[ニューヨーク 10日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は11日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。FOMCの声明発表は、米東部時間11日午後2時15分(日本時間12日午前4時15分)頃の予定。
市場では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標(現行4.50%)が25ベーシスポイント(bp)引き下げられるとの予想が多い。公定歩合については、より大幅な引き下げも予想されている。
◎以下はFOMCで検討される可能性のある材料。
<市場/中央銀行の行動> 金融機関に対する懸念の再燃で、年末の資金需要が一段と強まり、銀行間金利は過去数週間急上昇が続いている。
FRBは11月26日、年末越えの資金需要に応えるため、通常より多くの資金供給を行うことを明らかにした。
欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)も短期金融市場に対し、十分な資金供給を実施している。
英中銀は約2年ぶりに利下げを実施し、ECBは政策金利を据え置いた。
FRBはFF金利と公定歩合の格差を縮小するため、今回公定歩合を大幅に引き下げる可能性がある。FF金利と公定歩合のスブレッドは8月に100pbから50bpに縮小している。
FRBによると、12月5日の連銀貸し出しは21億5000万ドルとなり、9月以来最大となった。年末をカバーする最初の時期であり、窓口貸出金利が市場金利を下回っていたため、連銀貸し出しが急増したと見られている。
<経済>
11月の非農業部門雇用者数は9万4000人増加し、予想の範囲内だった。10月は16万6000人増に修正された。
第3・四半期の国内総生産(GDP)は前期比年率4.9%増となり、この4年で最高水準。ただ、景気は今後数四半期、大幅に減速する見通し。10月の個人消費支出は前月比0.2%増にとどまり、予想を下回った。10月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇し、連鎖ベースの個人消費支出は前月比変わらずとなった。9月は0.1%増だった。
ロイター/ミシガン大学の12月の消費者調査速報値は74.5と3カ月連続で低下した。米供給管理協会(ISM)の11月の製造業部門景気指数は50.8と前月の50.9から低下。低下は5カ月連続。ISMの非製造業部門景気指数は54.1となり、前月の55.8から低下した。10月の鉱工業生産は0.5%減少。減少は5月以来。
<住宅>
住宅関連の指標は依然として軟調。10月の新築1戸建て住宅販売戸数は年率ベースで72万8000戸となり、市場予想を下回った。9月は77万7000戸から71万6000戸に下方修正された。第3・四半期の住宅平均価格は前期比で13年ぶりに下落した。10月の住宅着工件数は3%増加。10月の中古住宅販売戸数は1.2%減少。10月の建設支出は0.8%減少し、7月以来最大の減少率となった。
<インフレ>
10月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は前年比1.9%上昇。10月の輸入物価は前月比1.8%上昇し、2006年5月の水準と並んだ。
<その他>
米原油先物は1バレル=90ドル台の高値からは押し戻されている。ドル相場は先月、対ユーロで1.4968ドルの過去最安値をつけて以来、小動き。第3・四半期の非農業部門労働生産性・労働コスト改定値は前期比6.3%上昇。
<最近のFRB高官発言>
バーナンキ議長「金融市場での混乱の再燃により、過去1カ月間で見通しは重大な影響を受けた。金融市場は9月と10月に改善したが部分的に悪化している」
コーン副議長「混乱の高まりが長引けば、家計や企業の財務状況が一段とひっ迫する可能性が強まるだろう」