June 19, 2008 / 5:51 AM / 12 years ago

打ち砕かれた「日本株の米株離れ」期待、日米で金融株売り

 [東京 19日 ロイター] 19日の東京市場は、日経平均が300円を超す下落となり、市場の一部でささやかれていた「日本株の米株離れ」という期待感を打ち砕いた。米金融セクターへの懸念が再び広がる中で、これまで買われてきた国内の銀行株が海外勢からの売りにさらされ、日本株全体の下げを加速させた。

 6月19日、同日の東京市場は、日経平均が300円を超す下落となり、市場の一部でささやかれていた「日本株の米株離れ」という期待感を打ち砕いた。写真は2006年7月、東京で撮影(2008年 ロイター/Yuriko Nakao)

 午後の取り引きでは、アジア株全般が軟調なことも材料視され、株式市場には暗雲が立ち込めた。他方、円債市場では、商品投資顧問業者(CTA)が国債先物の売りをまとまって出し、株価下落の中で債券も売られるダブル安現象となった。

 <米金融セクターへの懸念、国内銀行株を直撃>

米大手投資銀行によるサブプライム関連の損失計上が相次いでいるほか、米大手地銀のフィフス・サード・バンコープ(FITB.O)が減配と20億ドルの増資計画を発表したことを受けて、19日の株式市場では「金融セクターへの不安心理が高まっている。特別に大きな話とは言えないものの、マーケットは金融問題に対して神経質になっている。米株安の影響で海外勢の動きも鈍い」(東海東京証券・エクイティ部長の倉持宏朗氏)との見方が出ている。

 米フィラデルフィアKBWバンク指数は18日、フィフス・サード・バンコープのニュースを受けて、一時4.2%急落。2002年10月以来の安値を付けた。バンク・オブ・アメリカ(BAC.N)、サントラストSTI.Nなどが下げた。サブプライム問題の影響が小さく、財務体質が健全とみられた日本の銀行株も米銀行株安の影響は避けられず、メガバンク株を中心に下げが目立っている。「米国の銀行株が下落すると、グローバルポートフォリオの中で日本の銀行株は自動的にオーバーウエートになってしまう。内容が良いとはいえ、ある程度の調整売りは出てくる」(外資系証券トレーダー)という。

 複数の市場筋によると、海外勢からの国内銀行株売りは午前だけでなく、午後の取り引きでも継続していた。

 三菱UFJ証券・エクイティ部部長代理の谷村仁氏は「ヘッジファンドを中心に米銀への不安をあおることで債券価格を上げたいという動きがあり、これが米株安につながった」と指摘している。

 ただ、谷村氏は「当局による金融システム維持への信頼は確保されている。金融不安に発展することはないだろう。東京市場の下げの実態はむしろ、先物による18日までの戻りのあとの利益確定だ」と話している。

 <米個人消費の減退、日本企業へもマイナスとの思惑>

 日経平均は米国株離れの兆しもみせていたが、再度連動性を強めるのか。ある国内証券の関係者は、米株離れを演出していた主役は銀行株だったとし「その銀行株がかなり売られており、日本株の下げを増幅させている」と指摘する。同時にその関係者は「米投資銀のサブプライム(信用度の低い借り手向け住宅ローン)に端を発した証券関連商品での損失拡大は沈静化していないが、邦銀は自己資本がき損するほどの損失を出していない。連動して邦銀株が売られ続けるのは理由がない」と指摘する。

 他方、別の邦銀関係者は「米国経済に依存した日本経済や日本株のイメージは、実態以上にマーケットに浸透しており、米株離れは口で言うほど容易ではないだろ」と話す。準大手証券の投資情報部長は、米家電小売り大手ベスト・バイ(BBY.N)が17日発表した第1・四半期(2008年3月─5月)の決算にヒントが隠されていると話す。「ベスト・バイの決算は市場予想を上回ったが利益率は低下している。背景は個人消費の減速を受けて値下げを進めているからとみられるが、商品を供給しているのは日本の家電メーカーだ。為替は対ドルで107円を維持しているが、米消費が依然として大きな部分を占める日本の輸出企業の株を買い進めるというのは難しい」と同氏はみている。

 <CTAが午後に国債先物売り>

 大幅な株安で、これまでなら債券買いで反応することが多かった円債市場は、午後になって国債先物を中心に売りが優勢となった。複数の市場筋によると、CTAとみられるまとまった売りが国債先物に出て、前日までに国債中期ゾーンを買い戻していた国内勢が一部で売っているという。

 19日朝に出たロイター短観に関連し、みずほ証券・チーフマーケットエコノミスト、上野泰也氏は「製造業の業況判断DIが3月との比較で10ポイント悪化のマイナス2となり、日銀短観の大企業業況判断DIの大幅な悪化を示唆する内容だった」と指摘。「素材は、原材料コストの上昇で鉄鋼・非鉄の悪化が目立つ。加工型についても海外景気の悪化と原材料コストの上昇が響いている。為替もひところよりは円高水準となっており、複合的な要因が影響しているようだ。非製造業DIが同4ポイント悪化のマイナス2で、マイナスに沈んだのは内需の悪化が響いている可能性がある」と分析していた。 

 ただ、邦銀関係者の1人は「前週末の白川方明日銀総裁の前週末の会見で、当面は利上げの心配がないとみて、中期ゾーンを中心にすでに買い戻している国内勢が多く、ロイター短観を見て、あらためて買い戻しをする参加者は目立たなかった」と述べる。

 その関係者は「グローバルなマーケットの根底にある米景気後退懸念とインフレ懸念のどちらの力が強いのか、という疑問に世界中の当局者が答えていない。この問題に方向性が見えないと、どのマーケットでも価格の上昇と下落の幅が大きいという最近の現象がしばらく続くだろう」と予想している。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦;編集 宮崎 大)

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