November 26, 2008 / 5:33 AM / 11 years ago

米金融対策の副作用を警戒、FRBの資産劣化でドル売りのリスク

 [東京 26日 ロイター] 米国の政府、金融当局が相次いで金融危機対策を打ち出しているが、株高/ドル高の勢いは弱い。米連邦準備理事会(FRB)が発表した最大8000億ドルにも及ぶ買い入れスキームに関しては、FRBの資産劣化の懸念を呼び起こしドルが主要通貨に対して下げるなど、早くも副作用が警戒されている。

 11月26日、FRBの資産劣化の懸念を呼び起こしドルが主要通貨に対して下げるなど、早くも副作用が警戒されている。写真は11日、ニューヨーク証券取引所(2008年 ロイター/Brendan McDermid)

 ドル安/円高を受けて国内の株式市場では売り物がちになった。今後、米財政問題とFRBの資産劣化がクローズアップされる局面が来るのかどうか、慎重なムードが徐々に広がりつつある。 

 <米金融対策でドル売り、信頼性に傷か> 

 為替市場ではドル売りが優勢。主要6通貨に対するドルの値動きを示すドル指数は85.05付近。前日海外でつけた3週間ぶり低水準の84.71から小幅に切り返しているものの、上値の重さが目立っている。

 ドル/円をみても、一時94.80円ときょうの高値から80銭程度下落、アジア時間で円高が進んだ。

 FRBは25日、消費者向けの融資を促進するため、住宅ローン関連の債券や証券を計6000億ドル買い入れるプログラムと、学生、自動車、クレジットカードなどの消費者ローン関連証券向けに2000億ドル規模の支援策を発表した。この金融対策については「一義的にはポジティブ」(外銀)とする声が複数出ているが、同時に「対策の規模がかなり大きくなってきた」(邦銀)として、FRBの資産の膨張とドルの信頼性に傷が付く事態を警戒する参加者が広がっている。

 ある証券関係者は「FRBが今回のスキームでクレジットリスクに踏み込み、今後、さらなる対応が視野に入っているため、バランスシートの劣化、金利上昇といった副作用が目に見えて出てくる危険性がある」とし、「きょうの円高はリスク回避の円買いではなく、米国の信頼性への懸念からのドル売りだ」と話す。

 JPモルガン・チェース銀行では、今回のスキームは金融市場や景気の下支えに寄与するものの「中央銀行の資産劣化、財政赤字の急拡大、FRBのゼロ金利政策導入の可能性の高まりなど考えると、犠牲になるのはドルの可能性が高い」とみている。さらに「米国にとっては、長期金利が急騰せず、株価も急落せず、インフレにならないのであれば、ドルが安くなって困ることはない」とみており、ドル下落リスクを指摘している。

 <ドル安に米景気悪化、株式投資心理を冷やす>

 株式市場では日経平均が小反落。為替が円高方向に振れたことや、米住宅価格下落など実体経済の悪化が嫌気され、輸出関連株や銀行株などを中心に海外勢の売りが先行した。「米住宅市況の悪化が顕著になったことで米国経済の先行き不透明感が増している。米シティ(C.N)の次の救済先についての観測が浮上していることや、先送りされているGM(GM.N)の経営問題もあり、株価に底入れ感は出にくい」(東海東京証券エクイティ部長の倉持宏朗氏)という。

 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラーが25日発表したデータによると、9月の米主要20都市圏の住宅価格動向を示す指数は前年比でマイナス17.4%と、過去最大の落ち込みとなった。「米住宅市場の底入れ時期が09年後半に後ずれするようであれば、輸出企業中心の日本企業の収益にも厳しさが増す」(大手証券投資戦略部)との懸念が出ている。市場では今晩発表の米10月新築住宅販売を見極めたいとする声も出ていた。

 FRBの金融対策に関しては、対策自体の効果だけでなく、ドル下落への懸念からなかなか前向きな評価は得られていない。

 三菱UFJ証券投資情報部長の藤戸則弘氏は「追加金融対策の中心は、政府系住宅金融

機関(GSE)が保証する住宅ローン担保証券などを買い取るという部分だが、これはGSE救済策など、これまでにも発表されてきた対策を踏襲したものであり新鮮味は薄い」とみている。藤戸氏は「クリスマス商戦は苦戦が予想され新興国経済の減速も著しい。オバマ次期米大統領の就任式前後までは実体経済の悪化や金融問題に焦点が当たりそうだ」と話している。 

 <米債高で円債しっかり、持続性には慎重な声も>

 円債市場はしっかり。

 長期金利の代表的な指標となる10年最長期国債利回りは、節目の1.4%を割り込み、主に1.3%台後半で推移した。国債先物は、中心限月12月限が一時前日終値より53銭高い139円57銭まで上昇した。

 FRBの金融対策を受けて、米国債市場では「ヘッジ目的で年限が長めの債券が買われた」(外資系証券)といい、円金利の下押し要因として波及した。

 市場には、グローバル・デフレへの懸念がくすぶるなか、月末特有のエクステンション買いが予想されることも支援材料、との指摘があった。「資産価格、金融市場、実体経済の負の相乗作用は、簡単には断ち切れない。国債への潜在的な需要は、依然として強い」(外資系証券)という。

 ただ、前日の米国債相場の動きに関して、参加者からは「ヘッジ目的で年限が長めの債券が買われた。ファンダメンタルズ要因での金利低下とはいえない」(外資系証券)との声も聞かれた。

 別の証券筋は「米金利の低下は一時的な需給要因で、長続きするとは思えない。今後は財政悪化がクローズアップされる局面がくるだろう」と話しており、円債の下支え要因としての持続性には疑問、という。 

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:石田仁志)

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