July 6, 2007 / 6:12 AM / 13 years ago

再送:携帯販売でソフトバンクが快走、総合力はKDDIの声

 [東京 6日 ロイター] 携帯電話3社の中でソフトバンク(9984.T)の株価の勢いが目立っている。きょう6日に発表された6月携帯電話契約の純増数で2カ月連続のトップとなったが、株式市場では数日前から先回りの買いが続いていた。

 7月6日、携帯電話3社の中でソフトバンクの株価の勢いが目立っている。写真は1月に撮影したソフトバンクの孫社長と同社製品を手にした女優(2007年 ロイター/Toshiyuki Aizawa)

 ホワイトプランなどの料金プランが好評でユーザー数を着実に増やし、業績拡大期待が強まっている。ただ、アナリストからは純増数の中身をみれば、依然として総合力でKDDI(au)(9433.T)が優位に立っているとの声が多い。

 <ソフトバンク、ホワイトプラン好調で2カ月連続の純増数トップ>

 ソフトバンクの株価は、5月18日に付けた安値2470円から5日終値の2805円まで13.5%上昇。一方、同期間にドコモは6.2%下落、KDDIも11.8%下落と、ここ1カ月半でみれば明暗を分けている。

 会社全体の収益構造や財務内容に差があるため株価収益率(PER)での比較は困難だが、市場平均(約20倍)をやや下回るドコモとKDDIに対し、ソフトバンクは31倍と大きく上回る。

 6日発表された6月携帯電話契約数で、ソフトバンクの携帯電話子会社・ソフトバンクモバイルは、新規契約から解約を差し引いた純増減数で初めてトップに立った5月に続き、6月も首位をキープ。「月額基本使用料980円、午前1時から午後9時までの通話はソフトバンク携帯同士なら無料」という1月から導入したからホワイトプランや、割賦販売などの料金プランが契約を伸ばしており「勢いが株価にも表れている」(大手証券投資情報部)という。

 ソフトバンクが新規契約に力を入れるのには理由がある。これまでの携帯電話会社の戦略は、販売奨励金を販売会社に払うことで携帯電話の値段を抑え消費者に買いやすくさせる一方で、その分通信費を高くして資金を回収する仕組みを取っていた。このため新規顧客を獲得しても初期段階では赤字になる構造だった。

 ソフトバンクは携帯電話端末を分割払いで購入できる割賦販売方式を導入。携帯電話の料金を消費者に負担させる代わりに、基本料や通信料を低く抑えた料金プランを設定した。これにより端末販売コストをユーザーに転嫁することが可能になり、コストを気にせずに携帯電話を販売できるようになった。

 一方、ライバル会社は依然として販売奨励金を使った販売体制を継続している。このため「販売奨励金のために新規顧客を獲得しても、その時点では赤字になるドコモやKDDIにとって、残り少ないパイの獲得に力が入らないのも仕方ない」(銀行系シンクタンク)とみられている。

 割賦販売方式などの導入についてはドコモ、KDDIともに検討中としているが「販売奨励金がなくなればメーカーや販売代理店への影響が大きい」(ドコモ広報部)として慎重な構えを崩していない。

 <純増の中身に注目、既存ユーザーの乗り換え多いKDDI>

 快走が続くソフトバンクモバイルだが、純増数の中身を見ると、やや違う風景も見えてくる。番号継続制(MNP)を利用した転入者数はKDDIが5万1700件の転入超過に対して、ドコモは6万3400件の転出超過となった。一方、ソフトバンクモバイルは1万1600件の転入超過にすぎない。「ソフトバンクの純増の中身はシニア世代やジュニア世代といった新規の顧客が多く、乗り換えは多くない」(UBS証券アナリスト乾牧夫氏)。MNPを利用しない移転も多く、ドコモからKDDIへのシフトが続いている構図だという。

 携帯利用者の月平均の利用額は7000円程度だが、高齢者や若年層の顧客は携帯電話を緊急用に持っているだけのことも多く、月間の利用額は「1000円から1500円程度」(UBS証券の乾氏)と低い。このため契約者の純増数ではソフトバンクモバイルに抜かれたものの、新規獲得顧客の売り上げへの貢献という面では、依然としてKDDIが優位に立っているとの見方が多い。

 野村証券金融経済研究所・アナリストの増野大作氏は「ネットワーク、端末の値段・機能、サービス展開力など、総合的に見てKDDIが一番優れているという評価は変わらない」と述べる。他のアナリストもKDDIへの評価は高く、こうした評価を反映してか株価も7月に入って反転基調を示している。

 <ドコモは戦略の明確化がカギ>

 ドコモの5月純増数は、8万8800台だった。だが、中身を見ると、そのうち4万3300台が通信モジュール。通信モジュールとは自動販売機などでジュースやタバコの数が少なくなると自動的に携帯電話を使って本部に知らせる装置。人がいちいち残り本数をチェックしなくても済むため需要が伸びているが、1カ月の利用料金は200─300円程度と言われており、加入者1単位平均の売上高は、通信モジュールの割合が増えれば低くなる計算だ。

 株価も3月末の配当権利確定後は徐々に下値を切り下げ、ここ1カ月は狭いレンジでの動きが続いている。同社の配当利回りは5日時点で2.45%。30年国債の利回り2.53%とそん色ない水準にあるため、毎年3月前には配当権利取りの買いが集中する。「同社株はもはや成長株ではなく、利回りが魅力の株となっている」(前出の大手証券投資情報部)との評価が定着している。

 大和総研・シニアアナリストの西村賢治氏は「携帯電話の契約数を獲得したいのか、収益を守りたいのかはっきりしない。今の顧客から収益を生み出すというように、明確な戦略を打ち出せば株価も反応するはず」とみる。

 ソフトバンクモバイルの快走が続くが、純増数が仮に年間200万件のペースで増加したとしても、累計契約者数が5000万件の大台に乗るには約17年かかる計算になる。ドコモは残り少ない新規顧客を獲得するために無理をするよりも、5200万件という現在有する膨大な顧客を維持し、そこから収益を上げる戦略を明確にすべきだとみるアナリストは多い。

 (ロイター日本語ニュース 伊賀大記)

 *見出しを一部修正して再送します。

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