October 21, 2008 / 6:14 AM / 11 years ago

定額減税のGDP押し上げ効果は+0.1─0.2%程度との見方も

 [東京 21日 ロイター] 与党が打ち出そうとしている今年度中の2兆円超規模の定額減税に対し、民間エコノミストからは、国内総生産(GDP)押し上げ効果は、実施後1年で0.1%─0.2%程度にとどまり、景気対策としての効果は限定的との声が早くも浮上している。

 10月21日、定額減税のGDP押し上げ効果は+0.1─0.2%程度にとどまるとの見方も。写真は1月、東京(2008年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 ただ、低所得者層を中心とした家計の痛み緩和には効果を期待する声も出ている。

 <プライマリーバランス目標維持も減税効果を抑制か>

 今回の減税の経済効果について、エコノミストからは「株安・円高が同時進行している中では、効果は力不足」(バークレイズ・キャピタル証券チーフエコノミスト、森田京平氏)、「物価上昇分で全部吹っ飛んでしまう程度の効果。景気循環や景気見通しを変えるようなものではない」(アール・ビー・エス証券・チーフエコノミスト・ジャパン、山崎衛氏)など、「GDP押し上げという点ではかなり限定的」(ニッセイ基礎研究所シニアエコノミスト、斎藤太郎氏)との声が多く出ている。

 斎藤氏は、減税のプラス効果が消費を0.2%ポイント、GDPを0.1%ポイント押し上げる程度にとどまると試算している。

 大きなプラス効果が期待しにくい構造的な問題として、2兆円という減税規模の小ささを挙げる声が多い。約500兆円と言われるGDPの0.4%程度に過ぎない上に「消費性向が6割程度なので、効果はその半分程度となり、乗数効果も低い」(山崎氏)ため、プラス効果はさらに減じるというわけだ。

 加えて足元の金融危機で先行き不透明感が強い中、1回限りの減税では、家計はかなりの額を貯蓄に回し、消費しないとみられている。1997年秋の山一証券をきっかけに大手金融機関が相次いで破たんした際には、家計消費が急速に縮小。景気後退を長期化させたことは記憶に新しい。GDPの中で5割以上のウェートを閉める消費がマイナスに転じたこともあり、1997年度、98年度は2年連続のマイナス成長に陥った。

 足元で見られている金融面のマイナス効果に加えて、輸出減など実体経済面でのマイナスも今後本格化すると見られており、消費者の慎重姿勢はさらに強まる可能性もある。

 また、将来予想される増税が消費を抑制するとの見方もある。年度内に減税があっても、2011年度でのプライマリーバランス黒字化の目標が維持されている限り、将来、何らかの増税が必要になると消費者が考えても不思議ではないというわけだ。

 森田氏は、減税のGDP押し上げ効果をプラス0.23%程度と、比較的大きめに試算しているが、将来の増税が意識されれば「試算よりも効果は小さくなる」としている。

 <消費者態度指数、9月は過去最低に>

 もっとも大きな景気浮揚効果は期待でいないものの、減税の意義が全くゼロというわけではないという。低所得者層を中心に家計が、足元の所得伸び悩みや物価上昇に苦しむ中で「その痛みを緩和する意味がある」(斎藤氏)という。

 厚生労働省の毎月勤労統計によると、規模30人以上の事業所で8月の現金給与総額は前年比プラス0.1%と、同月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)のプラス2.4%を大幅に下回っており、物価上昇による所得の目減りが顕著になっている。

 より低所得とみられている5人以上の事業所での給与総額はマイナス0.3%と減少に転じており、家計の中でも格差が明らかになっている。

 こうした背景もあり、9月の消費者態度指数(季節調整済み)は31.2と過去最低水準に落ち込んだ。このまま消費マインドの悪化を放置すれば、消費性向がさらに低下し、消費が目立って落ち込むという最悪の事態に直面するリスクも膨らんできた。

 定額減税でマインドの悪化に一定の歯止めがかかれば、消費性向の低下をある程度押しとどめ、消費の底割れを回避できる可能性もある。

 (ロイター日本語ニュース 児玉成夫記者;編集 田巻 一彦)

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