November 22, 2007 / 7:44 AM / 11 years ago

株価が乱高下、日経リンク債に絡む思惑も一因か

 [東京 22日 ロイター] 株式市場は先物主導で乱高下を続けているが、その背景に日経リンク債のノックインをめぐる攻防があるとみられている。思惑交錯で先物、オプションなどデリバティブ市場の売買高が急増。市場のかく乱要因になっているとの見方が出ている。

 11月22日、株式市場は先物主導で乱高下を続けているが、その背景に日経リンク債のノックインをめぐる攻防があるとみられている。写真は16日、東京で撮影(2007年 ロイター/Yuriko Nakao)

 個人向けには「リスク限定型ファンド」などとして販売されることも多い通称「日経リンク債」とは、海外政府系金融機関の債券などに日経平均プットオプションの「売り」を抱き合わせた「仕組み債」と呼ばれる金融商品のひとつ。オプションの「売り」によって得られるクーポンが高利回りの原資となる。

 投資家の人気を集めているノックイン条項型の日経リンク債の場合、当初に定められた期間中に決められた「ノックイン価格(バリア)」に1度もタッチしなければ、投資家は高い利回りを得られるが、バリアにタッチすると償還額は日経平均株価に連動することになる。株価が上昇基調にある時や、変動が少ないときは問題ないが、相場が急落すると状況は一変する。「現状ではノックイン価格が1万4400―1万4600円のリンク債が多く、先物市場ではこれを意識した売買も目立つ」(東海東京証券マーケットアナリストの鈴木誠一氏)という。「ヘッジファンドなどがノックインを狙った売りを仕掛けている可能性もある」(外資系証券)との見方もある。

 ノックインを狙った売りとは何か。やや技術的になるが簡単にからくりを説明しよう。投資家が購入するリンク債にはプットの売りが組み込まれている。投資家は高利回りの債券を買ったと錯覚しやすいが、実はプットの売りを購入してクーポンを得ているに過ぎない。逆に運用サイド(証券会社の自己売買部門など)はプットの買いで対応する。このプットの買いポジションを放置すれば運用サイドにとってリスクとなるため、ヘッジの先物買いを入れる。デルタヘッジと呼ばれるこの手法は、株価がバリアから放れていれば少ないヘッジで済むが、バリアに接近するとオプションの発生確率が高まるため、幾何級数的にヘッジ量を増やさなければならないという特徴がある。

 いま市場でかく乱要因とされているのは、日経平均マイナス20%に設定されたリンク債だ。日経平均が高値圏の1万8000―1万8300円で設定されたリンク債のバリアは、1万4400―1万4600円となる。日経平均が下がるのに応じて運用サイドはデルタヘッジの先物買いを積み上げる一方でノックインを狙う投機筋は先物の売りを仕掛ける。このせめぎ合いの過程で先物の出来高が膨らむことになる。

 では何故ノックインを狙うのか。バリアに接触した瞬間にオプションが発生し、ヘッジが不要となるからだ。仮にバリア1万4400円のリンク債なら、日経平均が1万4400円になった時点で、リンク債を購入した投資家は元本に対して20%の損失を負う。逆に運用サイドはプットの買いポジションで相応の利益が出る。ヘッジが不要なった大量の先物は成り行きで処分されるため、株価の下げを加速させる要因になる。売り方はノックインに伴うデルタヘッジの先物売りを狙っているわけだ。

 もっとも、実際には思惑先行の売り買いが交錯し、売り方が狙うような急落にならない場合も多い。2006年6月の急落局面では高値から約20%調整したが、大量のノックインが発生する前に踏み止まったとの見方が多い。「ピーク時に比べれば設定額も減少している。売り方の材料にされている面もあり、過大な不安感を抱く必要はなさそうだ」(野村証券ストラテジストの藤田貴一氏)との指摘もある。

 (ロイター日本語ニュース 河口 浩一記者;編集 橋本浩)

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