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松下が10月から社名を「パナソニック」へ、グローバル化で創業家名に幕

 [東京 10日 ロイター] 松下電器産業6752.Tは10日、今年10月1日付で社名を「パナソニック」に変更すると発表した。国内外で販売する商品のブランド名も「パナソニック」で統一し、国内の白物家電などで使われている「ナショナル」のブランド名は2009年度中をメドに廃止する。今年創業90周年を迎える同社は、創業者の故・松下幸之助氏の名を冠した社名から、国際的に浸透した「パナソニック」に変更することで、グローバル企業へ脱皮する意思を内外に示す。 

 1月10日、松下電器産業が今年10月1日付で社名を「パナソニック」に変更すると発表。写真は3日に米ラスベガスで開催の国際展示会会場で撮影した同社ブースの設営作業(2008年 ロイター/Las Vegas Sun/Steve Marcus)

 <ローカルイメージ払しょく狙い>

 大坪文雄社長は同日、4月から始まる2008年度の経営方針発表で記者会見した。大坪社長は社名変更を通じて「一つの名前、一つのブランドの下にグループが結束し、ブランド価値向上を図る」と強調。同社長は、「松下」の社名と「パナソニック」と「ナショナル」にブランド名が並立することで、「全社員の努力が3つの名前に分散していた」とした上で、「『松下』の名前は若干ローカルなイメージがある」と語り、海外市場での販売拡大を成長の柱に位置付ける同社には、ブランド力強化の観点から社名変更が必要との認識を示した。

 「経営の神様」と呼ばれた創業者の名前を冠し、日本を代表する企業社名を変更することについて同社長は、「断腸の思いはあるが、ノスタルジーに浸るよりは、松下の発展につながる」と述べた。創業家から取締役会に参加する松下正治相談役名誉会長と松下正幸副会長には昨年12月に社名変更の方針を説明し、快諾を得たという。子会社の松下電工6991.Tは「パナソニック電工」になる。社名変更に伴う費用は今後1─2年で300億円前後になるとの見通しを示した。

 <新興市場、液晶テレビを強化>

 2008年度の経営方針として、売上高は07年度(8兆7800億円の見込み)比5%以上の増加を、08年度のROE(株主資本利益率)は8%以上をそれぞれ計画する。具体的には、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)にベトナムを加えた新興5カ国での売り上げを07年度比で25%伸ばし5000億円以上に引き上げる。また、海外での白物家電事業を強化し、冷蔵庫と洗濯機を欧州で新規投入する。

 最重要分野と位置付ける薄型テレビ事業は、世界シェアトップのプラズマテレビのほか、液晶テレビも強化する。プラズマは09年5月の稼動目指して兵庫県尼崎市に新工場を建設中。総額2800億円の投資額などの従来計画は、「予定通り進めている」(大坪社長)としている。液晶テレビは、昨年新規に発売した37型を全世界展開するほか、40型台の発売も視野に入れる。

 また、これまで慎重だった次世代パネルの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を搭載したテレビへの取り組みにも意欲を示した。「大画面テレビの有機ELを考えている。2015年ごろから立ち上がるイメージ」(同)と説明した。

 薄型テレビとともに設備投資で重視する半導体については、砺波工場(富山県砺波市)に約940億円を投じて、デジタルカメラ向けのイメージセンサー(撮像素子)の新棟を建設する計画も発表した。

 <CO2排出量削減>

 08年に入り京都議定書における地球温暖化ガス排出削減の約束期間が始まったことで、事業活動に伴う二酸化炭素(CO2)排出量削減も強化する。06年度の排出実績(400万トン)比で08年度に10万トン、09年度に30万トンの削減に取り組む。

 (ロイター日本語ニュース、浜田 健太郎記者)

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