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米金融政策に期待と警戒、据え置きなら年内の日銀利上げ意識
2007年10月10日 / 07:29 / 10年後

米金融政策に期待と警戒、据え置きなら年内の日銀利上げ意識

 [東京 10日 ロイター] 10日の東京市場は米国市場の動きを映して株高/債券安になっているものの、昨日と同様、勢いは感じられない。米連邦準備理事会(FRB)の一段の金融緩和について、米市場では、株式と債券とで受け止め方が食い違っており、東京市場の参加者はやや気迷い気味だ。

 10月10日、市場では米金融政策への期待と警戒が入り混じっており、据え置きなら年内の日銀の利上げが意識されるとの声も。写真はバーナンキFRB議長。5月撮影(2007年 ロイター/Jerry Lai)

 こうした中で、円債市場では、仮にFRBの利下げが見送られるようなら、日銀の年内の利上げを意識したポジション形成の動きが出てくる、との警戒感も出ている。米利下げ打ち止め/日銀の利上げは株式市場にも余剰マネーの吸収という経路で響いてくる。

 <海外勢の株買いは後退>

 東京株式市場では前日の米国株高を好感し、日経平均が続伸しているものの、テクニカル的な抵抗線とみられている1万7300円に接近すると利益確定売りが目立ち上値の重い展開となっている。「海外勢のフローも落ちている。基本的には落とし過ぎたリスク資産を戻す動きを続けているが、この水準で積極的に買い上がる雰囲気はない。すでにポジションはロングに傾いているため、ネガティブな材料が出れば下落に転じやすい状況だ」(欧州系証券トレーダー)とみられている。

 大和住銀投信投資顧問、株式運用部チーフストラテジストの門司総一郎氏は、「世界的にマネーが株式選好傾向となっていることは事実。日本株については、海外投資家が主な買い手だったが、ここにきて国内投資家も動き出しているようだ。ただ、日本株は前向きな材料がない中で上昇しており、新興市場や銀行・証券株などを中心に買い戻し的な色合いが強く、自ずと限界が見えてくるだろう」と話している。

 当面の国内株式市場は独自材料に乏しい。「来年の米大統領選を控えて、米政府は弱者救済を優先せざるを得ない。FRBは金融緩和的な政策を続行することになる。米経済指標が強ければ良好な経済と低金利のダブルメリット。経済指標が弱くても利下げ期待が相場を支える。いずれにしても当面の米国株は下落余地が小さい」(国内証券ストラテジスト)との指摘が出ている。市場関係者の多くは米国株頼みの相場続くとみている。

 <アジア諸国ロング/日本ショートの構図>

 それにしても、日本株の上値は重い。その理由をリーマンブラザーズ証券チーフストラテジストの宮島秀直氏は、日本の成長率が原因とみる。宮島氏は「今年初めからヘッジファンドが持つ日本株のポジションは減り続けている。減った分は日本株を含むアジア・パシフィック全体のロング・ショートポジションに組み込まれている」としたうえで、「アジア・パシフィック全体のなかでは、日本以外のアジア諸国の株価パフォーマンスがいいので、どうしてもアジア諸国ロング/日本ショートになり、日本株は売られてしまうことになる」と説明する。日本のGDP成長率が低く、アジア諸国との相対比較で見劣りする以上、アジア・パシフィック全体の中でショートになっても仕方がないともいえる、という。

 さらに、宮島氏は、FRBの資金供給が巨額になっており、マーケットにはカネが余った状態になっているものの、「いずれFRBの資金供給は逆回転を始めるときが来る。世界的にみて評価が低い企業やセクターに対する資金は巻き戻される可能性が大きい」と警告する。

 <米利下げ観測後退で、円債は日銀利上げ意識も>

 国債先物は続落。海外市場でダウ平均株価とS&P500が終値ベースの最高値を更新したため、海外勢からとみられる先物売りが出た。ただ、金利が上昇する場面では、中短期ゾーンや長期ゾーンに国内投資家の買いが入り、次第に下げ渋った。

 ある外資系証券の担当者は「朝方は先物の売りが出て押されたが、その後は2―5年に国内投資家の買いが入った。タイムラグがあったが、10年ゾーンにも波及した」と話す。

 0.50%の利下げを決定した9月18日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録をめぐって、米市場の見方が分かれたため、東京市場でも、一段のFRBの利下げをめぐって観測が交錯している。

 9日の米市場では、株式が「FRBは物価圧力への懸念を弱めており、追加利下げに含みを残した」と受け止め上昇した一方、債券は「金融市場が安定化するに従い、FRBは金利を据え置く」と解釈し下落した。

 金利関係者の見方が反映されるFF金利先物をみると、10月31日の米利下げ確率は約34%に低下した。雇用統計発表前日は75%だったので、債券・金利市場では、急速に利下げ観測が後退している。

 この影響で東京市場では「FOMC議事録で利下げ期待が後退したとなれば、利上げ時期を見計らっている日銀にフリーハンドを与えかねない。年内にも利上げがあるかもしれない、という意識は常に持っている」(外資系証券)という。

 短期市場でも、ユーロ円金利先物・中心限月2008年3月限は一時99.060まで下落、8月27日以来の安値を更新した。「前週末の米雇用統計を受けて、これまで織り込みをかなり少なくしていた日銀の年内利上げの可能性を再度織り込む形で徐々にレンジを切り下げている」(都銀)という。

 福井俊彦日銀総裁のスケジュールに注目するのはバンク・オブ・アメリカの日本チーフエコノミスト、藤井知子氏。日銀は9日、福井総裁が11月5日に大阪で経済団体との懇談会に出席後、記者会見すると発表した。31日の日銀決定会合の後に、米国の7─9月期国内総生産(GDP)1次速報とFOMCの政策決定・声明文発表という重要日程が控えているため、藤井氏は「場合によっては前提となる米国経済環境が変わる可能性もあり、この変化が楽観論台頭の方向となった場合は、11月5日の福井総裁の記者会見での発言がよりタカ派的になる可能性もある」と話している。

 <ドルのサポート役>

 一方、為替市場では、ドル/円は117円後半で輸出企業や短期筋のドル売りが並ぶ一方で、116.80円付近で下値が支えられている。ただ「117円後半を突き抜けると、一気に上抜けする」(地銀)との声が出ている。市場では「米雇用統計の発表後、米追加利下げ観測が後退していく過程で、ポジション調整的なドル買いがみられる」(別の邦銀)という。

 JPモルガン・チェース銀行チーフFXストラテジスト、佐々木融氏は「FOMC議事録では、追加利下げの必要性について明確な言及がなかったうえに、FOMCメンバーが、特に労働コストの上昇とドル安に起因するインフレの上振れリスクを警戒していることが明らかになった。引き続き10月31日のFOMCで0.25%の追加利下げに踏み切ると予想しているが、9月雇用統計の強い結果と議事録を受けて、利下げの可能性は五分五分程度に低下した」と話している。

(ロイター日本語ニュース 橋本 浩)

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