April 23, 2009 / 6:59 AM / 9 years ago

東京市場、米ストレステスト次第で株価に打撃も

 [東京 23日 ロイター] 23日の東京市場は、株、為替、債券の各市場ともに方向感のない展開に終始した。米当局が5月4日に大手銀対象のストレステスト(健全性審査)結果を発表する予定で、深刻な事態を示すことになった場合の株への打撃を懸念する声も出ている。

 <株価は午後に反発>

 株式市場では、午前の取引で日経平均が小幅反落したが、午後に切り返した。自動車や建設などが堅調な一方、鉄鋼や海運は利益確定売りで上値が抑えられた。市場では「直近上昇したハイテク株などに短期資金の利益確定売りが出ている。下値での買い注文は入るが、日経平均8500円―9000円水準では、国内外とも実需勢は様子見姿勢だ」(大手証券エクイティ部)という。

 市場の最大の関心事は、米連邦準備理事会(FRB)が大手金融機関を対象に行っているストレステストの結果だ。今月24日に検査方法などの概要が公表され、5月4日には個別行の審査結果が明らかになる。「米金融機関は表面上、好決算だったが、引当金の積み増しなどに懸念が残る。足元の株式需給は悪くないが、ストレステストの結果が判明するまで慎重にならざるを得ない」(みずほインベスターズ証券エクイティ情報部長の稲泉雄朗氏)との声も出ている。

 証券ジャパン・調査情報部副部長の大谷正之氏は「米クライスラー[CBS.UL]の再建期限や米ストレステストの結果発表などイベントが目白押しだ。相場に短期的な過熱感が残っていることも背景となり、いいニュースよりも悪いニュースが出てくるのではないかとの警戒感が市場に強まっている。テクニカル的に日経平均で節目の8500円を切れば8000円付近まで下落する可能性が大きくなるので、イベント前にショートポジションを組む動きも出ているようだ」とみている。

 <マクロ経済悪化なら、銀行資本に打撃との試算報道も>

 米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、審査で用いられた一部の損失見通しは予想よりも厳しいと報じている。連邦準備理事会(FRB)の内部資料によると、失業率が2010年末時点で10.3%に達するとの過酷なシナリオでは、各金融機関は2年間の損失として、第一抵当モーゲージ・ポートフォリオについて最大8.5%、ホーム・エクイティ関連で11%、商業・産業ローンが8%、商業用不動産ローンが12%、クレジットカード・ポートフォリオについては20%の損失を想定する必要がある。

 ウエストウッド・キャピタルの試算によると、これらの前提に基づいた場合、損失額は中核的自己資本(Tier1)の半分を超える規模に相当する可能性がある。

 JPモルガン・チェース(JPM.N)やシティグループ(C.N)、バンク・オブ・アメリカ(BAC.N)、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N)などを含むストレステスト対象行13行については、Tier1の56%に当たる2402億ドルの損失が予想されるという。

 ある国内証券株式トレーダーは「仮にストレステストの内容が良かったとしても、信憑性の問題からいったん上昇した後はじりじり下げるのではないか。内容が悪ければ当然下げる。どちらにしても下落の可能性が高まる」と指摘する。

 米金融機関の情勢に詳しいある国内市場関係者は「米銀決算は、時価会計基準の緩和を適用したとみられる大手銀がほとんどのようで、実態がわからなくなっている。ストレステストの公表も、どこまで実態を示すことになるのか、今はわからない」と述べている。

 ある外資系証券の関係者は「ストレステストの結果が深刻な事態を指し示すことになれば、世界中で連鎖的に株価が下がる展開になると予想する声も市場の一部で出てきている」と話している。

 <外為市場もストレステストに関心>

 ストレステストの結果に敏感なのは、株式市場だけではなかった。外為市場でも「レンジの下限でもみあっており、レンジを切り下げるのか維持するのか方向感が定まらない」(国内金融機関)との声が聞かれる。市場の関心は米ストレステストに集中しており「内容を確認しなければ動けない」(三菱UFJ信託資金為替部為替第2グループグループマネージャー、井上英明氏)との声が出ていた。

 また、ある国内金融機関の関係者は「米国の銀行決算に対する反応の仕方も、これまでは良い決算に反応するムードだったが、バンク・オブ・アメリカ(BAC.N)からモルガン・スタンレー(MS.N)にかけては悪い決算に反応する地合いに変わってきた」(国内金融機関)と警戒する声が出ている。

     三菱UFJ信託の井上氏は「楽観はできないが、ストレステストが甘いと評価されないよう、説得力を持たせる意味合いもあるだろう。また、たとえ厳しい結果になったとしても、その先には公的資本注入が用意されている。資本注入を渋る金融機関に受け入れさせるための戦略的な意味合いもあるのではないか」とみている。

     こうした中で午前の取引では、ドル/円、ユーロ/円ともじわりと売りが優勢になり、ドルは一時97.65円まで、ユーロは126.82円まで下落した。マクロ系ファンドなどの売りがみられたという。

     ただ、下値は限られ、ドル/円は前日海外でつけた3週間ぶり安値である97.57円を、ユーロ/円は21日につけた1カ月ぶり安値の126.10円を割り込むことなく、下値もみあいとなった。

     <国債増発は織り込みか>

     円債市場でも、小幅な値動きが続いた。クレディスイス証券・債券ストラテジストの福永顕人氏は「先物がアウトパフォームせずに国債利回りが低下しており、現物債への需要がみられるようになってきた。国債増発による需給懸念を背景にした相場展開は、終えんを迎えつつある」と話した。

     また、財務省が昨年12月に策定した09年度カレンダーベース市中発行額は、当初計画の113.3兆円を大きく上回る130兆円程度に増額修正される見通しだが、市場では「17兆円規模の増発は織り込んだ」(外資系証券)との見方が広がっている。

     日銀による国債買い入れ増額の期待がくすぶる中、日銀金融研究所が22日公表した昭和恐慌時の政策対応に関するリポートも話題となり、参加者からは「日銀は、いずれ国債買い入れは増やすだろうが、並行して、いかに出口戦略を描くかも重要だ。国債はずっと発行され続けるわけで財政ファイナンスとなれば引っ込められなくなる」(邦銀)との声が出ていた。

     (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦)

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