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不安定続く株式/円相場、長期金利はデフレ時代に逆戻り
2007年11月13日 / 05:55 / 10年後

不安定続く株式/円相場、長期金利はデフレ時代に逆戻り

 [東京 13日 ロイター] 13日の東京市場は不安定な地合いが続いている。朝方発表された7─9月期の国内総生産(GDP)が予想を上回る堅調な伸びとなったものの前日に急激な株売り/円買いが進行しただけにリスクポジションをとる動きは極めて限定的だ。

 11月13日、東京市場は不安定な地合いが継続し、長期金利はデフレ時代に逆戻りした。写真は12日に都内で撮影した株価ボード(2007年 ロイター/Toru Hanai)

 こうした中で債券市場では買い意欲が強まり、10年債利回りが節目の1.5%を下回り、量的緩和解除前の水準に逆戻りした。米国景気の減速や急激な円高によって日本経済が悪影響を受けるとして、日銀の利上げ時期の後ズレが強く意識されている。

 <下値模索の株式市場>

 株式市場では、日経平均が午後に入り、再び、下値模索の展開。一時1万5000円を割り込んだ。先物に売りが強まっているほか、銀行株が伸び悩んでいる。 「日経平均は、テクニカル的には1万4700─1万4800円程度まで下げてもおかしくはない。下げ止まり感が出るのはヘッジファンドの解約売りが出るとみられる11月中旬を通過したあとではないか」(大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部部長高橋和宏氏)と、神経質な地合いは目先続くとの見方が多い。

 世界的なリスク資産から安全資産へのシフトは続いている。米国市場では株式だけでなく、高騰を続けてきた原油、金などの商品市況も下落。これを受けて東京株式市場では非鉄、商社、石油株などが売られている。中国、インドなどアジア株も高値圏からピークアウトしつつある。「米利下げ期待が根強い半面、金融機関の損失拡大が相次ぎ、信用収縮への懸念もある。流動性がせめぎ合っている状況だが、市場のマインドは改善の兆しがみられない」(準大手証券ストラテジスト)という。

 三菱UFJ証券、投資情報部長の藤戸則弘氏は、7─9月期GDPが堅調な景気実態を示したことで朝方は中長期資金が下値に買い戻しを入れているようだ、としつつ「下値の指し値買いにとどまり上値を買っていくような動きにはなっていない。やや円安方向に戻っている為替が壁に当たって跳ね返されるようであれば、株価も再び不安定な動きになる可能性がある」と、センチメントの弱さを指摘する。

 <追加策求める市場>

 ドイツ証券チーフエクイティストラテジストの下出衛氏は「問題は、下げ渋り感の出てきた米国株も含め、買い戻しで時間を稼いでいる間にサブプライム問題に対して何ができるかだ。金融セクターの処理が終わらないにもかかわらず米当局が利下げを停止するかもしれないという不透明感が日米株価のセンチメントを悪化させている。問題に対処するためには金融セクターだけでは無理で、公的な関与など緊急避難的なものも含めた追加的な政策が必要だ」と話す。

 為替市場でも同様の声が出ている。香港上海銀行、外国為替営業部長の花生浩介氏は「ポイントは引き続き米株動向であり、その背景にあるサブプライム問題だ。米株はテクニカル上の正念場にあり、下抜けすれば一段の下落もあり得る」とし、そのうえで「金融市場の落ち着きのためには、利下げと金融再編、財政投入とオフバランス化といった処理が必要」と話す。

 <株にらみ続く円相場>

 この日のドル/円は、朝方、仲値不足観測もあって110円台を回復した。海外勢がドルを買い戻しているほか、個人や機関投資家、輸入業者、投信など国内勢がドル買いを入れ、一時は110.53円まで反発した、という。ドルの下値には、中銀や産油国マネーなどの買い注文がみられた、との声も聞かれた。

 ただ、その後は、日経平均が200円を超す下げになるなど不安定な動きをみせる中で再び、円キャリーの取引の巻き戻しが意識され110円割れになるなど、株にらみの動きが続いている。

 <長期金利が1.5%割れ>

 円債相場は続伸。新発10年288回債利回りは、2006年1月26日以来ほぼ1年10カ月ぶりの低さとなる1.490%に低下した。日銀が量的緩和政策を解除する前の水準に逆戻りしたことになる。サブプライム問題をきっかけにした金融市場の動揺がおさまらず、安全資産として引き続き、債券が買われている。

 心理的な節目の1.5%を割り込んだことについては「売り手不在の中、順張り系や平準的な買いで金利がじりじり低下している」(ABNアムロ証券・チーフ債券ストラテジスト、市川達夫氏)との声が聞かれた。

 新光証券・債券ストラテジストの三浦哲也氏は「1.4%台はデフレ時代の長期金利の目安。7―9月期のユニットレーバーコストのマイナス幅が拡大しているのもデフレ意識を支え、買いをあぶり出した」と話す。

 <1.4%台定着にはハードル>

 1.5%割れの長期金利は定着するのか。新光証券の三浦氏は「1.4%台で滞留するには安定維持装置が必要だ。前回は量的緩和策の時間軸効果があったが、いまはない。長期金利は1.4―1.8%で推移するとみるが、1.4%台が定着するのは難しい」とみる。

 ABNアムロ証券の市川氏も同意見だ。「長期金利1.5%割れの水準はファンダメンタルズ面で根拠がないため、その持続性に乏しい」という。そのうえで「時間の経過とともに、マーケットがいつの間にか日銀利上げを織り込むような展開も予想される。投資家は溜まった余剰資金を止むを得ず消化する動きがあるかもしれないが、基本的に売るに売れず、買うに買えず、相場の流れに身をまかす姿勢を続けるだろう」とし、「月内は底固く推移する可能性があるが、12月4日の10年債入札が近づいてくると、表面利率引き下げへの警戒感も浮上しやすい」という。

 <利下げのサブシナリオ>

 円債市場では、日銀による金融政策をめぐって「次の一手は利下げ」との見方はほとんど聞かれない。ただ、みずほ証券チーフストラテジストの高田創氏は、投資環境の変化とともに、誰しも利上げのシナリオしか想定していなかった状況から、利下げも否定できない、との意識変化があれば、市場に変化が出てくる、と語る。緊急避難状況としながらも下期の運用にあたってそうしたサブシナリオを考える必要がある、と指摘している。 

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者)

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