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原油下落でも株に資金流入せず、世界的な景気後退に焦点
September 4, 2008 / 6:47 AM / in 9 years

原油下落でも株に資金流入せず、世界的な景気後退に焦点

 [東京 4日 ロイター] 原油価格が下落している中で、世界の主要市場で株価がさえない。原油価格下落による経済へのメリットよりも、世界経済の後退危機にマーケットの関心が集まってきているからだ。

 9月4日、原油価格が下落している中で、世界の主要市場で株価がさえない。写真はニューヨーク証券取引所。先月8日撮影(2008年 ロイター/Joshua Lott)

 対照的にマネーが流入している債券市場は堅調。その中で4日の円債市場だけが商品投資顧問業者(CTA)の国債先物売りに影響され、長期金利が1.5%台へと上昇している。

<米欧株安、日本にも波及>

 米原油先物は4日、ハリケーン「アイク」がカテゴリー4へと勢力を強めたことで1バレル=109ドル後半に上昇しているものの、最高値の148.13ドルから約25%も下落した水準で推移している。原油高によるコスト上昇に悩まされた先進各国にとって、原油価格の下落は「朗報」のはずだが、マーケットの反応は単純ではなかった。

 3日の米株式市場は、ダウだけは前日比15.96ドル上昇の1万1532.88ドルと上がったものの、ナスダックは同15.51ポイント安の2333.73ポイント、S&P総合指数も同2.60ポイント安の1274.98ポイントへと下げた。

 4日の日経平均も反落し、午後は1万2600円台を割り込んだ水準で取引されている。

 <原油安は新興国の景気後退が要因との声>

 市場では、内外の景気動向や米金融システムなど懸念材料が多い中で「商社、鉄鋼などに大口のバスケット売りが出た。商品市況の下落などを受けて資金繰りが悪化した海外ファンド勢がポジション調整売りを出している」(大手証券エクイティ部)との見方が出ていた。一部には米系年金の売りも出ているとの声もあった。

 「多少含み益を持っていた実需筋の投資家が、先物の仕掛け的な売りをきっかけにロスカットの売りを加速させている可能性がある。市場は原油など商品価格の下落に対し、新興国を中心とした世界的な景気悪化が要因になっているととらえているようだ」(明和証券・シニア・マーケットアナリストの矢野正義氏)との指摘もある。

 ある外資系証券の関係者は「本来なら原油安は格好の株買い材料だが、マーケットはしばらく前から世界的な景気後退リスクに目が向き始めた。原油安はこの先の世界的な景気後退の先触れとの見方が広がっている」と話す。

 邦銀関係者の1人は「原油安で株にマネーが来ると見ていた向きは、あてが外れた格好だ。しばらく海外勢のマネーも日本株には入ってこないだろう」とみている。

 <米金融への不安感も株売りに>

 海外勢の売り一巡後は急速に下げ渋ったが、今月半ばから始まるリーマン・ブラザーズLEH.N、ゴールドマン・サックス(GS.N)、モルガン・スタンレー(MS.N)など米投資銀行の決算を控えて警戒感は強い。

 4日の株式市場では、英タイムズ紙が三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)傘下の三菱東京UFJ銀行について、米証券大手リーマン・ブラザーズLEH.Nへの出資に関心を示していると伝えたこともネガティブ材料にされた。「長期的にみれば海外展開への足がかりをつかむいい投資機会だが、目先はリーマンの財務状況がつかみにくく不安心理につながりやすい」(中堅証券)との声が出ている。

     <CTAの投げ、日本国債現物・先物とも急落> 

     一方、世界的にマネーは国債にシフトする傾向をみせ、3日の米債市場では10年米国債利回りは3.7027%と4カ月ぶりの水準に低下した。そうした中で、4日の円債市場だけが大幅な国債利回りの上昇に直面した。国債先物9月限は一時、前日比1円を超す下落となって137円33銭まで急落。長期金利も一時、1.515%まで上昇した。

     市場では、国内普通社債(SB)や地方債、財投機関債などの起債が相次いだことから需給に対する不安感が浮上。「スワップ市場で銀行などからヘッジ(損失回避)目的の払いが出たことがきっかけ」(邦銀)になったとの見方が出ている。

     また「現物中期ゾーンに銀行勢からまとまった売りが出たのではないか」(国内証券)との声も聞かれた。

     複数の市場筋によると、9月10日の売買最終日を控えて割高な状況が続いていた国債先物に対し、ロングポジションを積み増してきた商品投資顧問業者(CTA)がポジション解消を急いでいたという。

     別の邦銀関係者は「円債市場の動きは、CTAのポジションに絡んだ特殊な振れだ。世界的には原油やその他の商品売り/ドル買い、株売り/債券買いの動きがこの先も続きそうだ。豪州の景気後退や利下げは、そうした見方が正しかったとマーケットでは受け止められている」と述べている。 

    (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦;編集 内田 慎一)

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