March 29, 2009 / 7:03 AM / 9 years ago

焦点:住宅価格下落で、賃貸派から購入派に転じる米国人

 [ニューヨーク 25日 ロイター] サンフランシスコで夫とともに6年間にわたって賃貸生活を続けていたケイト・ウィルーズさんは、現在の小さなアパートから寝室が4つあるビクトリア朝の一戸建て住宅に住み替えられるチャンスが到来したと知り飛び上がった。住宅ローンで支払う金額が、今の家賃と同額だと分かったのだ。

 3月25日、米国の住宅価格の下落により、賃貸派から購入派に転じる動きが出ている。写真は7日、米国内の住宅のオークション会場で(2009年 ロイター/Brian Snyder)

 フィナンシャル・プランナーとしてアメリプライス・ファイナンシャルに勤めるウィルーズさんは、「あんなに興奮したことはなかった」とその時のことを振り返る。夫のチャーリーさんとともに、さっそく念願のマイホーム購入の契約を結んだという。

 米国の一部地域では、住宅価格が借り続けるより買った方が安いというレベルにまで下落。加えて住宅ローンの金利が過去最低水準となったこともあり、マイホーム購入を考えていた賃貸派の人々を喜ばせている。

 ウィルーズさんは「米政府はピーク時の高値で(住宅を)買った人たちを救済しているが、私にとっては今の住宅価格下落と住宅ローン金利の低下が景気刺激策のようなもの」と述べ、今が買い時だと直感したと語った。「かつては誰もが、サンフランシスコの住宅価格は決して下がらないと言い切っていた。でも人が『決して起きない』と言うことは、往々にして起きるもの。天の邪鬼(あまのじゃく)にならないと」。ウィルーズさんのマイホーム購入にかかった金額は、現在の賃貸アパートに住み続けるのと同額だったという。

 S&Pケース・シラー住宅価格指数の算出調査対象の1つであるサンフランシスコでは、昨年12月、住宅価格が前月比で3.8%下落した。前年比では平均31.2%ダウンで、全米都市の中でも最悪の水準だった。

 カリフォルニア州の住宅市場で一筋の光となっているのは、価格低下が新たな購入者を呼んでいるという事実だ。

 MDAデータクイックが先週発表した報告書によると、同州の住宅販売戸数は今年2月、差し押さえ物件の流入で販売価格の中央値が39・9%下がったのを受け、前年比42.5%増となった。前月比では、2月の新築および中古物件の販売戸数は0・8%減となる2万9225戸で、その販売価格の中央値は、1月と変わらずの37万3000ドル(約3700万円)だった。

<購入の方が「安上がり」>

 カリフォルニア州アーバインのジョン・バーンズ不動産コンサルティングのシニア・バイスプレジデント、モリー・カーマイケル氏は「今では国内の多くの地域で、借りるよりも安く住宅を購入できる」と指摘。同社が調査を行う全米76都市の半数で、税金を考慮すると、賃貸よりマイホーム購入の方が安く上がると説明する。

 カーマイケル氏によると、カリフォルニア州リバーサイド郡とサンバーディーノ郡の「インランド・エンパイア」と呼ばれる地区のアパートの1カ月間の賃料は平均1157ドル。一方、戸建ての一世帯住宅では月々の住宅ローン支払額の中央値は税金を考慮すると971ドルで、今年半ばにはさらに872ドルに下がる予想だ。同氏は「今は住宅の購入に適した時期だ」と分析する。

 米住宅市場は世界大恐慌以降で最悪の危機を迎えており、そのインパクトは景気後退で打撃を受けた米国経済、そして世界各地の経済へと波及した。エコノミストたちは、住宅市場が安定化しない限り、米経済が今回の深刻な落ち込みから脱却することはないだろうと主張する。

 一方、全米リアルター協会(NAR)の住宅取得可能指数は今年1月、1970年に同統計を開始して以来最高となる166.8となった。

 調査会社ムーディーズ・エコノミー・ドットコムの住宅経済担当ディレクター、セリア・チェン氏は「平均的な収入がある世帯なら、販売価格の中央値より59%高い住宅を購入できる」と語る。「収入は伸び悩んでいるものの、ローン金利低下と住宅価格の急落によって(住宅の)買いやすさは急上昇している」というのだ。

 3月19日までの週の米30年住宅ローン金利(固定)は平均4.98%。同金利は、9週前にはフレディマックが1971年に統計を開始して以来最低となる4.96%を記録した。同氏は、景気の悪化、失業率の上昇、金融機関の貸し出し姿勢の厳格化、それに差し押さえ物件の市場へのさらなる流入により、住宅価格はまだ下がると予測する。

 ニューヨークのマイクロ・オフィス・ソリューションを創業した起業家のウェリー・チャオ氏は今、マンハッタンでのアパート購入を計画している。その理由について、「自分は実利的な人間。(住宅)価格は買った方が理にかなうという水準に下がってきた。モノを買うには下降局面で買うのがベストだ」としている。

 ニューヨークのコールドウエルバンカー・プレビューズ・インターナショナルのレイ・シュミッツ氏によると、マンハッタンでドアマン付きの建物に寝室が1つあるアパートを借りた場合、月々の賃料は2700ドル前後。一方、同様のアパートを買う場合の価格は60万ドルだという。同氏によると、頭金とクレジットスコアが740あれば、全体の80%を30年物の低い固定金利で借りることができ、月々の支払い額は2600ドル。税金と維持費も、自宅所有者への減税措置で十分賄える範囲だという。

 シュミッツ氏は「これらの数字を見れば(どちらが得かは)自明だ」と締めくくった。

(ロイターニュース 原文:Julie Haviv、翻訳:植竹 知子)

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