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TCIが株買い増し中止勧告を拒否、政府は5月14日までに中止命令

 [東京 25日 ロイター] 日本政府から電源開発(Jパワー)9513.T株の買い増しの中止勧告を受けた英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)は25日、勧告の受け入れ拒否を政府に通知したと発表した。これを受けて政府は、TCIに弁明書の提出を求めた上で、5月14日までに投資計画の中止命令を発動する方針。

 TCIはJパワー株の9.9%を保有する筆頭株主。保有比率を20%まで高めるため今年1月、外国為替および外国貿易法(外為法)に基づき事前申請したが、政府は4月16日に「公共の秩序の維持を妨げるおそれがある」として中止を勧告。25日が勧告を受け入れるかどうかの回答期限だった。

 これに対してTCIは、中止勧告を拒否。その理由として、1)勧告の事実認識が誤っている、2)審査の手続きが透明性を欠いている――などを挙げたほか、中止勧告が日本市場に悪影響を及ぼすとして、政府に結論を見直すよう求めた。

 しかし、政府は、中止勧告の拒否を受けて、5月14日までに中止命令に切り替える方針。政府はきょうにもTCIに弁明書の提出を求める。弁明書は1週間以内を期限として、5月連休明けにも中止命令を発動する見通し。TCIにとっては、命令の発動後は60日以内に異議申し立てが出来る。最終的には、行政訴訟を起こす選択肢もある。

 <TCI、中止命令の対応は決めていない>

 TCIのアジア代表、ジョン・ホー氏は25日、経済産業省内で記者会見し「今回の勧告は非合理で不透明な理由でなされた」と指摘した。さらに「安全保障や公共の秩序を建前に、株主を選り好みするのは間違っている。日本市場に市場原理が通用しないとなれば悪い影響をもたらすだろう」として、政府に結論を見直すよう再考を求めた。

 ただ、日本政府関係者によると、法律上の手続きでは、中止勧告の見直しや撤回は不可能という。これに対してホー氏は「政府の判断を待ちたい」とだけ述べた。また、中止命令が出た場合の対応については「まだ決めていない」とした。

 TCI英国本社のクリス・ホーン代表が23日付けで英国政府の閣僚に書簡を送ったことについては「今回の中止勧告が非合理で不透明な理由でなされた。英国政府に調査を要請した」と説明した。ホー氏によると、英国政府の反応としては「手紙を受理したとの回答を受けた。これから調査に真剣に取り組んでいくとの回答を受けている」という。

 <勧告の事実認定は誤っている>

 TCIは、政府の中止勧告について「電力の安定供給が妨げられるおそれを指摘したが、安定供給が阻害されれば、TCI自身の利益に反する」と反論。また、TCIによる増配提案が実現しても、設備投資や修繕費の削減につながるとの懸念を否定した。

 また、TCIは、外為法の審査手続きについて「経済産業省は何らの基準も示さなかった」と指摘し、関税・外国為替等審議会が2回の会合で結論をまとめたことや、甘利明経産相や北畑隆生事務次官が審査期間中にTCIの追加投資に反対する内容の発言を繰り返したことを批判した。

 さらに政府が中止勧告書の中で、1)青森県の大間原子力発電所の建設の凍結や遅延、2)設備投資・修繕費の削減、極端な増配や自社株買い――が「TCIの選択肢となる」と指摘したことに対して「そのような提言はしていない」として事実認定が誤っていると反論した。

 <Jパワーへの株主提案、他の投資家の理解は浸透していく>

 また、ホー氏は記者会見で、Jパワーに対し、2つの増配提案のほか、社外取締役の導入・持ち合い解消・自社株買いを含む5つの株主提案を提出したことに触れて「コーポレートガバナンスと企業価値を上げるためにまとめた」と説明した。さらに「経営陣や他の投資家がこの提案に賛同することで、日本市場の海外からの信頼が向上する」と強調した。

 6月の株主総会に向けた委任状勧誘など対応については「まだ2カ月あるので、どう行動するかは決めていない」とした。ただ、5つの株主提案については「われわれはメリットを訴えていく。他の株主の理解は浸透していくと思う」と語った。

 一方で、Jパワーが社外取締役の導入を検討すると23日に発表したことについては「喜ばしく思う。昨日の株価をみても市場が歓迎していることは明らかだ」と述べた。ただ、5つの提案のうち「他にもできることはたくさんある」とも語った。

 ホー氏は、Jパワーの株価について「ほかの東証1部上場企業とどうように株価はアンダーバリュー(過小評価)されている」と指摘。そのうえで「よりよいコーポレートガバナンス(企業統治)ができれば株価は向上していくだろう」との見方を示した。

 (ロイター日本語ニュース 村井 令二)

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