April 30, 2008 / 10:40 AM / 10 years ago

再送:足元経済は下振れ、機動的に政策運営=日銀総裁

  [東京 30日 ロイター] 日銀は30日、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表し、「現在のように不確実性が極めて高い状況のもとで、先行きの金融政策運営についてあらかじめ特定の方向性を持つことは適当ではない」とした。

 4月30日、日銀は「経済・物価情勢の展望」を公表し「経済・物価の見通しとそのがい然性、上下両方向のリスク要因に応じて機動的に金融政策運営を行っていく」との方針を示した。写真は会見する白川総裁。9日撮影(2008年 ロイター/Toru Hanai)

 その上で「経済・物価の見通しとそのがい然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて機動的に金融政策運営を行っていく」との方針を示した。10月時点では金融政策運営について「金利水準は引き上げていく方向にある」、「引き上げのペースについては、予断を持つことなく、経済・物価情勢の改善の度合いに応じて決定する」としていたが、この基本方針を転換した。

 白川方明総裁は記者会見で、この点について「前回までの展望リポートでは、それまでの経済・物価見通しを前提として、金利の水準調整をしていくという(引き上げ方向の)大きな方向感があったが、今回は足もと経済が下振れしている。それ以上にリスク要因が大きくなっているので、そうであれば金融政策のスタンスを分かりやすく説明していくという観点から、『機動的に』という表現が一番よいと判断した」と説明した。 

 <08年度は下振れリスク大きい> 

 展望リポートでは、2008年度から09年度にかけて「おおむね潜在成長率並みの緩やかな成長を続ける可能性が高い」との見解を示したが、同時に「海外経済や国際金融資本市場をめぐる不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響など景気の下振れリスクに最も注意する必要がある」と警戒感も示した。

 白川総裁は「08年度を展望したときに、景気の上振れと下振れのどちらの重点を置いているかというと、下振れの方に力点を置いている」と説明。実際、今回初めて公表した「リスク・バランス・チャート」(各政策委員が見通しが上振れまたは下振れる可能性について想定した確率分布を集計したもの)では、08年度実質国内総生産(GDP)の見通しの分布が下方向に偏っており、委員は上方リスクに比べて下方リスクが高いと考えている姿が浮き彫りになっている。

 7人の政策委員が予想する08年度実質GDPの中央値は前年度比プラス1.5%と、昨年10月時点の同2.1%から下方修正となった。最大値と最小値を除いた大勢見通しは同プラス1.4%―プラス1.6%。

 一方、初めて公表する09年度予想は、大勢見通しがプラス1.6%―プラス1.8%、中央値はプラス1.7%となっている。 

 <生産・所得・支出の好循環メカニズムは削除> 

 昨年10月展望リポートでは、日本経済について「生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、息の長い拡大を続ける」との見方を示していたが、今回のリポートではその表現が削除された。白川総裁はこの理由について、1)生産は横ばい圏内の動き、2)エネルギー・原材料価格高が企業収益などの所得形成を弱めている、3)支出は比較的底堅く推移しているが、設備投資の増勢は鈍化している──ことを指摘した上で「3つの面を点検すると、いずれも足もと弱まっており、その結果、記述が落ちた」と説明した。 

 <物価高とインフレ期待の上昇を注視> 

 一方、物価面については、食料品など身の回り品の相次ぐ値上げが消費者を直撃しており、1%程度の上昇にとどまっている消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比と消費者の物価観とがかい離しているとの指摘がある。白川総裁は、こうした状況について「物価の動きと、その結果生じる人々の物価に対する見方がどういうふうに変化していくのかということを非常に注意深く見ている」と警戒感を示し、さらに「消費者のインフレ予想を通じて先行きの物価を上振れさせる可能性もある。企業は価格を設定する際に従来はなかなか転嫁できなかったが、少し変わってくる可能性がある」とも語り、注視していく姿勢を鮮明にした。

 物価高と景気減速とが並存した際の金融政策については「(物価と景気が)食い違っているときは難しい問題となり、あらかじめ答えをもって臨むべきではない」と強調。一方で、物価上昇と期待インフレ率の上昇との関係については「物価の上昇が二次的な物価上昇、つまり期待インフレ率の上昇を通じて物価上昇をもたらさないのであればそれに対して(政策で)対応をするのは適切でないし、もし期待インフレ率の上昇をもたらすのであれば金融政策で対応すべしというのが、多分オーソドックスな考え方だ」と説明した。

 政策委員が予想する08年度消費者物価指数(除く生鮮食品)の中央値は前年度比プラス1.1%と、昨年10月時点のプラス0.4%から上方修正となった。大勢見通しは同プラス0.9%―プラス1.1%。

 09年度は、大勢見通しがプラス0.8%―プラス1.0%、中央値はプラス1.0%となっている。

 <物価安定の理解は0─2%で修正せず> 

 今回の会合では「中長期的にみて物価が安定していると各政策委員が理解する物価上昇率(中期的な物価安定の理解)」も点検した。

 具体的な水準については「消費者物価指数の前年比で0─2%程度の範囲内にある」との説明を維持。ただ、委員ごとの中心値については、前回の「大勢として、おおむね1%前後で分散している」から「大勢として、1%程度となっている」に微修正した。 

 (ロイターニュース 志田義寧記者)

*内容を追加して再送します。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below