Reuters logo
ドル上昇は「消極的買い戻し」の公算、上値試しは短期的か
2008年4月2日 / 10:12 / 10年後

ドル上昇は「消極的買い戻し」の公算、上値試しは短期的か

 [東京 2日 ロイター] 2日の東京外為市場でドル/円JPY=は1カ月ぶり高値を更新したが、市場では「消極的な買い戻しにしか過ぎない」(都銀のチーフディーラー)と、上昇は長続きしないとの見方が出ている。

 4月2日、東京外為市場でドル/円は1カ月ぶり高値を更新したが、市場では「消極的な買い戻し」との見方が出ている。写真は先月26日にトロントで撮影(2008年 ロイター/Mark Blinch)

 テクニカル的に勢いづいた買いで104円付近への反発を見込む声もあるが、ドル/円の予想変動率(インプライドボラティリティ)は依然としてドル安を示唆するなど、信用リスクの高まりを背景とするドル安地合いに変わりはないとの声も根強い。

 <UBS決算で短期的にあく抜けか、ドル104円付近が上値めど>

 「何かおかしい」――。きょう朝方からドル/円を買い持ちにした、ある外銀ディーラーは午前の取引状況を眺めながらつぶやいた。「誰かが上値でずっと売り続けている。昨日からドル高にはなっているが、勢いがなさすぎる」と話す。

 ドル/円が2日の東京市場で一時、3月12日以来のドル高/円安水準となる102.34円まで反発した背景とされるのが、UBSUBSN.VXの決算発表だ。190億ドルの評価損を計上する一方、150億スイスフランの株主割当増資を検討していることを明らかにし、同社株が海外市場で大きく上昇。外為市場では前日からドルの買い戻しが勢いづいた。そのほか米経済指標が予想を上回ったことや、米リーマン・ブラザーズLEH.Nの40億ドルの転換優先株発行、中国投資有限責任公司(CIC)が30億ドルを出資する米プライベートエクイティ大手のブラックストーン(BX.N)が、不動産ファンドで100億ドル超の資金を集めた――などが、ドル買い戻しの手掛かりとなった。

 この1カ月間、ドルのレンジ上限として短期筋や輸出企業の戻り売りが待ち構えていた101円台を大きく上抜けたことで、市場では「テクニカル上の買いが勢いづいてきた」(都銀)との声が多数出ている。この日の東京市場でドルは、値動きこそ101円後半から102円前半で一進一退となったが、水面下では「輸出企業の売りがかなりの量で出ている。それでも崩れないのは、モデル系やマクロ系などの海外ファンドが断続的にドルを買い支えていたため」(邦銀の為替部門顧客担当者)と、売買は激しく交錯した。

 テクニカル上、多くの参加者が次の上値めどとするのは、3月前半の戻り高値となった104円付近。市場では、ドル安の長期化でドル売りポジションが大きく積み上がっているとの見方から、ドル買い戻しがさらに勢いづけば110円付近への戻りも考えられるとの声も出ている。

 <ドル上昇にユーロ売りの側面、独銀の決算発表でサブプライムへの疑念深まる>

 しかし、こうしたドル買い戻しに首をかしげる参加者も少なくない。ある都銀関係者は前日のドル上昇を「きっかけになったのは高値圏で買い姿勢の強まっていたユーロへの売り。ドル買いは結果論でしかない」と見る。株主割当増資が行われるとはいえ、UBSの損失額は190億ドルと巨額。さらに前日には、ユーロ圏で景気見通しに不透明感の強いとされるスペインで、同国中央銀行が国内総生産(GDP)見通しを3.1%から2.4%へ下方修正。ユーロ圏の景気けん引役とされるドイツでも、2月小売売上高が1年ぶりの落ち込みとなるなど、ドル安の一方で買いが強まっていたユーロにも、不透明感が強まり始めた。4日の3月米雇用統計や来週末の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)を前に、史上最高値の続いていたユーロ/ドルに利益確定の売りが強まり、ドルが消去法的に買い戻されたとの見方だ。

 ドル買い戻しに否定的な見方の1つとして、ドイツ銀行(DBKGn.DE)が発表した決算に対する懸念もある。UBSがサブプライムのエクスポージャーを5割近く削減したと発表して決算の透明性をアピールしたのに対し、ドイツ銀は声明で「25億ユーロ前後の評価損を計上する見込み」としたのみ。「発表の不透明さは、事実を正確に言うとまずいのではないかとの疑いにつながり、金融機関全体への疑念につながる。UBS決算でサブプライム問題が1つ解決に向かったとの見方は軽すぎる」(市場筋)という。実際、前日の欧州株式市場では、決算発表後にUBSの株価が1割超の上昇となった一方、ドイツ銀の株価は3%程度の値上がりにとどまっている。

 <ドル/円の予想変動率は依然として下値リスクを示唆、ポジション調整で値動き軽く>

 スポット市場でドルが1カ月ぶり円安水準へ大きく上昇したにもかかわらず、通貨オプション市場では、ドル上昇が長期化するとの見方はほとんどない。ドル/円の予想変動率(インプライド・ボラティリティ)は2日、1カ月ぶりの円安水準を反映して期近物、期先物ともに小幅低下したが、1年物JPY1YO=は11.4%付近と昨年8月に付けた歴史的高水準を維持。「まだ下落リスクがあるとの見方から(すでに手当てしてある円高進行に対応したオプションのポジションを)売れない参加者が多い。円高警戒感がなくなったとはとても思えない状況」(別の都銀)だ。「相次ぐ利下げで、ドルには金利面の優位性がなくなった。サブプライムが相変わらずくすぶり、リセッション懸念も残るドルを買い続けるのは難しい」(外銀)という。

 これまで大きく売り込まれたドルに買い戻しが強まったため、高水準とされていた参加者のドル売りポジションはいったん解消された状況だ。「これで、悪材料があれば、再びドルは下値を試しやすくなった」(冒頭の都銀チーフ)との声は少なくない。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below