July 29, 2008 / 6:56 AM / 12 years ago

中国で深刻化する電力不足、石炭価格上昇で構造問題に発展

 [北京 29日 ロイター] 中国の電力不足は、夏だけの問題でなくなる可能性がでてきた。資源開発や運輸面の根深い問題に政府の価格統制が絡み、構造的問題になりつつある。

 中国では夏になると、冷房の使用で電力使用量が供給能力を超えてしまい、電力供給が制限される。現在、中国の半分で制限が実施されている。

 以前は、暑さが和らぐと電力消費も減り、状況はいくらか緩和していた。しかしアナリストは今回、電力不足の主要因が変わったとして、供給制限は冬季も続けられる可能性があるとみている。

 電力不足はかつて、発電所の建設が経済成長に追いつかないという単純な問題に起因していた。

 しかし、現在は、中国の発電の5分の4を担う火力発電の原材料である石炭の需要が、石炭の生産・輸送能力を上回るペースで高まっている一方、電力料金は政府に管理されているという事情がある。これでは、電力会社は原材料の石炭を確保できても利益を上げられない。

 アナリストからは「普通、夏が過ぎれば電力不足は緩和するが、石炭供給の問題や価格が高過ぎるため、不足状態が続く可能性がある」との声が出ている。

 冬場の電力消費量の増加もさらなる懸念要因となっている。

 中国の発電量は6月、過去6年超で最も低い8%の伸びにとどまった。ここ数年、成長著しい中国経済を支えるためには2けたの伸び率が必要とされている。

 <石炭価格をめぐる問題>

 8月に入ると北京五輪が開催される。五輪開催中は、工場が操業を休止するため、電力不足の問題も幾分緩和する可能性があるが、根本的な問題は深刻だ。

 UBSのアジア電力調査責任者、ステファン・オールドフィールド氏によると、中国が現在の需要の伸びに対応するためには、石炭の生産を年約2億トンのペースで増やす必要がある。

 中国政府は、採掘・資源生産の安全性を高めるために、小規模で設備管理の行き届かない鉱山を閉鎖している。ただ、そうした炭鉱を多く閉鎖して毎年100万トン単位のペースで増産できたとしても、輸送能力の問題が残る。

 オールドフィールド氏は「長期的な問題だ」と述べ、需要の伸びと生産規模に見合った輸送インフラの整備が必要と指摘した。

 <価格設定のジレンマ>

 電力料金が一定水準に抑えられているにも関わらず、石炭価格が上昇したために、電力会社の採算は悪化した。

 電力料金引き上げがインフレを加速させ、社会不安につながることを懸念する中国政府は、石炭価格を再び政府の管理下に置き、輸出規制を敷くという対応に出た。

 あるアナリストは「中国は板ばさみの状況に陥っている。石炭会社は価格差のために発電所に燃料を供給するムードにない。しかし、石炭価格規制を解除すれば、電力会社の採算は悪化する」と指摘した。

 資源開発や輸送能力の拡充は時間もカネも要する。この間に石炭価格が下落しなかったり、電力需要に見合った発電所建設が進まなければ、中国の石炭・電力供給問題は続く、とみられている。

 (ロイター日本語ニュース 原文:Emma Graham-Harrison、翻訳:武藤 邦子)

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