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インタビュー:新しいユーザー層の引き止めが課題=任天堂社長
2008年12月9日 / 01:09 / 9年後

インタビュー:新しいユーザー層の引き止めが課題=任天堂社長

  [京都 8日 ロイター] 任天堂7974.OSの株価が低位で推移している。これまで任天堂の株価は、ファミリーコンピュータ(ファミコン)を発売した1983年以降、ゲームのヒットとともに3度の大きな波を経験してきた。

 12月8日、任天堂の岩田社長は新しいユーザー層の引き止めにどう対応するかが課題と言明(2008年 ロイター/Issei Kato)

 家庭用ゲーム機「Wii」や携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」シリーズのヒットによる3度目の波は、2007年末の7万3200円をピークに収束へと向かっている。任天堂の株価は、新たな高みを目指せるのか。岩田聡社長に、今後のゲーム市場の潮流や、任天堂の課題について聞いた。

 ――株価が低位で推移している。

  「今の市況で、1年前の株価と比べることはナンセンス。ただ、どこかで、次の一手はこうだ、任天堂のビジネスは違うフェーズに広がっていく、ということを示せないといけない。それを地に足を着けて実現するのが、私に求められているチャレンジだと理解している」

  「年末商戦の結果や勢いを見れば、年内はある程度計画通りとのイメージ。問題は年が明けてホリデーシーズンが終わって1─3月に、自分たちが期待した通りに物事が進むのかそうではないのかに、焦点は移りつついる。そこでやるべきことは何かを、考えている」

  「ゲーム機の勢いで大事なのは、長く売れ続けるソフトがあるかどうか。多くのソフトが非常に短寿命で終わるのが過去の流れ。任天堂は、長寿命の商品に恵まれた。より幅の広い人たちが、新たな顧客になっている。そういう人たちは一緒にハードを買ってくれる。客の幅の広いソフトほど、ゆっくり長く売れ続ける。そういうタイトルが元気なうちは、ハードの勢いはずっと持続する。Wii、DSでは、これが実現できた」

  「3年前に売り出したソフトがまだ年間100万本単位で売れているケースがある。まったく違うものが生まれた。パラダイムシフトが起き、市場のビデオゲームビジネスの常識が変わった」

  「多くの人が任天堂はそろそろ来年ぐらい失速だろうという。だが、これまでのマーケットを考えたとき、まだまだWiiやDSを普及する余地はある。プラットフォームは5年ぐらいで一巡で、DSは4年経ってるからそろそろとの考えもあるようだし、日本で今年前半にDSがちょっと去年や一昨年ほどの元気がなかったので、来年は欧米で元気がなくなるとの話もあるが、(日本とは)環境が違う。ゲーム人口や、そもそもの人口が違う。(欧米には)非常に大きなポテンシャルが残っている。まだまだハードやソフトのビジネスは拡大可能だ」

  「遊ぶ人の定義、ゲームの定義、売れ方のパターンが変わった。どうして過去の分析が役に立つのか」

 ──次世代機への切り替えの見極めは。

  「作り手が、このままでは顧客に驚いてもらうためのネタが切れるというとき。ハードメーカー的な思考で言えば、顧客が一巡したら次の新しい機械を買ってもらわないと商売にならないというのが1つの考え方」

  「前社長が、ユーザーはどうしても遊びたいゲームがあるから仕方なくハードを買うんだ、と話した。この仕方なく買う、というフレーズが、このビジネスの本質を非常に言い当てていると思う。任天堂はハードを顧客に仕方なく買ってもらうモノのだから、長持ちした方がいい」

  「しかし、同じハードの上で、これは新しい、面白い、と感じてもらうには武器がいる。ソフトメーカーに渡す武器や弾薬に相当するのが、ハードの新しい機能だ。今のハードをどういじっても、新しいと思ってもらえない、となったときが、新しいハードが必要になるとき」

 ──次世代機では、現行のゲーム機とソフトの互換性を維持するのか。

 「何も言えない。(次世代機が)必要になるのが2年後か5年後か、もっと先かと考えて複数のシナリオを考えている」

 ──WiiやDSで取り込んだ高齢者や女性といった新しいユーザーは、ゲームに飽きて離れていくとの懸念はないか。

  「新しいユーザーは飽きて(ゲームを)やめてしまうというより、次に何を遊んだらいいかがわからないことが問題になると思う。例えばDSのソフトの種類が増えるのはいいことだが、大してゲームに興味が無いという人が売り場に行くと途方にくれる。ゲームに熱心でなかった人がすぐにゲームをやめると決め付ける気はないが、2度面白くないゲームに当たったらチャンスはすごく遠のく。いくら1回マーケットが拡大しても、しぼんでしまう恐怖がある。これをどう解決するかが大きな課題」

 ──新しいユーザー層を逃さないために、ゲーム機を携帯電話のように常にユーザーに持ち歩いてもらう仕組み作りが必要との指摘がある。

  「ゲームが携帯電話に飲み込まれると言われ続けている。しかし、なぜ、飲み込まれていないのか。携帯電話ではできない魅力的なソフトがあったからだ。1台(に複数の機能を搭載している)の方が便利という人の気持ちもわからないではないが、携帯電話と他のデバイスは、本当に兼用できるのか、と個人的には思う」

  「ゲーム専用機が生き残っていく道があるとすれば、他の機械では絶対できないモノを常に提案し続けることだ。革命的なモノができたとき、2年も3年も売れ続けたりする。気がついたらものすごい台数のハードで、ものすごく大きなスケールのビジネスになる。それがDSであり、Wiiであるべきだと思っている」

 ──タッチパネルを搭載するなど機能を高めた携帯電話も出てきている。

  「他の手段でできないことを(任天堂が)提案し続けられるかどうかが全てだと思う」

 ──ゲームが携帯を飲み込むことはないのか。

  「ユーザー同士が通信できるのは素晴らしいと思うから、DSに無線通信の機能を付けたり、Wiiにネット接続機能を付けている」

  「本体の値段だけでなく、毎月3000円ずつ払ってくださいと言って、それでもDSを買ってもらえるかというと、リアリティがない。でも、テクノロジーがいつか進歩して、顧客が毎月負担しなくてもそういう機能が付けられる時代が来るかも知れない。そういう時代には、任天堂がそういうことをやっても全然おかしくない」

 (ロイター日本語ニュース 平田紀之)

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