January 22, 2009 / 5:42 AM / 10 years ago

大失速の輸出は無視、市場が神経質になる円高傾向

 [東京 22日 ロイター] 日本経済をリードしてきた輸出の大失速が、いよいよ経済データとして本格的に姿を現してきた。12月の輸出額は前年比マイナス35.0%と過去最大の減少を記録。企業の景況感を測る1月ロイター短観の製造業DIは過去最低を更新した。

 1月22日、大失速の輸出は無視、市場が神経質になる円高傾向。写真はマニラの両替所で。昨年11月撮影(2009年 ロイター/Rome Ranoco)

 市場は「織り込み済み」と大きく反応しなかったが、このままのペースで景気が後退すれば、戦後最悪の落ち込みになる公算が大きくなっている。その一方で円高がジリジリと進み、マーケットは円高の行方に神経をとがらせている。

 財務省が22日に発表した12月貿易収支は3207億円の赤字。赤字は3カ月連続で、第2次石油危機に直面した1979年7月から80年8月の14カ月間以来となる。12月が輸出が前年比で過去最大の落ち込みになった背景として、自動車とその部品、半導体等電子部品の大幅な落ち込みが挙げられる。米国の消費不振が波及した結果で、12月の対米貿易黒字は前年比マイナス51.1%と半分以下に落ち込んだ。

 一方、製造業DIが過去最低のマイナス76に落ち込んだ1月ロイター短観では、自動車を含む輸送用機器が最低水準で底ばう動きを示す中で、繊維・紙パや化学など素材型を中心に自動車以外の産業で大幅な悪化傾向がみられた。みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は「素材型産業の景況感の一段悪化が確認される」とマインド悪化の広がりを指摘した。

 ある外資系証券の関係者は「海外の需要動向は、下降トレンドが全く変わっていないので、10─12月期だけでなく、1─3月期も今のペースで輸出が落ち込むことは確実だろう」と述べる。三菱UFJ証券・チーフエコノミストの水野和夫氏は、このままのトレンドが継続するとし「10─12月期のGDP(国内総生産)は前期比・年率でマイナス12%程度、1─3月期はさらに悪化してマイナス15%程度まで落ち込む可能性が高まってきた」と警鐘を鳴らす。

<株式市場は円高傾向に神経質>

 しかし、マーケットは「実体経済の悪化は、相当に織り込まれている」(国内証券)とほとんど反応しなかった。多くの参加者が注目したのは、ドル/円相場だ。午前の市場では、88円台で推移して警戒された。「米国株高にもかかわらず円高と海外勢の売りで上値が重い。指数は戻しているが、内容の悪い相場展開だ。企業業績の悪化は織り込んだとはいえ、為替が不安定では悪材料出尽くしにならない」(コスモ証券エクイティ部次長の中島肇氏)との声が出ている。

 ユーロ建て、ポンド建ての日経平均は世界の株価指数と比べて相対的に底堅いため「為替をヘッジしていないグローバルインデックスファンドなどは、リバランスの日本株売りを出している可能性もある」(大手証券)とみられている。

 ドルは、21日海外の取引で一時87.10円まで下落。昨年12月17日に付けた安値を小幅に下回り、1995年8月以来13年半ぶりの安値を更新した。市場では、オバマ米新大統領就任翌日を期日とする多額のオプション精算に絡む一時的な動きだったとする声が出ている。

 対ドルでの急速な円買いは他通貨にも波及し、ユーロ/円も一時112.08円と昨年10月安値を下抜けて02年3月以来ほぼ7年ぶりの安値を、英ポンド/円も119円前半をつけて史上最安値を更新するなど全面高となった。

 しかし、円買いが一時的な動きとなったことで、22日朝方にはドルが89円半ば、ユーロが116円半ば、英ポンドが124円半ばと、前日東京市場終盤の水準に値を戻した。

 その後は、仲値にかけて88.62円まで下落したものの、公示後に89.50円付近まで再び反発。前日の大幅な下落を経て、短期筋を中心に「買い戻しが活発化してきた」(邦銀)という。

 一部投資家の買いが入ったとする声もあった。日経平均株価は朝方に上昇して寄り付いた後、前日比91円安まで反落したが、前引けにかけて下げ幅を縮小している。ユーロ/円も114円後半へ下落した後に116円半ばへ切り返した。

 <懸念が再燃した米欧の不良債権問題>

 こうした円安方向への動きを好感し、午後の取引で日経平均は、前日比プラス圏に浮上した。ただ、やはり経済の悪化を意識せざるをえないとの声も根強い。来週から、本格的な決算発表のシーズンを控え「嵐のような下方修正ラッシュの懸念」(外資系投資顧問)があり、投資家の多くは様子見姿勢を取らざるを得ない状況だ。株高のきっかけになるのは海外要因だが、好材料は少ない。

 英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)(RBS.L)や資産管理大手ステート・ストリート(STT.N)などの業績悪化をきっかけに、欧米の金融システムへの懸念が再び、広がっていることも大きな賂材料になってきた。

 ユナイテッド投信投資顧問シニアファンドマネージャーの高塚孝一氏は「依然として多くの金融機関が、損失を抱えた証券化商品をもっている可能性が大きいことを示唆している」と指摘。「金融機関が公的資金注入を拒むのは予想されることなので、強制的に損切りさせて公的資金を注入する仕組みを早く作り上げることをマーケットは待ち望んでいる。それができずにびほう策を続けている限りは、金融不安が常にくすぶることになる」との見方を示している。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦;編集 村山圭一郎)

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