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ソフトボール日本代表、上野の気迫の連投で米国破り悲願の金

 [北京 21日 ロイター] 北京五輪ソフトボール日本代表は21日、決勝で強豪米国を3─1で破り、悲願の金メダルを獲得した。エース上野由岐子の気迫の投球に打線が応え、チームが一丸となり初優勝に輝いた。

 8月21日、北京五輪ソフトボール日本代表は、決勝で強豪米国を3─1で破り、悲願の金メダルを獲得。写真はエース上野由岐子(中央)ら(2008年 ロイター/Jessica Rinaldi)

 ソフトボールは2012年のロンドン五輪で正式種目から除外されることが決まっており、日本は過去3連覇の米国を抑え、最後の五輪で有終の美を飾った。

 <苦闘の末の金メダル>

 豊台ソフトボール球場で行われたこの日の試合は、曇り空の下、午後6時半(日本時間午後7時半)に開始。前日の2試合連続延長戦で合計21イニングを投げ抜いた上野が先発登板し、長打力のある米国打線に対し、コーナーを突く丁寧なピッチングを続けた。

 日本は1回裏にいきなり1アウト満塁のピンチを迎えるが、持ち前の堅い守備で得点を与えなかった。3回表には三科真澄の2塁打と俊足狩野亜由美の内野安打で日本が先制点を挙げ、4回表にも山田恵里の本塁打で1点を追加。

 雨で試合が一時中断した後の4回裏米国の攻撃で、4番打者クリストル・ブストスに本塁打で1点を返されたものの、7回表に日本がヒットと相手のエラーでさらに1点を追加。会場に詰め掛けた日本応援団の大声援を支えに、上野がコントロールの利いた高速ピッチングを最後まで続け、守りきった。

 連投してきた上野は試合後、「マウンドで鳥肌が立った」。前日午前の米国戦では延長9回、午後のオーストラリア戦も延長12回を完投した上野。国内でも3日間で5試合をこなした経験はあるが、五輪のように世界のトッププレーヤーが集まる大会でここまで投げたことはなく「体力的だけでなく精神的にも頭がパンクしそうなくらい疲れた」と語った。

 ただ、自身で体力の消耗を考慮し「スピードより回転、切れで勝負しようとした」ことが奏功したほか、「勝ちたい、負けたくないという気持ちの方が疲労感を勝っていた」ことで最後まで投げ続けることができた。「世界一になるとの目標を達成できてうれしい」。

 <2016年の五輪での復活への期待>

 選手として五輪に3回出場した経験を持つ斉藤春香監督。「私は(最高が)銀メダルでしたが、選手達には金メダルをかけさせてやりたかったのでうれしい」と日に焼けた顔に笑みを浮かべた。

 先発については「上野と心中するつもりで行った」と指摘。「上野は自分に厳しく練習を重ね、この日のためにがんばってきた。精神力の強さもスタミナもある。努力してきた成果だ」と上野をたたえた。

 本塁打で貴重な追加点を挙げた主将の山田も「五輪で自分の全てを出せた」と満足そうに語り、本塁打については「1番うれしい。打った瞬間は感触がなかった。応援が乗せてくれた」と喜びを爆発させた。

 また、日本チームの勝因としては「支えてくれた多くの人への感謝の気持ちを行動で示そうと一人一人が思って戦った。『絶対に金を取るんだ』との気持ちが強く、結果につながった」と述べた。

 その後の表彰式でメダルを手にした選手達は満面の笑顔で観客に手を振った。その後、今大会に特別な記念撮影が行われた。オーストラリアを含む上位3チームの選手がホームベース付近に集まり、ソフトボールを地面に並べて描いた「2016」の数字を囲むようにして並び、報道陣のカメラに向かって、2016年の五輪でソフトボールが正式種目に復活するよう訴えたのだ。 

 世界に広く浸透していないとの見方や米国が圧倒的に強いとの見方などが正式種目から除外された要因だが、日本が米国を下したことや連日の名勝負にメディアの関心が高まったことは復活に向けプラスに働く可能性はある。

 米国のMike Candrea監督も「日本はすばらしいピッチャーがいて、必要な時に必要なチャンスをものにした。他のチームも強くなっており、これで米国が支配していると言われなくなれば(五輪種目への復活に)プラスだ」と語った。

 斉藤監督も「五輪に向け、日本としてはまず優勝を目標にしてきたが、同時にソフトボールのすばらしさを世界に伝えようとの思いもあった。その意味で(決勝は)有意義だった」と述べた。

 北京五輪初戦から「一戦必勝」の言葉を繰り返し、前日の試合後には「選手みんなに力がある。チームを信じ、自分を信じて、チーム一丸となって戦う」と話していた斎藤監督。「選手がよくがんばってくれた。悲願が達成できてみんなに感謝したい」。さまざまな達成感に包まれた監督の目に涙が光った。

 (ロイター日本語ニュース 大林優香記者)

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