April 30, 2008 / 7:05 AM / 11 years ago

〔ロイター・コラム〕如何にして新興市場のバブルを楽しむか

 ジェームズ・サフト、ロイター・コラムニスト

 4月29日、次にバブルが発生する可能性が高いのは新興国市場だ。だが、だからといって新興国への投資を控えるのは賢明ではない。写真は3月、ムンバイの証券会社で撮影(2008年 ロイター/Arko Datta)

 [ロンドン 29日 ロイター] 次にバブルが発生する可能性が高いのは新興国市場だ。だが、だからといって新興国への投資を控えるのは賢明ではない。

 新興国の株式市場は先進国に比べバリュエーションがすでに割高な水準にある。それでも、中国やインドなどの力強い景気拡大は今後も続く見込みで、新興国市場のプレミアムはさらに拡大していくに違いない。20世紀に好況を謳歌した経済大国が高齢化に伴い長期にわたる景気拡大が失速するとすれば、それはなおさらのことだ。

 かつてのネットバブルや住宅関連株のバブルがそうだったように、大きなリターンは多額の投資マネーを引き寄せ、少なくとも「当面」は株価上昇が妥当なように見える。

 問題は「当面」がどの程度の期間を意味するかだ。

 意外なことに、伝説的なバリュー投資家であるジェレミー・グランサム氏は新興国市場をバブルとも、好ましい投資先ともみなしている。

 資産運用会社GMOの会長を務めるグランサム氏は顧客向けリポートの中で「このバブルは長期的なバリューに基づいて正当化することはできないが、少なくとも、これまでで最も壊れにくいバブルとなるだろう」と指摘している。

 同氏によると、米国の国内総生産(GDP)成長率はここ数年、世界的な経済環境が非常に良好で、低コストの資金が潤沢にあったにもかかわらず、実質ベースで長期的なトレンドである3.5%を下回る水準で推移してきたのに対し、新興国市場では資源価格が高騰した上、都市部への人口流入で消費や生産性が押し上げられ、それ以上の急速な成長が続いた。

 グランサム氏の理論は基本的に、このような異なるトレンドが持続し、それを認識した投資家が新興国市場への投資を継続し、その結果バブルが膨張するという考えだ。

 果たしてバブルはどこまで膨らむのだろうか。GMOによると、日本のバブルがピークをつけたのは株価収益率が他の地域の2―3倍に達した場面で、ナスダック市場のバブルも同じ水準だった。

 グランサム氏は、新興国市場のバブルはプレミアムが50%に達すると予想する。それは「通常よりもはるかに低い」水準だが、それでも現在の水準よりははるかに大きなプレミアムだ。

 <非連動?それとも連動?>

 現在の新興国市場の株価水準は企業利益に基づけば先進国よりも割高だが、それは歴史的に異例のことだ。

 ソシエテ・ジェネラルのデータによると、新興国市場の株価収益率は現在15.9倍で、先進国市場の14倍を若干上回っている。過去13年の平均は新興国市場が15.6倍、先進国市場が22倍だった。

 このようなバリュエーションの相対的な変化は今後も続くのだろうか。

 ソシエテ・ジェネラル・コーポレート&インベストメント・バンキングのストラテジスト、アンドリュー・ラプソーン氏は、それははっきりしないとして、「新興国市場は商品相場上昇の恩恵を受けているのか?イエスだ。新興国市場の成長見通しは明るいのか?イエスだ。新興国市場は欧米の景気減速の影響を受けずに済むのか。おそらくそれは難しい」と述べた。

 一方、グランサム氏は、他国の抱える問題によってバブルが押し上げられ、おそらく長期化すると予想している。

 同氏は「市場の混乱は非常に激しいものとなるかもしれないが、それにもかかわらず、米市場が次に安値をつける局面では新興国市場はそれほど落ち込まず、米市場の回復局面では新興国市場のプレミアムが拡大するだろう。プレミアムは拡大ペースが緩やかだとしても5年以内に50%に到達し、米市場が困難を乗り切れば、そのペースは速まるだろう」との見方を示した。

 他国が直面する困難が新興国市場のプラス要因になると考える理由はほかにもある。その一つは、新興国市場では企業、家計部門とも借り入れが少ないことだ。長期にわたって借り入れ水準の低下が続けば、アジアの銀行や消費者は市場の混乱による影響をさほど受けずに済むことになる。

 新興国の消費者が豊かになっていることも、新興国市場の安定要因となろう。クレディ・スイスによると、世界全体の新興国の輸出の半分は他の新興国向けで、米国向けの18%を大幅に上回っている。

 好むと好まざるにかかわらず、世界の金融資本主義は本質的にバブルを生みがちだとの見方もある。そう考えれば、われわれはリラックスし、バブルを楽しめばいいのだ。

 米連邦準備理事会(FRB)や他の金融当局が、バブルの影響を和らげる対策はとるが、それを食い止める行動はとらない姿勢を示していることも、バブルに便乗しても許される理由となる。

 それはモラルハザードを伴うかもしれないが、肝心なのは、うまく儲けて早めに手を引くことだ。

 *この記事の内容は筆者の個人的見解に基づいています。また、この記事が送信された時点で、筆者は記事で言及されている証券に直接投資はしていませんが、ファンドを通じて間接投資している可能性はあります。 

 (翻訳 長谷部正敬 編集 加藤京子)

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