September 19, 2008 / 5:45 AM / 11 years ago

RTC構想受け株価反発、米銀資本不足の解消には機能せず

 [東京 19日 ロイター] 米当局が整理信託公社(RTC)型の不良債権処理機関を模索しているとの報道で米株が大幅反発し、日本株も買い戻されている。RTC型機関には公的資金が活用されるため、米当局が本腰を入れて金融不安に取り組み始めたとの安心感が出ている。

 9月19日、RTC構想を受けて日米で株価が反発。写真はニューヨーク証券取引所のトレーダー。18日撮影(2008年 ロイター/Brendan McDermid)

 しかし、RTCには金融不安の核心部分である米金融機関の資本不足を埋める機能がない。公的資金を資本注入に使うと米当局が決断するまで、米金融不安は収束しないとの見方がマーケットに出ている。

 <株式市場に安心感>

 株式市場では、日経平均が大幅に反発し、午後の取引で前日400円を超す上昇となった。RTC構想が伝わって前日まで危機的なムードに包まれていた市場に安心感が広がった。「金融株、自動車株などに海外勢の買い戻しが入っている。実需勢が積極的に動いているわけではないが、米当局の対応にスピード感が出てきたことから、全般にショートポジションをいったん解消しようというムードが出てきた」(準大手証券エクイティ部)という。

 米議会関係筋が明らかにしたところによると、ポールソン米財務長官は18日、金融問題の解決に向け、RTCのような不良債権処理機関の設立を複数の議員に示した。同関係筋はこの計画について、個別に企業を救済する必要がなくなるとの見解を示した。三菱UFJ証券・シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏は「大統領選挙を控えていることや、議会の反対などを考えれば、実現までに乗り越えるハードルは多い。だが、このような話が出て、米当局が金融問題についてとことんやるという姿勢を示したことが、市場からは評価された」とみている。

 <RTCの機能は不良資産の切り離し>

 RTC構想の具体案は明らかになっていないが、金融機関の抱えている不良債権や現在価格が付かなくなったような証券化商品などの不良資産を本体から切り離し、RTCが買い取って資産売却などで処理を進め、買い取った額と売却額との差額は売却損として公的資金で穴埋めする──というスキームになるとみられる。

 日銀OBで不良債権問題の解決方法に精通している第一生命経済研究所・主席エコノミストの熊野英生氏は「解決の処方せんに至る入り口にようやく立った印象はある」としながらも、「簿価と時価が大きくかい離する前にこの構想が出てくればよかったが、今となっては、間接的に税金を投入する額が非常に大きくなるおそれがある」と指摘する。

 <最終的には米公的資金による資本注入か>

 また、米金融情勢の動向に詳しい東海東京証券・チーフエコノミストの斎藤満氏は「RTCを設立して、不良資産を本体から切り離しても、米金融機関の資本不足を穴埋めする機能はない」と説明する。その上で「もし、米金融機関の資本が不足状態であるなら、資本を埋める対応が不可欠だ。世界中を見回しても民間資本での注入が難しいなら、公的資金の注入が決断される時期がくるのではないか」とみている。

 米公的資金による資本注入に関連し、新光証券・エクイティストラテジストの瀬川剛氏は、RTC構想は金融不安の対応策として一歩前進としながらも、「資本の問題に取り組むなら1930年代の大恐慌時代に米国が設立した復興金融公社(RFC)が必要だろう。優先株を引き受ける形で直接資本を注入することが最終的には求められる」と述べている。

 また、RTC構想が米議会の承認を得ることができるのか、不透明な部分もかなり残されている。大規模なドルの供給策が米欧日の中央銀行から18日に発表され、ドルの短期金利は低下傾向を示しているものの、「平常には全く戻っていない」(邦銀関係者)のが実態だ。「突き詰めれば、欧米金融機関の資本不足への懸念が解消されていないことに行き着く」(同関係者)との指摘がある。

 大和住銀投信投資顧問・上席参事の小川耕一氏は「米投資銀行の破たんに対する警戒感は引き続き残っている。ヘッジファンドなどがリスク圧縮を加速する可能性もあり、売り圧力が強い。株価は当面、乱高下するボラタイルな動きが続くだろう。きょうの日米株価の反発もテクニカルなリバウンドの域を出ない」と述べている。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦;編集 )

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