December 17, 2008 / 5:55 AM / 11 years ago

米金融緩和の副作用警戒、ドル売り/株売りの流れ再び

 [東京 17日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)のゼロ金利政策の導入を受けて米ダウ平均は大幅に上昇したものの、為替市場では金利差に着目したドル売りが出てドル/円は88円台に下落、直近の安値が視野に入るなど円高に振れた。

 12月17日、米金融緩和の副作用警戒でドル売り/株売りの流れ再び。写真は都内の為替ボード。12日撮影(2008年 ロイター/Yuriko Nakao)

 これが株式市場で輸出関連株売りに波及し、日経平均は午後にマイナス圏に突入した。FRBがさらなる資産購入に前向きな姿勢を示したことから、ドル紙幣の減価に対する警戒感が強く、株式市場への悪影響が懸念されている。日銀の対応次第では円高/株安が一段と進行しかねず、日銀がどこまで踏み込んだ金融緩和に乗り出すのかが注目されている。

 <投資家は慎重姿勢>

 株式市場では日経平均が反発して始まった後、急速に伸び悩んだ。米利下げの副作用とも言える円高が進展したことで、自動車、ハイテクなどの輸出企業を中心に上値が抑えられた。

 「FRBは金融安定化に向けた可能な限りの手段を取っているが、これから打つ手は残り少ない。為替市場では円高が進みやすい環境だ。年明け以降は業績予想の下方修正が相次ぐ懸念があり、投資家は慎重姿勢を崩していない」(東海東京証券エクイティ部長の倉持宏朗氏)という。

 世界的な金融緩和が続いているが、市場関係者の多くは利下げだけで安全資産に回帰している投資資金が動き出すとはみていない。最終的には企業金融なども含めた量的緩和策に世界の中央銀行がどこまで踏み切れるかにかかっている。市場では18日からの日銀政策決定会合に注目が集まっている。「政策で日本は米国に大きく出遅れた。日銀の対応が注目される。今重要なのは政策金利の変更ではなく、一般企業への資金のパイプをどう太くするかだ」(投信)との声が上がっている。

 新光証券エクイティストラテジスト、瀬川剛氏は「円高是正の必要もあり、日銀が一段の政策対応に踏み切るとの期待が下値を支えている」と指摘しており、日銀の対応次第では波乱もありそうだ。

 <FRBの資産買い入れ、ドル下落を助長>

 FRBの資産買い入れに関しても、ドル下落への跳ね返りに警戒感が広がっている。

 FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)で「クレジット市場や経済活動を一段と支援するため、バランスシートの活用方法を引き続き検討する」と明言。機関債やモーゲージ担保証券(MBS)の購入拡大だけでなく、長期国債買い入れにも踏み込む姿勢を見せた。さらに、家計や中小企業向け与信を促すためにターム物資産担保証券ローンファシリティー(TALF)を実施する。

 三井住友銀行市場営業推進部のチーフストラテジスト、宇野大介氏は「今後はFRBのバランスシートの膨張と資産の劣化が常に意識され、ドル信認の問題がクローズアップされてくる。当然、株にもマイナス材料となって跳ね返ってくる」とみている。さらに「バランスシートの問題が懸念され、長い期間の金利が上がり、一時的にトリプル安になることも考えられる」といい、来年3月末までにはドル/円は80円、ダウ平均は7500ドルの下値があると予想する。

 UBS銀行のFXアドバイザー、東川宗照氏は「ドル/円がゆっくり下げるのであれば介入は難しいのではないか。クロス円が上昇しており、ドル/円で円高を阻止する理由があるかどうかも疑問」と指摘、年明け以降もドル売り相場が続き、80円を下値とみている。

 一部報道によると、中川昭一財務・金融担当相は17日午前、「悪い円高でなく、急激な変化ではない」とし、為替介入については「今のところ考えていない」と繰り返した。市場では「円は強気で買い攻められるのではないか、とみている海外勢が出始めた」(外銀)という。

 株価の下げとともに、為替市場ではドル売りの展開となり、ドル/円は88円前半まで水準を切り下げている。12日につけた88.10円が目前だ。 

 <日銀の金融緩和、焦点は踏み込み具合>

 国債市場では、日銀の追加緩和の思惑から、金融政策に敏感とされる2年物の利付債利回りが一時前日比6.5ベーシスポイント低い0.440%に下がり、2006年2月以来、2年10カ月ぶりの低水準に突入。量的緩和解除前の水準に逆戻りした。「金融政策にらみで銀行系の買いが散見された」(国内金融機関)とみられ、取引金利が3カ月物政府短期証券の流通利回りと並ぶ場面もあった。長期金利の代表的な指標となる10年最長期国債利回りは、4月以来約8カ月ぶりに節目の1.3%を割り込み、7.5ベーシスポイント低い1.290%に低下した。

 UBS証券のチーフストラテジスト、道家映二氏は「非常に悪かった日銀短観や円高リスクの高まりを受け、日銀は利下げに踏み切らざるを得なくなった。無担保コール翌日物の誘導目標を一気にゼロまで下げることや、0―0.10%のようなFRB同様のレンジ設定も選択肢だ」と話した。

 東海東京証券・債券ディーリング部シニアディーラーの有麻智之氏は、日銀が東京銀行間取引金利(TIBOR)の低下を促すような抜本的な対策を打ち出すかどうかに着目する。同氏は「市場の不安心理が払しょくできなければ、日銀の信認が問われることになる。少なくともコマーシャルペーパー(CP)買い入れはやらざるを得ない。過去の経験を踏まえると、国債買い入れ増額も考える必要がある」との見方を示している。 

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:山川薫)

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