March 25, 2009 / 6:34 AM / 9 years ago

焦点:米ゴールドマン公的資金返済計画、他行も追随の可能性

 [ニューヨーク 24日 ロイター] 米ゴールドマン・サックス・グループ(GS.N)が公的資金の早急な返済を計画しているとのニュースを受けて、他行にも返済への圧力がかかる可能性があるとみられている。

 総額7000億ドルの不良資産救済プログラム(TARP)は、金融機関への資本注入を通じて、貸し出しの増加と景気のてこ入れを狙った政策。これまでにシティグループ(C.N)とバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)(BAC.N)がそれぞれ450億ドルを受け入れたほか、最も小規模なところではザ・ビクトリー・バンク(ペンシルベニア州リムリック)が54万1000ドルの注入を受けるなど、多くの金融機関が利用している。

 TARPが今や制約ととらえられるなか、公的資金をできるだけ早く返済しようとする銀行が増えるとみられている。公的資金を返済すれば、通常年5%の配当支払いや政府の介入から解放されることになる。

 ブライアン・ケーブのパートナー、ジェリー・ブランチャード氏は「銀行は今や資金を手にし、財務力が改善している。政府の監視を嫌うのは自然な成り行きだ。また多くの銀行には、今回の危機の原因になった大手投資銀行と同一視されたくないという気持ちもある」と述べた。

 しかし同時に、バンカメなど銀行の多くは、TARPによる公的資金について、経済情勢が一段と悪化した場合の緩衝材、とみなしている。

 公的資金2億1500万ドルを受け入れたミシシッピ州の銀行トラストマーク(TRMK.O)のヒクソン最高経営責任者(CEO)は「資本注入を受けたのは、必要だったからではなく、景気が急激に悪化する当時の状況を考えると、賢明な措置だと判断したからだ」と強調した上で「返済は可能ではあるが、慎重に行動していきたい」との姿勢を示している。

 <ゴールドマンは来月にも返済の意向> 

 関係筋によると、ゴールドマンは公的資金100億ドルのできるだけ早い返済を望んでいる。ただ関係筋は、ハードルは残るとしている。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、ゴールドマンが早ければ来月にも公的資金を返済する意向、と報じた。ゴールドマンは、コメントを控えた。

 ゴールドマンが公的資金の返済を急ぐのは、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N)の高額ボーナス問題をめぐる議会や国民の批判なども理由、とみられている。またゴールドマンが、AIGのカウンターパーティーとして、AIGの救済資金のうちの129億ドルを受け取っていることも、背景にある可能性がある。

 大手銀行19行は近く、景気が悪化した場合の対応能力や、追加資本の必要性についてストレステスト(健全性審査)を受けることになる。

 YCMNETアドバイザーズのマイケル・ヨシカミ社長は、他行が「公的資金の一部を来四半期に返済したとしても驚きではない。公的資金を返済することが可能で、返済後も十分な資本を持って業務運営できるとすれば、自分自身のストレステストに合格したことになる」と述べた。

 ウェルズ・ファーゴ(WFC.N)など一部は公的資金を受け入れたことに後悔の念を示している。ウェルズ・ファーゴは望んでいないにもかかわらず、当時のポールソン財務長官の指示で250億ドルを受け入れた。

 公的資金返済の動きは、政府が新たな規制を一方的に課すことも後押ししている。政府は先月、幹部の賞与を抑制する措置をとっており、AIGの賞与についても規制をかける可能性がある。下院は先週、AIGの幹部の賞与に90%課税する法案を可決したが、同様の規制が他行の賞与に及ぶ可能性があり、優秀な人材の流出にもつながりかねない。

 ウェルズ・ファーゴのコバセビッチ会長は13日、スタンフォード大学で「政府の指示に従って行動したのに、あとになって新たな条件を負わせられるとは、これがアメリカだろうか」とコメントしている。

 ベーカー財務省報道官は、ゴールドマンをはじめとする金融機関の公的資金返済や、早期返済が融資に悪影響を及ぼすかについて、コメントを控えた。

     <他行も追随か>

     キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ(KBW)のアナリストによると、184社が公的資金を利用しない方針を示しており、少なくとも大手5銀行(シティグループ、JPモルガン・チェース(JPM.N)、ノーザン・トラスト(NTRS.O)、PNCフィナンシャル・サービシズ・グループ(PNC.N)、USバンコープ(USB.N))が早期返済を望んでいる。

     これ以外にも早期返済を目指している銀行がある。バンカメのルイスCEOは、経済情勢が許せば、年内にも返済することが可能と述べた。またモルガン・スタンレー(MS.N)のマックCEOは議会で、公的資金100億ドルをできるだけ早急に返済したい、との意向を示している。

     またKBWによると、バンク・オブ・マリン・バンコープ(BMRC.O)、イベリアバンク・コープ(IBKC.O)、シグニチャー・バンク(SBNY.O)、サン・バンコープ(SNBC.O)、TCFフィナンシャル・コープTCB.Nという少なくとも5行の小規模銀行が、公的資金の返済をすでに申請した。

     KBWは、現在の資本で公的資金の返済が可能な銀行として、ゴールドマン、モルガン・スタンレー、シティー・ナショナル・コープCYN.N、コメリカ(CMA.N)、SCBTフィナンシャルSCBT.O、スターリング・バンクシェアーズSBIB.O、トラストマークの7行を挙げた。

     シティー・ナショナルの広報担当者はコメントを拒否した。スターリングの広報担当者は現時点ではコメントはないと回答した。コメリカおよびSCBTは、ロイターの取材に対して、電話を折り返さなかった。

     ただ、経済情勢が依然不透明なことを考えると、返済を待つのは賢明な措置かもしれない。ブライアン・ケーブのブランチャード氏は「景気の底を探るなか、万が一に備えたほうがよいのかもしれない」と話す。

     トラストマークのヒクソンCEOは、TARPは定期保険のようなものと述べた。「保険があるからこそ、われわれは融資を増やしミシシッピの経済に貢献できる。市場には振り回されたくない」と話している。

     (Jonathan Stempel記者;翻訳 吉川彩;編集 村山圭一郎)

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