February 27, 2008 / 10:30 AM / 11 years ago

インタビュー: 日本版SWFの議員立法を早期提出へ=山本前担当相

 [東京 27日 ロイター] 自民党の国家戦略本部(本部長:福田康夫総裁)の「SWF検討プロジェクトチーム」の山本有二座長(前金融担当相)は27日、ロイターのインタビューに応じ、日本版政府系ファンド(SWF)の創設に向けて、議員立法で法案を早期に提出する意向を示した。

 2月27日、山本前金融担当相は日本版SWFの議員立法を早期に提出する意向を示した。写真は昨年7月にハノイで撮影(2008年 ロイター/Kham)

 日本版SWFの運用原資は、年金基金のほか外貨準備や政府保有株を想定。外貨準備の場合、原資を運用益(2006年度は3.5兆円)に限定するルールを設けることで市場のドル離れの懸念は払しょくされるとの見方を示した。

 山本座長は、SWFの運用に関して、外部の運用会社に委託する構想を明らかにした。単年度ごとの収益管理で運用会社を競争させるとともに、発注先の会社は、国内外を問わずに募集するが「日本に事務所を置く」ことを条件にすることで、世界各国から金融のプロフェッショナルが日本に集まり、金融市場の活性化に貢献できるとの考えを示した。

 自民党は同PTの初会合を2月22日に開き、日本版SWFの可能性について議論を開始した。

 インタビューの概要は以下のとおり。

 ――日本版SWF創設で、日本の市場は活性化するか。

 「すでに政府は資産を運用しているという人もいる。外貨準備で米国債を買って、2006年度に3.5兆円の利息収入がある。NTT(9432.T)、日本たばこ産業(2914.T)など政府が保有する株式だけでも配当益がある」

 「そういうものを整理して機能性を持たせるだけでいいかもしれないが、今後は、アクティブ運用が可能かどうかという世界になる。日本版SWFはその突破口。それは損をする道になると言われるかもしれないが、市場は活性化せずに沈滞している。金融市場強化とか、金融産業を起こそうと百万回言うよりも現実味がある」

 ――他国のSWFは参考になるか。

 「日本は資源国ではないので、中東諸国のようなSWFをとり得ない。シンガポールや中国は、西洋型民主主義の国ではない。しかし、ノルウェーは西洋型民主主義の国で情報開示はしっかりしている。情報開示を徹底するのがわれわれの基本的な考えだ。民間の経営を支配しない、金融市場で混乱を起こさない、外交政策の意図がない、これが条件で、国際的に共通の情報公開が必要だ。それがクリアーできれば日本版SWFのスタートにこぎつけられると思う」

 ――情報開示のあり方は。

 「企業開示と同じくらいのイメージだ。企業よりクローズだとおかしいが、必要以上に開示するのも異様だ。株式会社が開示する程度までオープンにすれば市場は安心感を持つ。私は開示基準をそこに置いている。世界各国のSWFの開示は遅れている。参考になるのはノルウェーだけだろう」

 ――日本版SWFの運用原資は何を想定するか。

 「政府には、年金基金のほか、保有する不動産もあれば、上場企業の株式も持っている。銀行株も金融危機のときに出した資本があり、それを考えると膨大な運用資産がある。年金基金、外貨準備、ゆうちょ銀行など民営化の会社の出資、これらが政府系ファンドになるのだろう」

 「ファンドは1本ではないほうがいい。シンガポールのGCIとテマセクは競争している。年金とそのほかの運用は思想が違う。それぞれの特徴があっていい」

 ――複数のファンドで、それぞれの資産規模はどのくらいを想定するか。

 「民間のファンドで運用する小単位が2000億円で、それ以下だとファンドとして成り立たない。独立して何かやらせようとすると2000億円以下だとつぶれてしまう」

 ――外貨準備の運用には財務省が慎重だ。

 「外貨準備は、ほぼすべてが米国債に充てられているので、これを売ったり買ったりし始めると日米関係の機軸に変化が生じる。特に、米国債を売るのは米国の信用に関わる。これをむやみにやるのは弊害を起こす」

「ただ、外貨準備には2006年度で3.5兆円の利息が付いている。この一部を運用する目的なら、制度的にも、日米の親密な関係にも水を注さない。できればルール化して利息分以上は運用できないという上限を設ける法律や規則を作ったほうが誤解がない。そのメッセージで(ドル離れの市場の懸念も)払しょくされる。2000億円規模でスタートすれば民間ファンドでも小さいほうなので、インパクトある話ではない」

 ――外貨準備の運用益は一般会計を繰り入れている。それをSWFで切り離すと赤字国債の発行につながる。

 「運用益の50%しか一般会計に入れていないので、一般会計を入れた残りの積み立て分だけを上限に設定してもいい。3.5兆円の半分1.75兆円を上限にしても10年経てば大きな資産になる。すべてを悲観的に考えるかどうかの違いだ」

 「財務省のエリートはクールでクレバーであってほしい。そういう人たちが保守的で悲観的なことばかり言っているとこの国の将来が案じられる」

 <SWFで運用競争を>

 ――SWFの制度的な枠組みはどうなるか。

 「政府の資産を所管している各省庁から財務大臣が預託を受ける。この法律を作った後、財務大臣から特殊会社の投資会社に委託契約する法律がいる。役員は4人くらいでいいと思うが、ここでファンドマネジャーを雇って直接運用させるか、あるいは、外部の会社と契約するかの設計図を書いてもらう流れになると思う。つまり、年金基金の運用も財務相に一本化したほうがいい」

 ――損失が出たら批判がでそうだ。

 「(法律では)財務相から投資会社に委託する段階で、損失の範囲を明記するので、そこでノイズを遮断する」

 ――収益管理と運用体制はどうするか。

 「最初は単年度で考えるべきだ。外債、外貨、株式、オルタナティブなどにポートフォリオを分けて、その中で10社くらいに発注して競争してもらう。それを選ぶのがSWFになる。単年度で利益を上げないと退場してもらう。発注する会社は内外無差別だが日本に事務所を置くことを条件にする」

 「日本で政府資産を積極的に投資すると言うだけで海外から運用会社が100社くらいくるかもしれない。1社あたり10人の事務所として1万人の金融のプロフェッショナルが来る」

 ――SWFの利益はどうするのか。 

 「基本的に一般会計に入れる。そして、一部は金融環境の整備にも充てられるといい。人材発掘など日本の金融教育などにも資金を使いたい」

 <議員立法で早期実現目指す>

 ――日本版SWFの実現に向けて、国家戦略本部のPTの報告はいつごろ出すか。

 「それは議論の熟度による。野党にも議論してもらわないといけない。野党の理解がないと法律は通らない」

 ――党内の議員連盟が4月に出す中間報告をベースに検討チームで議論していくことになるのか。

 「そうなるだろう」 

 ――福田康夫首相はどのように言っているのか。

 「慎重かつ積極的にということだ。慎重というのはすぐに始めないでということで、積極敵にというのは勉強はどんどんやってほしいということだ。首相には財務省の幹部が周りを囲んでいるので、やらないほうがいいというメッセージしかもらっていないみたいだ」

 ――SWFの実現には議員立法で出すか。

 「今の段階では政府にお任せして、SWFの法律ができるとは思わない」

 ――議員立法はいつ提出を目指すか。

 「これはスピードだ。できるだけ早いほうがいい。中国も上海万博が終わってからでは成長しないかもしれない。BRICsが成長していて、世界がまだ流動性を維持している間にやりたい」

 (ロイター日本語ニュース 村井 令二 西川 洋子)

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