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日本が支える米国への資本フロー、中国は不安定に
2009年4月16日 / 08:50 / 9年後

日本が支える米国への資本フロー、中国は不安定に

 [東京 16日 ロイター] 全世界から米国を投資先とするマネーの流れは、米国発の金融・経済危機を背景に急速に細っているが、そんななかで日本からの米国債投資だけは今年に入って拡大し、対米資本流入を支援する格好になっている。

 4月16日、全世界から米国を投資先とするマネーの流れは米国発の金融・経済危機を背景に急速に細っている。写真は米ドル紙幣。2006年1月撮影(2009年 ロイター/Lee Jae-Won)

 他方、米国が最も気を遣う債権者である中国からの対米証券投資は不安定になってきた。

 米財務省が15日に発表した対米証券投資データーによると、日本に居住する投資家は2月に、米国債、米政府機関債、米社債、米株式の4タイプの米長期証券を合わせて275億ドル買い越し、1月の買い越し額59億ドルを大幅に上回った。3月も高水準と予想されている。他方、中国は2月に米長期証券を計20億ドル売り越し、1月の35億ドルの売り越しに続いて2カ月連続の売り越しとなった。

 米長期証券を経由した全世界からの米国へ向けた資本流入は官民合計で2月に208億ドルだった。1月は117億ドルの流出。ユーロ圏、中南米、カナダ、豪州などが米国証券の売り手に回る中で、日本の動きが目立った。

 <米国が最も気を遣う債権者の中国>  

 ただ、米国が債権者として最も気を遣うは日本ではなくて中国のようだ。

 米財務省は15日公表した主要貿易相手国の為替政策に関する報告書(為替政策報告書)の中で、中国を為替操作国として認定しなかった。

 米財務省高官は記者説明で、報告書作成にあたりホワイトハウスおよび国際通貨基金(IMF)からの助言を参考にしたと指摘。米国内で中国に対する為替問題追及の機運が高まった過去10年と比較し、現在の世界経済の状況はかなり悪化しているとした。

 中国については、巨額の貿易黒字や外貨準備が示すように、人民元が過小評価されているとの見方に変わりはないとする一方、過小評価の程度については判断を避けた。

 米財務省の発表を受け、全米製造業者協会は、財務省は「機会を逃した」と指摘。引き続き面倒な問題になるとの見方を示した。

 他方、中国の温家宝首相は3月13日、全国人民代表大会の閉幕に伴い北京で会見し、「中国は米国に多額の資金を貸し付けている」とし、「当然ながら、その資産の安全性をわれわれは懸念している。正直言えば、わたしは少々不安だ。米国が良好な信用状態を維持し、約束を守り、中国の資産の安全性を確保するよう要請する」と語った。

 米国資産の安全性については民間のエコノミストからも心配する声があがっている。

 危機対応で財政支出を拡大する米国は、米国債を大量増発し、FRB(米連邦準備理事会)が長期債の一部を買い入れることで、長期金利上昇が抑えられている。 しかし、「アメリカのハイパワードマネーは倍増しており、今後、FRBのバランスシートが毀損するリスクや、財政リスクが意識され、市場が臨界点を越えれば、期待インフレ率が上昇し、長期金利が上昇、ドルが急落するリスクが顕在化するだろう」とバークレイズ銀行チーフストラテジストの梅本徹氏は言う。

 中国は世界最大の財務省証券保有国であり、保有残高は2月末時点で7442億ドルにのぼり、2位の日本(6619億ドル)と比べても、800億ドル以上多く対米エクスポージャーがある。

 中国人民銀行(中央銀行)は前週末、3月末時点の外貨準備が第1・四半期に約77億ドル増加して1兆9537億ドルとなったと発表した。前年同期は過去最高の1539億ドルの増加だったので、為替市場では、増加率が大幅に鈍化したことが話題となった。

 中国は外準の通貨建て構成を明らかにしていないが、市場では外準の3分の2が米国債を含む米国の証券だと推測されている。

 <邦銀によるドル流動性確保の動き>

 貸し手としての中国の存在が不安定化するなかで、本邦金融機関の一部では、米国債の保有を大幅に増加させる動き見られている。

 本邦財務省によれば、銀行部門による外国中長期債投資は2月に3兆6540億円、3月に2兆2000億円と大幅な買い越しを続けている。リーマン・ショックのあった昨年9月から今年3月までの7カ月間の外国中長期債の買い越し額は、累計で8兆円に上っている。

 「一部の大手金融機関を中心にドルの流動性確保のために、トレジャリー(米国債)を買い求める動きがみられる。ドルの短期市場が機能不全に陥るなか、自行と顧客の海外業務を支えるドルの流動性を確保する動きだ」(市場筋)との指摘がある。

 ドルの短期金融市場では機能不全が続いており、格付けにかかわらず、十分なドルの流動性を確保するのが困難な状況だ。

 邦銀の海外支店は、危機で国際信用市場でのプレゼンスを低下させた欧米銀行に代わり、2007年後半から、貸付を中心にバランスシートを拡大させてきたが、「リーマン・ショック以降、資金繰りが苦しい状態が続いている。ローン債権など売却できるものはいいが、売却しにくいものもある」(邦銀)との声も聞かれる。

 国内銀行海外支店の総資産残高は2月末に66.4兆円。昨年9月のリーマン・ショック直前の8月末には70兆円と99年半ば以来の高水準に達した。

 しかし、ドル市場の機能不全により、ドル・ファンディングが困難となり、海外支店のバランスシートの約3分の1は国内本店からの資金融通でまかなっているのが現状だ。銀行部門による米国債の保有増はドルの流動性を確保する目的があるとみられる。

 (ロイター日本語ニュース 森 佳子)

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