July 19, 2007 / 8:08 AM / 10 years ago

米政策金利は1年据え置きか、マネーは債券から株へ

 [東京 19日 ロイター] バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の18日の米議会証言を受け、19日の金融市場では米政策金利が今後1年近く動かないとの見方が広がった。同時に米景気の緩やかな回復をFRBが見込んでいることから、グローバルな流動性相場に変化はないとの思惑が浮上した。

 世界的に商品市場や不動産、株式市場へのマネー流入が活発になる一方、債券市場はインフレ懸念が上値を抑えるとの声が出ている。こうしたグローバルな流れが、世界の潮流から孤立している東京市場にも波及する可能性がある。

 <FRB議長はサブプライム悪化・インフレ警戒を表明>

 バーナンキ議長は18日の米下院金融委員会で証言し、サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手への住宅融資)市場は大幅に悪化したと指摘。延滞増加の状況は「改善する前に悪化する可能性が高い」と述べ、この問題に対してこれまでよりも厳しい認識を示した。同時に金融市場での資金調達活動は「かなり活発な状況が続いている」とも語り、現状では金融システムに深刻な打撃を与えるまでにはいたっていないとの認識を示した。 他方、金融政策では「インフレが政策の主要懸念」と述べ、インフレ警戒のスタンスを変えていないことも表明した。

 この日のバーナンキ証言について、三菱東京UFJ銀行・NY駐在・シニアエコノミストの鈴木敏之氏は「半年前の証言と比べ、サブプライム問題に厳しい認識を示している。その中であえてインフレ警戒も強調しており、年末から年明けにかけて長期間にわたってFFレートを据え置く方針を示唆したとみていいだろう」と分析する。

 東海東京証券・チーフエコノミストの斎藤満氏も、サブプライム問題への認識を強めながらインフレへの警戒を表明していることに着目し「少なくとも年内のFFレートは現状の5.25%で据え置かれるだろう」と予想する。

 <インフレ懸念表明、インフレ期待の沈静意図か>

 今回のバーナンキ証言の論理構成を三菱UFJ証券・エクイティリサーチ部シニアエコノミストの吉川雅幸氏は「金融政策が放置されるというアナウンスメントで、インフレ期待が上振れし、結果的に利上げに追い込まれることの回避を念頭に置いている」と分析する。

 吉川氏によると、インフレ警戒をきちんと表明することでインフレ期待を沈静化させ、サブプライム問題を抱えた中での利上げを回避する作戦があったと判断できるという。 吉川氏は「約1年間はFFレートが5.25%で据え置かれるだろう」との見通すを示している。

 <アジアの不動産に関心の声>

 米政策金利が横ばいで当面推移するなら、ヘッジファンドなどのリスクマネーを含めた世界のマネーはどこへ向かうのか─。この疑問に対してある外資系証券の関係者は「FRBの引き締めがないなら、今の過剰流動性相場が続くことを意味する。商品や株がメーンターゲットになりやすいだろう」と述べる。

 吉川氏は「FRBは引き締め切れずに政策維持を長期化されるから、世界のカネ余りは解消されない。この状況が変わらないということを前提に、マネーの動きが活発化するだろう」とみている。

 鈴木氏は、米市場関係者の話として「アジアの不動産に関心を示す米市場関係者が目立ってきている。特に香港、豪州、日本の不動産が脚光を浴びようとしている」と話す。

 先の外資系証券の関係者も「アジアの不動産は、欧米勢が注目されている。特に日本の不動産は円安もあって割安との見方が広がっている」と述べる。

 鈴木氏によると、世界の新興国の経済発展で、グローバルにオフィス需要が高まっており、各地域の大都市の中心部のオフィス賃料は軒並み上昇しているという。また「モスクワとパリの一等地の賃料があまり変わらない水準に並ぶという現象も起きている」という。

 <資本財輸出の米企業に注目度増す兆し>

 鈴木氏は、世界経済が年率5%のハイペースで成長していることに着目し「新興国での経済発展は、米国からの資本財輸出の加速の形でプラス効果が波及してくる。典型的な航空機は現在、世界からの需要をさばき切れない現象が起きている」と指摘。米国の輸出型の企業を中心に米株への注目度が増す兆しが、米国内で出始めていると述べる。

 別の外資系証券の関係者は「流動性が維持される前提に立てば、株式市場へマネーが流入するだろう。米株式市場が規模が大きいので、優先順位の高いターゲットになるだろう」と話す。

 他方、吉川氏はグローバルには「債券は次第に価格がジリジリ下がっていくだろう。世界中で需要が活発化することに対応し、インフレ期待が次第に広がっていくと考えるのが自然だ」と語る。

 <公的筋の日本株売りに一巡観測、海外勢の買いに期待の声>

 これまで世界の株高から遅れてきた東京市場に、こうした海外勢のマネーは入ってくるのか。斎藤氏は「海外勢の関心度合いは高い。これまでもコンスタントに日本株を買い越してきたが、今後はさらに買いのペースが上がってくる可能性がある」と予想する。

 ある国内証券の関係者はこれまで日本株が上がってこなかった要因の1つとして、公的筋の一角の株売りを指摘する。その関係者は「このところ月間で1000億円規模の売りをその公的筋は出していたようだ。ただ、それもそろそろ終わりと見られ、これから日本株の需給も好転してくるのではないか」と語る。

 吉川氏は、中国を初めとするアジアの新興国の経済拡大の恩恵を日本が受けていると明確にマーケットにわかるようになれば「海外勢の日本株買いや国内投資家の買いが出てくることも予想される」と話す。

 冒頭の外資系証券の関係者は「18日の東京市場では、サブプライムの影響が邦銀にも出る可能性があるとして、一部の海外勢が株売り/債券買いで反応していた。だが、中長期的に日本経済が世界の成長に乗っていければ、日本株に注目する海外勢が増える一方、債券は売り方向になるだろう」と話す。

 斎藤氏は日本の債券市場の動向について「日本株の上昇や日銀の4次利上げ以降のペースが速まるなどの変化が伝わってくれば、長期金利が2%を突破することになるだろう。世界的に債券から株へのマネーの流れが明確になってくるのではないか」との見通しを示している。

(ロイター日本語サービス 田巻 一彦)

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below