April 8, 2009 / 7:10 AM / 9 years ago

常態化するCP・短国の官民逆転、事業法人の「財テク」支援も

  [東京 8日 ロイター] 日銀が企業金融の目詰まり解消を狙った企業金融支援特別オペに踏み切って以降、企業が発行するコマーシャル・ペーパー(CP)の金利が、国が発行する国庫短期証券を下回る官民逆転の現象が常態化している。

 特別オペには、企業が発行した社債やCPを担保に3カ月物の資金を0.1%の低利で調達できる利点があり、金融機関が以前より活発にCPを引き受けるようになったからだ。国庫資金繰りを背景にした一時的な需給悪化で短国金利が下げ渋るなか、事業法人の「財テク」を支援する構図も浮き彫りになってきた。 

 「ムーディーズによる日本国債格下げで国の信用力が揺るがされ、トヨタ債との官民逆転の現象が一瞬生じたことがあるが、ここまで常態化するのは初めてではないか」。大手銀行の企画担当幹部が指摘するのは、3カ月物のCPと短期国債の利回り格差のことだ。

 CP発行金利は低下の一途をたどっている。発行金利は最上格の電力が0.13%、やや信用力の落ちるa1格の食料品や石油などの事業法人でも0.15%前後となっている。CP発行金利には、3カ月物の短期国債利回りに一定のプレミアムが上乗せされるのが一般的だ。しかし、逆に短国利回りを下回っているのは、企業金融の目詰まり解消を狙った特別オペの存在が大きい。

 特別オペは、企業が発行した社債やCPを担保に3カ月物の資金を0.1%で貸し出す仕組みになっており、発行を引き受けるCPディーラーが資金調達への懸念を抱く必要がなくなるため、金融機関からの人気が高い。前出の大手行関係者は「大手3行の引き受けシェアは、肌感覚だが10―20%程度低下している。その分、証券会社や短資会社のディーラーが活発にCPを引き受け、全体の押し下げに作用している」と話す。 

 一方、短期国債をめぐる需給環境はさえない。「国庫の資金繰りによる」(財務省)ため、4月の国庫短期証券の発行総額は30兆円程度に膨らみ、3カ月物に限っては1回あたりの発行額は5兆4000億円程度になる。拍車がかかる増発傾向に参加者からは「需給要因だけをみれば金利が青天井に上昇しても違和感はない」(短資会社)との声も漏れる。

 CP発行金利の低下を嫌った最終投資家が短期国債の物色を始めており、「短国利回りの独歩高こそまぬがれている」(国内金融機関)ものの、金利低下の足取りは鈍い。 

 こうした状況が、事業法人の財テクを支援する副産物をもたらしているとの指摘もある。CPを0.15%で発行したと仮定しても0.20%の短期国債に資金を振り向ければ、計算上は0.05%での運用が可能だ。「事業法人は確実にスプレッドが抜ける。バブル時は、事業法人がCPを発行して銀行の定期預金に置くだけでノーリスクで利ざやが稼げた。一昔前の財テクのようだ」(邦銀)との声も珍しくはない。

 今後、銀行の譲渡性預金(NCD)経由や直接的な事業法人の資金流入が、短国金利の押し下げ圧力になる可能性もあると、専門家は指摘する。

 (ロイター・ニュース 記事執筆;山口 貴也記者、編集;石田 仁志)

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below