[ワシントン 3日 ロイター] オバマ次期米大統領と米議会が導入を計画している景気刺激策の資金をねん出するため発行が必要とされる大量の国債の買い手に、連邦準備理事会(FRB)が浮上している。
リセッション脱却に向け、オバマ氏と議会が最大5000億ドルの資金の投入を準備するなか、バーナンキFRB議長は、金利上昇を抑制するひとつの方法として国債を購入する用意がある、と述べた。
バーナンキ議長は1日、「FRBは公開市場で相当規模の長期国債や機関債の購入が可能だ」と述べ、「この手法はこうした債券の利回りに影響を与え、総需要を刺激する可能性がある」と語った。
議長によると、政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)FNM.Nと連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)FRE.N発行の債券や、2社が保証する住宅ローン担保証券(MBS)を購入するFRBの最近の決定を受け、住宅ローン金利はすでに低下している。
2009年1月20日に大統領に就任するオバマ氏は前週、景気に「強烈な刺激」を与えるのに十分な規模の政策立案にただちに取り掛かりたい、との意向を示した。
また、民主党の関係筋によると、下院は中産階級の減税とインフラ投資を含む5000億ドル規模の景気刺激策の導入を求める見通しだ。
<積極的な買い手>
こうした支出により、米国の借入額は一段と膨らむ見通しだ。税収が減少するなか、7000億ドルの金融支援策向けの出費を支えるため、政府の借り入れはすでに膨大な水準にある。
借り入れの大幅な増加は国債利回りを押し上げる危険性をはらんでいる。とりわけ、住宅ローンに影響を及ぼす長期借り入れコストの上昇は、経済活動を停滞させる恐れがある。
メルク・インベストメンツのアクセル・メルク社長は顧客向けノートで「借り入れコストを低く抑えるため、FRBはあらゆることを試みるだろう」と述べた。
メルク氏は、MBSや企業のコマーシャルペーパー(CP)の購入に続き、FRBは景気刺激策の資金をねん出するため国債を購入する可能性がある、と語った。
通常時、こうした行為はインフレにつながる公算が大きい。
しかし、FRBが相当規模の流動性を金融システムに供給したにもかかわらず、銀行は引き続き、自らの資金繰りや潜在的な借り手の信頼度を懸念している。
銀行が貸し出しに消極的な態度をとっていることや、インフレ期待が高進する兆候がみられないことで、FRB当局者はリセッション脱却への努力を推進することが可能だと確信している。
重要なのは、経済に供給した過剰流動性を吸収する、これまでとは反対の政策を実施するタイミングを誤らないことだ。
(Mark Felsenthal記者;翻訳 山口 肇)