経済を圧迫すると懸念されている。

 11月21日、米財政赤字削減策の協議が決裂する見通しとなり市場は暗いムードだ。写真は連邦議会議事堂。8月撮影(2011年 ロイター/Jonathan Ernst)

 欧州ではスペインでも政権交代することになったものの、ユーロ圏の「セーフティーネット」構築は難航しており、債務問題への不安は根強い。日本では、ようやく第3次補正予算が成立するが、外部要因の不透明感が強く、好感する動きは乏しい。

  <財政赤字削減策決裂、来年の米経済に影響は少ない> 

 米財政赤字削減策が合意に至らなくても2012年の米経済には「直接的には」影響が少ない。今年の夏にマーケットを揺るがした債務上限引き上げ問題と異なり、超党派委員会が合意できなくても、即、政府機関の閉鎖やデフォルト(債務不履行)につながるわけではない。1兆2000億ドルの強制的な歳出の一律削減は2013年からだ。消費マインドへの影響は懸念されるものの、「大規模な歳出削減で合意された方が、足元の景気を冷やすためまずい」(外資系証券エコノミスト)という。

 GLOBEX(シカゴの24時間金融先物取引システム)の米株先物はマイナス圏で推移しているが、午後1時過ぎの時点で下げ幅は100ドル以下。日経平均もさえないが小幅安の水準だ。現時点では、米超党派委員会の合意失敗を大きく嫌気しているわけではない。

 ただマーケットは依然暗い。市場が懸念しているのは、米与野党の対立で、年内に切れる給与税減税や失業保険の給付延長が合意できず失効してしまう事態だ。そうなった場合は「米国内総生産(GDP)を1%近く押し下げる可能性がある」(シティグループ証券エコノミストの村嶋帰一氏)という。米国債の格下げも再び視野に入ってくる。

 2012年11月の米選挙まで1年を切った今、議会への支持率は記録的低水準に落ち込んでいる。

 外為市場では「全面合意に至らなくても即債務不履行となるわけではないが、このタイミングで米国の政治までもが混乱する事態となれば、リスク回避に敏感な市場をさらに刺激しかねない」(IGマーケッツ証券為替担当アナリストの石川順一氏)との見方が出ている。「ドル/円相場は引き続きじりじりと円高が進行する可能性がある」(同)いう。

 午前の東京外為市場で、ドル/円はニューヨーク市場午後5時時点からほぼ横ばいの76円台後半で推移した。欧州債務問題に対する懸念一服で、海外市場でユーロ/ドルが上昇。この影響を受け、ドル/円は上値の重い展開となった。米超党派による財政赤字削減協議が難航していることも、ドルの上値を抑えたという。 

  <スペイン政権交代にも不安消えず>

 欧州債務問題への懸念も晴れないままだ。スペインでは20日実施された総選挙で、与党の社会労働党が大敗を喫し、中道右派の国民党が政権を奪回することになった。 国民党のマリアノ・ラホイ党首は絶対過半数を獲得し政策運営の上でフリーハンドを得たことになるため、総選挙結果は市場にとって好ましいとの見方がある。ただ同国は20%を超える失業率に国民の不満が高まっている。財政緊縮を強く進めれば国民から反発が起きる可能性がある半面、財政再建が生ぬるければ市場の攻撃にあうおそれが強まる。

 ギリシャやイタリアでも新政権が誕生したが、その後もマーケットはフランスやスペインなどの国債売りを強めるなど、不安は解消されない状態が続いている。

 マーケットが期待するのは「セーフティーネット」の構築だ。だが欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)の拡充には手間取り、欧州中央銀行(ECB)の協力拡大にはドイツなどが強硬な反対姿勢を示し続けている。前週末の市場では、ECBが国際通貨基金(IMF)に資金供給することで、ユーロ圏中核国を支援するとの観測が高まったが、実現は依然として不透明だ。

 東京株式市場では薄商い状態が続いているが、「今週はさらに売買高・代金ともに細る可能性がある」(SMBC日興証券のエクイティ部部長の西広市氏)という。23日は日本市場は休場であるほか、24日は米株市場はサンクスギビングデーで休場、25日も短縮商いとなっている。市場では「手掛かり材料に乏しいなか、医薬品などディフェンシブ銘柄に買いが入っている。外部環境次第の相場が続いており、目先は米財政赤字削減策を協議する超党派委員会の行方を確認しない限り動きづらい」(東洋証券・情報部長の大塚竜太氏)との声が出ていた。

  <第3次補正予算、景気後押し効果は限定的>

 日本では第3次補正予算がようやく成立する見込みとなったが、反応は鈍い。総額12兆円の大規模予算だが、市場では「将来の増税がセットであり、景気後押し効果は限定的」(国内証券株式トレーダー)と冷めた見方も出ている。

 一部で、政府・民主党は、「年金債」(仮称)を発行する方向で調整に入ったと報じられた。円債市場では「実現するためには、慎重・反対が多い民主党内の調整、与野党協議、賛否拮抗する国民に対する丁寧な説明が必要でハードルが多い」(SMBC日興証券・チーフ債券ストラテジストの野村真司氏)との見方が出ていた。「国債は借金の先送り。震災復興は重要だが、財政支出が国の成長力を高められなければ、これまでと同じように国債残高だけが積みあがることになる」(前出の外資系証券エコノミスト)という。

 半面で、経済低迷の「裏側」として国内の資金需要は依然伸びず、国債消化の不安は乏しい。超金融緩和で金融機関の手元資金は潤沢だ。

 財務省は18日にプライマリー・ディーラーで構成する国債市場特別参加者会合と、国債投資家懇談会をそれぞれ開催し、2012年度の国債発行計画などについて議論した。増発対応が可能な国債年限について、PD懇では20年物を挙げる声が大半を占め、30年物の発行頻度は現状維持を主張する声が多かったという。

 午前の国債先物は反落。高値警戒感が出始めている中、前週末の米債安の流れを引き継いで売りが優勢となった。現物債では、超長期/長期ゾーンが弱含み。20年債はあすの入札を前にした業者の持ち高調整がみられた。イールドカーブはパラレルに上方シフトした。 

  (ロイターニュース 伊賀大記;編集 内田慎一) 

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