May 8, 2008 / 5:22 AM / 10 years ago

バルチック指数が1万ポイント回復、海運各社の収益上振れも

 水野 文也記者

 [東京 8日 ロイター] バルチック海運指数が7日、昨年12月以来となる1万ポイントを回復し、海運株に関心が集まっている。大手海運3会社の09年3月期見通しは、海運市況の高騰を背景に大幅増益となった前期から一転して伸び悩みとなっているが、ここにきて市況高が表面化し、早くも収益の上振れが期待され始めた。

 <値上げ交渉決着した石炭の荷動き活発化>

 バルチック海運指数は昨年11月に1万1039ポイントで天井を打った後、今年1月には6000ポイント割れまで下落したが、直近では上昇トレンドが鮮明になっており、7日は前日比249ポイント(2.53%)高の1万0104となった。中国とインドの需要が背景にあるとみられ、一部のアナリストは過去最高水準を超える可能性があるとの見方を示した。

 鉄鉱石や石炭などを運搬するドライバルクの市況が昨年末から急落、主要荷主である中国の鉄鉱石輸送の減退を象徴するという見方が広がり、米国経済が低迷しても新興国市場の拡大が世界経済を支えるというデカップリング論に対する否定的な分析につながっていた。

 ところが、今年2月に中国の旧正月が明けた後からバルチック指数の基調が転換。これを中国の荷動き活発化に結び付ける見方が少なくない。3月中旬から1カ月程度、伸び悩む局面があったものの、株価に先行するような形で堅調に推移し、4月中旬以降はほぼ一本調子の上げとなっている。

 直近の上昇について海運業界の関係者からは「石炭の価格交渉が終わり、荷動きが活発化し始めたのが要因。豪州産の鉄鉱石価格が決定すれば、さらに上昇する可能性もあり、足元の市況は実勢を示している」(日本郵船の五十嵐誠常務)との声が出ていた。

 <不定期船の活況は継続か>

 もっとも「中国の輸入活発化が市況を押し上げているが、環境問題などを踏まえれば、現在の状態がいつまでも続くとは思えない」(川崎汽船の塩田哲夫専務)と慎重な見方もある。

 野村証券・運輸アナリストの成田康浩氏は「今の時期は通常なら市況が下がる。原油高から燃油費が上昇し、それに連動することも考えられるが、それだけで(現在の上昇は)説明がつかない」と指摘していた。

 ただ、足元では「デカップリングとリカップリングのどちらかと言えば、今のところはデカップリングしている」(商船三井の米谷憲一専務)との声も出ており、中国の石炭や鉄鉱石など資源輸入が活発化している状況に変化がみられない。その上、業界筋によると、08─09年の新造船に限りがある状況から船腹供給量が急激に増える様子ではなく、不定期船の市況は活況が続くとの見方が支配的となっている。 

 そうした中で注目されるのが、海運各社の業績見通しだ。大手3社は4月下旬、2009年3月期の見通しについて、日本郵船が小幅の営業増益、商船三井と川崎汽船が小幅の営業減益となることを明らかにしている。

 いずれもドライバルク市況が高水準を保つとしながら、原油急騰に伴う燃油費の上昇や円高の進行を収益伸び悩みの要因として挙げていた。ところが各社が前提条件としている市況予測は、足元の実態から大きく下方かい離している。

 日本郵船はドライバルクの予測について、バルチック指数を通期平均で6700ポイントと想定。1万ポイント台での推移が長期化すれば、収益上振れ要因になる。もちろん、止まらない原油価格の上昇から燃油費のアップが見込まれるほか、コンテナ船の運賃見通しに不透明感が漂っているなど、収益圧迫要因も少なくなく、楽観ばかりしていられない要素も少なくない。

 しかし、そうした要因を差し引いたとしても「燃油高が続く一方、コンテナ船の運賃修復が不調に終わったとしても、市況が現在の水準で推移するなら増額修正の可能性が高い」(外資系証券の海運担当アナリスト)という。野村証券の成田氏も「この市況高が継続すれば、各社の収益上振れ要因になる」と指摘する。

 業界関係者の間でも「このまま市況が堅調であれば、業績予想は上振れする可能性もある」(日本郵船の五十嵐常務)と上方修正に含みを持たせる声も出ている。

(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)

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