August 29, 2008 / 11:14 PM / 9 years ago

総合経済対策で補正予算1.8兆円、赤字国債回避でも財政拡大懸念

 [東京 29日 ロイター] 政府・与党は29日、原材料や食料品の価格高騰など物価高対策を盛り込んだ総合経済対策を決定した。中小企業に対する資金繰り支援や高齢者医療対策などを柱に2009年度予算も展望した事業規模は11兆7000億円以上、予算規模は2兆円以上となった。

 緊急を要する施策については1兆8000億円程度の2008年度補正予算を編成し、9月12日召集の臨時国会で早期成立を目指す。補正予算の財源について福田首相は「赤字国債の発行は行わない」と明言したが、公明党が主張してきた定額減税の08年度内実施も明記するなどさらなる財政措置が迫られることは確実。市場からは、対策効果に懐疑的な見方も聞かれる。

 <中小企業対策の事業規模は9.1兆円>

 「安心実現のための緊急総合対策」と銘打った今回の対策は、1)生活者の不安解消、2)「持続可能社会」への変革加速、3)新価格体系への移行と成長力強化──を目標に、生活・雇用支援対策や医療・年金・介護強化、低炭素社会の実現、中小企業などの活力向上など項目は多岐にわたる。

 このうち「早急に実施すべきもの」として08年度補正予算で、高齢者医療対策などに4000億円、省エネ・農林水産業対策・学校耐震などに9000億円、中小企業の資金繰り対策などに4000億円を中心に、計1兆8000億円の真水を投入。補正対応分の事業規模は、新たな信用保証制度の導入など中小企業対策が9兆1000億円にのぼり、全体で11兆5000億円程度となる。

 政府は9月12日召集の臨時国会に補正予算案を提出するが、財源は赤字国債の追加発行を回避する。伊吹文明財務相は、福田首相の指示を受け、「特例公債は出さないかたちで処理したい」と明言。08年度予備費や07年度決算の剰余金などを充当するが、特別会計の積立金など、いわゆる「埋蔵金」も使わない方針で、なお不透明感も残る。

 とりまとめにあたった与謝野馨経済財政担当相は、総合対策決定を受けて「財政規律は守られた」と述べるとともに、「旧来型の公共事業増積み増し中心の景気対策はとっていない。不測の事態や痛みに対する緊急避難措置など、日本にとって構造改革実行加速のための施策に対象を絞った」と改革路線にも揺らぎがないことを強調した。

 ただ、市場では早くも対策効果を疑問視する声があがっている。バンク・オブ・アメリカの日本チーフエコノミスト兼ストラテジスト、藤井知子氏は対策について「寄せ集めで、総額が11兆円と大きい割に真水は2兆円程度にとどまり、効果は乏しい見込み。海外株式投資家の日本買いを呼ぶような対策とは思えない」と指摘する。

 <定額減税で公明に譲歩、2次補正の可能性>

 対策には、公明党が強く主張していた定額減税の2008年度内の実施も盛り込まれた。物価高騰に苦しむ家計への緊急支援と位置づけ、「単年度の措置」と明記、規模や内容などについては「財源を勘案しつつ、年末の税制抜本改革の議論に併せて検討する」。

 定額減税は実施を強力に主張する公明党と財政健全化を掲げ、効果を疑問視する政府・自民党との間でギリギリまで調整が難航したが、今後の国会運営などを考慮し、最後は政府・自民党が公明党に大幅に譲歩する格好となった。

 対策のメニューに盛り込んだことに関して与謝野担当相は「無軌道の減税を考えているわけではない」と強調したが、財源に触れないまま実施を明記したことで、さらなる財政拡大に不安の芽を残すこととなった。

 実際に伊吹財務相は記者団に対し、第2次補正予算編成の可能性を問われ、「可能性としてはあり得る」と明言。理由として、定額減税の規模がある程度のものになれば「当然、2度(の補正)ということになる」と語っている。

 さらに、対策では、課税最低限以下で定額減税の恩恵を受けない対象者に配慮し、老齢福祉年金の受給者に対する「臨時福祉特別給付金」の支給も明記された。

 (ロイター日本語ニュース 伊藤 純夫、村井 令二、吉川 裕子)

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