February 15, 2008 / 10:31 AM / 10 years ago

食品業界に再値上げの波、消費マインド悪化の中で浸透へのハードル高く

 清水 律子記者

 2月15日、食品各社は再値上げの方向で検討しているが、消費者マインドは悪化しており、値上げの浸透はハードルが高くなりそうだ。写真は先月25日に都内の食品スーパーで撮影(2008年 ロイター/Yuriko Nakao)

 [東京 15日 ロイター] 政府の小麦売渡価格が4月から30%引き上げられるのを受けて、製粉各社は再値上げの検討に入った。食品各社も小麦を使用するパンや麺などを再値上げする方向で検討している。

 ただ、身の回り品の値上げや株価下落で消費者マインドは悪化しており、値上げの浸透は、これまで以上にハードルが高くなりそうだ。 

 政府が海外から輸入し、製粉会社に売り渡す小麦の価格は、調達価格に連動させる形で4月と10月の年2回改定される。昨年4月には1.3%、10月には10%価格が引き上げられたが、その後も小麦の国際価格の高騰が続いており、これをストレートに反映すると国民生活や関係業界への影響が大きいと判断し「3割に抑えた」(農水省)という。

 製粉業界では「企業努力では吸収できない」と悲鳴が上がっている。業界最大手の日清製粉グループ本社(2002.T)は、政府売渡価格の30%引き上げで年間300億円のコスト高になるとし「上がった分は価格に反映させて欲しいと考えている」(広報)としている。日本製粉も「企業努力の範囲を超えている。値上げをせざるを得ない」(広報)とする。ただ、各社とも、値上げ時期や幅については、これから検討することになるという。

 小麦の値上げに伴い、小麦粉を使用する即席麺やパンにも値上げは波及する。日清食品(2897.T)の安藤宏基社長は「(政府売渡価格が)30%上がると(商品価格を)引き上げざるを得ない」と述べ、1月に値上げを行ったカップヌードルなどの再値上げを検討する考ええ。製パン業界最大手の山崎製パン(2212.T)の飯島延浩社長も14日、再値上げの可能性に言及したほか、第一屋製パン(2215.T)も「アイテムカットや業務配送費の内部努力で吸収させるが、業界動向をみながら再度値上げを実施する可能性がある」(今井誠執行役員経理部長)と述べている。

 一方、足元では消費者マインドが急速に悪化している。1月景気ウオッチャー調査の景気現状判断は31.8となり、2001年12月以来の低水準となった。また、1月の消費者態度指数は03年3月以来の低水準となる一方で、1年後の物価見通しは「上昇する」との予想が4カ月連続で過去最高を記録。所得環境が好転しない中で、ガソリン高騰や値上げが消費マインド悪化の一要因となっている姿が浮かび上がっている。

 消費者マインド悪化に配慮する形で原材料価格上昇の転嫁が進まなければ、業績には下方圧力がかかる。ゴールドマンサックス証券のアナリスト・田中克典氏は、政府売渡価格の30%引き上げで山崎製パンは今期70―80億円のコスト上昇になると指摘。そのうえで「同社は小麦価格上昇の影響を最も受ける企業であり、完全な価格転嫁は難しい」とし、会社計画の業績見通しの下方修正は不可避だとしている。

 ただ、菱食(7451.T)の皆本睦夫専務は15日の決算会見で「(値上げに否定的な)小売り業界も価格改定を飲まざるを得ない状態になりつつある」とし「今後は最終消費者が、値上げに対してどう対応するかがポイントになる」と述べている。 

 (ロイター日本語ニュース 取材協力 水野文也記者 編集 宮崎亜巳)

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