October 27, 2008 / 1:06 PM / 11 years ago

焦点:大手生保08年度下期運用計画、国内株式投資は縮小

 [東京 27日 ロイター] 世界的な金融危機を背景に、日本の大手生保9社がより保守的な投資スタンスに傾斜していることがロイターの調査でわかった。

10月27日、大手生保9社の08年度下期・一般勘定資産の運用計画、国内株式への投資を圧縮する一方で、国内債や特に長期物を積み増す傾向。写真は1999年11月、東京で撮影(2008年 ロイター)

 大手生保9社の2008年度下期・一般勘定資産の運用計画は、国内株式への投資を圧縮する一方で、国内債、特に長期物を積み増す傾向がみられる。

 今年度初めに拡大の動きがあったオルタナティブ投資については、投資環境の悪化から横ばいもしくは縮小に転じるところもある。

 <国内債>

 三井生命、朝日生命が国内債投資を積み増す。三井生命は、国内債の残高を上期に長期・超長期債を中心に100億─200億円を積み増した。下期も引き続き同ゾーンを中心に500億円程度を積み増す方針。

 朝日生命は、円建て外債を除く国内債券の残高が、上期に200億円減少し、9月末に2兆8000億円となった。ただ、3カ月物政府短期証券(FB)の償還分を主に利付国債に振り向けたため、国債の残高は約1200億円増加した。下期は国債中心に国内債券の残高を1000億円積み増す。「イールドカーブをみて割安なゾーンをバランスよく拾っていく」(資産運用統括部門)という方針で、デュレーションは横ばいの見通し。

 朝日生命の場合、上期は投資環境が期初のシナリオと大きく変化したため、安全資産の円建て債券を買い増し、外債と株式を圧縮した。リスク低減のため平時よりキャッシュポジションも高めているという。世界で金融市場の動揺が続いているため「今年度は安全運転で行かざるを得ない」(同)という。

 一方、富国生命は、国内債券について4月時点では500億円程度減らす計画だったが、年明け以降に買う可能性が高まっているという。短期的には各国とも金融支援策による財政負担の増大から国債増発懸念がある一方、日本の増発懸念は主要国・地域の中では限定的となりそうなことなどから、中長期的には投資意欲を持っている。

 <外債>

 外債投資は積み増しと横ばいに方針が分かれる。日本生命は、下期にオープン外債を3000億円積み増す予定にしているが、上期のユーロ高局面でユーロ建て債を一部売却し3000億円減少したため、通期では微増にとどまる見通し。

 ドルは米景気の減速感から追加利下げを予想しているため、ドル安方向とみている。足元では急速な円高が進んでいるが、年度末のドル/円は95円付近を予想。円高が進んでいるためオープン外債を買うには、適した環境になってきたとみている。オープン外債の通貨別残高は現状、ユーロ6に対してドルが3程度で、為替動向次第ではあるが、下期も大きく変えることはないという。

 明治安田生命は、ヘッジ付き外債を積み増す。4月時点では「通期で横ばい」の計画だったが、上期に2200億円積み増しており、下期の2100億円を加えると通期で4300億円の増額になる見通し。上期は収益性向上のためヘッジ付き外債を中心に積み増したが、償還分の再投資を中心にオープン外債も870億円購入した。オープン外債は下期も償還分の再投資にとどめ残高は現状維持する方針。

 同社は下期のヘッジ付き外債投資に積極的に取り組む姿勢だが、足元では、ドルの短期金利が急騰したことなどで先物市場が機能しておらず、ヘッジコストが上昇しているという。このため、「ヘッジコスト次第では違う分野にシフトすることもある」(役員)と述べた。

 一方で、住友生命は、当面の間、オープン外債、ヘッジ付き外債とも横ばいを想定する。オープン外債については、大きく残高を動かすよりも、ヘッジ戦略が焦点になる。現在の100%ヘッジを継続しても収益が上がらないため、通常のリスクを取るか検討したいとのスタンス。ヘッジ付外債については、円金利より高ければ買いを入れるが、現段階では大きく動くことを前提にはしていない。

 <株式>

 27日の東京株式市場は、日経平均が終値でバブル後安値を更新し、500円近い大幅安となった。終値(7162円90銭)は1982年10月以来の安値。下期の日経平均の予想レンジで7100円台を下回ると予想していたのは、富国生命のみ。

 三井生命は16日の時点で、相場展開が荒いため運用面で大きな動きはできないとの考えを示していた。上期に残高を200─300億円減らしたが、下期も株価動向に応じて同程度減らす計画。確定利付資産を中心にした運用が基本方針であるため、株式投資を増やしていくスタンスはない。

 また、大同生命も、日本株の一般勘定資産に占める比率は3月末の14.5%から9月末には13%台まで低下した。金額ベースでは8000億円弱となる。上期に新規投資は行っておらず、株安による時価減少の影響を受けた格好だ。下期も原則横ばいを予定している。これまで下がれば買い、上がれば売りを基本スタンスとしてきたが、現在のマーケットは正常に機能していない。会社の体力からみて、まだ危険水域ではないものの、下期はリスク管理を重視する。金融市場の混乱が落ち着くまで基本は見送りスタンスだ。

 富国生命は株価について最も保守的だ。4月時点では2008年度に国内株式を150億円程度買い増す予定だった。しかし、市場の6割─7割を占める海外投資家が日本株を買っていないことや、輸出依存度の高い日本企業の収益悪化は確実で、配当利回りも下がると予想していることなどをあげ、4月の計画は見送られた。

 <オルタナティブ>

 ヘッジファンド、プライベート・エクイティなどのオルタナティブ投資は、今年4月時点でやや拡大する方針が目立ったが、足元の投資環境の悪化から、ヘッジファンド投資に変化が見られる。大同生命は、一部運用スタンスを転換。ヘッジファンドの運用成績が悪化し、ドルベースのリターンが上期マイナスに転じたためだ。下期は慎重な姿勢で臨み、基本的に積み上げを予定していない。また、新たなオルタナティブ投資として海外クレジット関連商品や海外不動産投資などを検討している。同社の場合、将来的にオルタナティブの第3の柱に育てたいとの考えは継続している。

 第一生命は、ヘッジファンドをファンド・オブ・ファンズ中心に運用しているが、上期は金融不安の中でも一気にポジションを閉じることはなかった。ヘッジファンドを取り巻く状況は悪いものの、今後も投げ売りのようなことは想定していない。下期も残高は維持する見込み。

 (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者)

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