December 10, 2008 / 6:27 AM / 11 years ago

融資基準の硬直的運用、適切でない=日銀副総裁

 12月10日、西村日銀副総裁が金融機関が融資基準を硬直的に運用することは適切でないと発言。9月に撮影(2008年 ロイター/Michael Caronna)

 [東京 10日 ロイター] 西村清彦日銀副総裁は10日、都内で開かれた「中央銀行の視点からみたリテール金融」と題した講演で、景気停滞色の強まりとともに貸出余力が低下している状況下では、個々の金融機関のリスク管理が景気の振幅を大きくする方向に作用してしまうリスクが生じ、国際的に重要な検討課題となっていると述べた。

 その上で、個々の金融機関の対応にも改善の余地がないか検討すべきだとして、例えば融資基準を硬直的に運用したり、特定業界をひとまとめにして画一的に信用力を判断することがあれば適切ではないと指摘。企業金融が金融機関への貸出への依存を高めているもとで、行き過ぎた融資抑制への懸念をにじませた。

 西村副総裁は、「最近になって金融機関の貸出姿勢の、過度の慎重化を指摘する声が再び高まりを見せていることからも、実際には金融機関と中小企業との関係において、緊密な取引関係の構築が十分には進んでいない様子が窺われる」と指摘。このところの企業金融を巡る大きな環境変化を踏まえて、借り手サイドの事情を冷静かつ丹念に分析し、それに沿って必要な対応を考え、可能なことから行動に移していくことは重要だと述べた。

 また、「わが国の景気が停滞色を強める中にあって、貸出先企業の信用リスクが全体として高まる傾向にある」と指摘、「この点を踏まえ、金融機関はより厳格な融資条件の適用を企業に対して求めると同時に、信用リスクの高まりに応じた引当金の積み増しを行い、結果として資本との兼ね合いで見た貸出余力が低下している状況にあるものと考えられる」との認識を示した。こうした局面では、「個々の金融機関レベルのリスク管理としては合理的とみられる行動が全体として重なった際に、景気の振幅を大きくする方向に作用してしまうリスク」(プロシクリカリティの問題)があるとして、「国際的にも重要な検討課題のひとつとして意識されている」と述べた。しかしこの問題は、個々の金融機関レベルで解決することは難しく、むしろ、各国の監督当局や中央銀行が中心となって、その抑制に必要な監督やマクロ経済政策のあり方などについて、議論を重ね解決していくべき問題と考えられており、実際、国際的に様々な議論が行われているところだとした。

 一方で、「個々の金融機関における対応の中にも、改善を図る余地がないかどうか、真剣に検討していく必要がある」と指摘。例えば、「金融機関がリスク管理を行うに際して、貸出先企業の個別性に配慮することなく融資基準を硬直的に運用したり、特定の業界をひとまとめにして画一的に信用力を判断したりすることがあるとすれば、適切な対応とは言い難い」とした。 「あくまでも、個々の貸出先企業の経営実態や特性、将来性を綿密に把握し、景気サイクルも踏まえた中長期的な視点に立ったリスク管理や企業再生支援を行っていくことが大切」だと述べた。また、リスク管理において、貸出残高の増減という量的な面での調整だけではなく、金利面での調整機能を十分に活用するよう努めていくことも、検討の余地がある」との考えも示した。

 (ロイター日本語ニュース 中川泉記者)

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