January 15, 2009 / 10:15 AM / 11 years ago

09年資産運用:株投資の好機、インフレ想定で=さわかみ投信

 [東京 15日 ロイター] 2009年の資産運用環境は、金融危機の長期化で1年前とは様変わりの様相。上昇のきっかけを見出せない世界の株価、主要国で進む急速な金利低下とともに意識されるドル急落リスク。資産運用のプロは先行きをどう読んで運用戦略を描いているのか。

 1月15日、さわかみ投信の澤上篤人・代表取締役に2009年の資産運用戦略などについて聞いた。写真は都内の株価ボード。昨年8月撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 ロイターは資産運用会社の運用担当者4人にインタビューし、09年の動向を探る。 

 1回目はさわかみ投信、代表取締役の澤上篤人氏。同氏はこれまでの長い運用経験からか、昨年秋以降の金融動乱による相場の下げにも動じていない。むしろ「常に5年先を見据え、そうすることで見えてくる今やるべきことをやるだけだ」とした上で、現状では「将来のインフレを見据え、日本株は投資のチャンスだ」との見方を示した。

 投信情報サービス会社トムソン・ロイター・リッパーによると、さわかみ投信の旗艦ファンド「さわかみファンド」62002979JPは、08年末残高が1665億8700万円(前年末比34%減)とETFを除く日本株分類で3番目の規模。長期の個人投資家に支えられ資金流入が続いており、08年は約270億円の流入超となった。08年の騰落率は東証株価指数がマイナス41.77%だったのに対し、同ファンドはマイナス42.17%だった。 

 インタビューの詳細は以下のとおり。 

 ──2009年の日本の株式市場をどうみるか。 

 「方向は上。それしかない。長期投資では、まず5年先を推測してみる。どんな社会になるのか、どんな経済状況になるのか。そうすることで今やるべきことがわかるし、それを早くからやっておくことだ」

 「世界的にみて現在は確かにひどい状況にある。しかし、これに対し各国政府はかつてない規模の景気対策を打ち出している。(大雑把にいえば)5年もの期間をみれば、どこかでよくなっているとみるのが普通だ。個人的には5年といわず結構早い時期に、年内にもその兆候は出てくるとみている」

 「一方でよく考える必要がある。かつてない規模の景気対策を世界各国がとり、5年先に景気が相当回復しているとする。その時にはインフレの足音が聞こえているかもしれない。インフレ方向なら株の評価は上がる。投資をしようと考えるなら、投資ができるなら、今は何が何でも株を買っておかなければならないという状況にあると考えている」 

 ──有望なセクターや銘柄は。 

 「基本的にそういう見方はしない。企業はグローバル化しているし、個別企業では経営をみている。例えば足元では大規模なリストラや事業の方向修正などに目が向きがちで、ネガティブな見方しかされていない。しかし、あくまで自分の推測でしかないが、このひどい状況をエクスキューズに、企業がこれまでできなかったこと(例えばリストラや事業縮小など)を思い切ってやっているとしたらどうか。景気が回復した時には、その効果は急激に表れてくる。減収大幅増益もありうるわけだ」

 「自分としては企業が部分最適を過度にやり過ぎているとみている。この絞り過ぎた反動はどこかで出てくる。よく考えてみるべきだ。人は何があろうと生活を営んでいる。日本の人口は減少傾向にあるといいながらも、世界の人口は毎年1億人規模で増加していく試算だ。食料は必要だし、エネルギーも必要だ。生活を営んでいく上で物も必要だ。現在は部分最適をやり過ぎで、原材料にしても仕掛在庫にしても、必ず物不足、人不足が起きてくる。こうしたことは全て株価暴騰要因だ」 

 ──個別銘柄をみるといいながら「さわかみファンド」の組入銘柄数は多い。 

 「(さわかみファンドは)もっともっと大きくなるとみている。ファンド規模で2兆円くらいを目指しているわけで、現在は将来を見越しての素地の段階。今から大きな運用を意識してやっていく。2兆円規模なら300銘柄入れても1銘柄あたり約66億円。30銘柄程度では2兆円規模の運用は難しい」 

 ──現在の「さわかみファンド」への資金流入状況などはどうか。 

 「口座開設も順調だし、ひと月あたりの定期買い付けが約20億円くらいある。1月はボーナス時期もあり、買い付け額を増額している投資家もいるため定期買い付けは約22億円くらい。スポット買いもあり1月は既に40億円程度が入っている」

 「今が買い時と判断し、株を買い進めたため、一時はキャッシュ比率が1%を割り込んだ時期もあった。(公募投信では、解約に備えてキャッシュ比率を通常5─10%程度にしておくことからすると)普通では考えれないことだ。これも解約がなく、資金流入が続いているファンドだから出来ることで、本当にありがたいことだ」 

 ──投資はどういうスタンスでするべきか。 

 「投資は自らの視点でやるべきことだ。株式投資は基本の考え方は個別株投資だと思う。自分でこれはと思った企業を5年スパンでみていく。そうすれば足元で1割下がろうが2割下がろうが、そういうこともあるなという見方になる。ところが短期間に上昇すると期待して投資するから1割下がった2割下がったと大騒ぎになる」

 「よくどこが底か見えてきたらとか、底が近くなってきたら買えばいいという運用者がいる。ただそれは実際にはなかなか難しくて出来ない。相当早い段階から仕込んでいかなければ無理だし、ましてやファンド規模が何百億円、何千億円と大きくなればなるほど無理だ。先が見えてからではリターンは大きくならない。不透明だからこそ投資する。こうすることであえてリターンが大きくなる」

 「いい例がある。米国の株式市場は約17年間、700ドルから1000ドルの間を低迷していたが、82年8月から2000年までの約17年間で株価は平均株価ですら15倍になった。低迷していた17年間もあわせ34年間としても年率でどれだけ上昇したか。大きくリバウンドしたわけだ。自分はこうした状況をみてきている。こうした時、投資をしてきた人とそうでなかった人で大きな差が生まれたのは事実。ただ、それは自身が決めたことの結果だ」 

 ──「貯蓄から投資へ」の流れはどうなるか。 

 「冷静に良く考えてみることが必要だ。全ては統計上の数字のトリックでもある。株式投資をして株価も上昇し資産が膨らむのも個人マネーで、一方、株式投資はこりごりだと投資を引き上げ預貯金においてあるのも個人マネーだ。これらが統計として出てきた時、株式が上昇していればその残高は増加するから貯蓄から投資への流れが加速したとマスコミは言うだろう。反対に相場が下落していれば残高はシュリンクする。貯蓄から投資への流れが滞っていると報道するのではないか」

 「ひとつあまり話題にならないが、気をつけてみていかなければいけないことがある。世界各国がかつてない規模で景気対策を行うことで各国は財政赤字に陥る。このため国債が大量発行されるわけだが、大量に市場に供給されるということは、どういうことになるか。価格が下がるということだ。年金運用などは厳しい状況になるのではないか。(株式の)長期投資をしていた人はいいが、年金だけをあてにしていた人達は大変な状況になるのではないか」 

 ──日本の政治をどうみるか。仮に政治家だったら。 

 「政治の(支持率)低迷やごたごたなどに興味はない。景気回復に期待することもない。あまりに将来に対して(日本の政治は)無策だ。(投資と同様に)冷静に5年くらいのスパンで考えてやるべきことをやっておくべきなのに、そうはなっていない」

 「前から言っていることだが、自分だったら代替エネルギー関連に30兆円を投じて世界の最先端をいくのもいい。今なら2兆円の減税などやらずに円高を活かして資源(鉱山)を買うだろう」 

 (ロイター日本語ニュース 岩崎成子、程近文記者;編集 石田仁志)

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