May 20, 2009 / 4:07 AM / 10 years ago

外国人の株買い続く、GDP悪化でも経済反転シナリオ

 [東京 20日 ロイター] 1─3月期の実質国内総生産(GDP)が戦後最悪の落ち込みとなったが、金融市場では目立った反応はみられなかった。

 5月20日、1─3月期のGDPが戦後最悪の落ち込みとなったが、金融市場では目立った反応はみられなかった。写真は東京・銀座の交差点。先月撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 事前に予想された範囲との解釈や先行きの反転を見込むシナリオに変わりはない、との受け止め方が多い。需給的にも、株式市場では売りすぎた外国人からの調整買いが続いており、不安感が醸成されにくい地合いになっている。 

 <景気回復期待は揺るがず> 

 株式市場では日経平均が小幅続伸。寄り付き前に発表された1─3月期GDPは前期比マイナス4.0%、年率マイナス15.2%と、公表値が存在する1955年以降で最悪となった。ただ、事前予想の範囲内で悪材料出尽くしとなった。「厳しい数字となったが、外需主導で4─6月期GDPは減少率の縮小、もしくはプラス転換というシナリオが崩れるようなネガティブ・サプライズはなかった」(大和証券SMBCグローバル・プロダクト企画部情報課次長の西村由美氏)という。 

 市場は先行きの景気回復に期待している。エコノミストの間では4─6月期にプラス転換との見方が出ている。年後半にかけて成長が加速すれば、2010年3月期下期の増益を見込む企業業績見通しとも合致する。みずほインベスターズ証券エクイティ情報部長の稲泉雄朗氏は「定額給付金や高速道路料金引き下げ、エコポイント導入など各政策が実施されたのは4月以降、公共投資が実際に出てくるのは7月以降だ。株価は現時点の予想利益からみたバリュエーション面では買いにくい水準にあるが、政策効果を織り込む形で見直しが入れば割高感も薄らいでくる」との見方を示している。 

 日経平均が底堅さを維持している背景には海外勢の買いもある。「欧州勢の買いが連日入っているため、崩れるような需給状態ではない。日本株をアンダーウエートにし過ぎた投資家の見直し買いが入っているようだ」(大手証券エクイティ部)という。 

 一方、大和住銀投信投資顧問、上席参事の小川耕一氏は「国内では決算が終わったことで材料不足。商いも細ってきており、動意に乏しい。8─9月とされる総選挙まで特にイベントはなく、当面、中国やインドなどアジア株式市場にけん引される相場になる」とみている。海外投資家動向については、「日本株に対する極端なショートポジションの巻き戻しの域を出ていないという印象。ポートフォリオの中で日本株アンダーを見直すという根本的な変化はまだみられない」と話している。 

 <方向感探る中で円買いバイアス> 

 外為市場はやや円買い地合い。1─3月期GDPは大きな影響を与えず、「引き続き株価にらみ」(邦銀)の展開になった。

 市場では「08年10─12月期GDPが下方修正されたことを考え合わせれば、GDPがきょうの円買いの手掛かりになったわけではない」(邦銀)との声が上がっている。

 バンク・オブ・アメリカ―メリルリンチ証券のシニア通貨ストラテジスト、藤井知子氏は、株価に大きな影響が見られないことや、この数字を受けて日銀が追加対策を講じるような必然性がないこと、エコノミストの関心が4―6月期のプラス転換の可能性に移っていることを指摘、「ドル/円相場は当面、94―98円のレンジ内を推移すると見ており、引き続き方向感を模索する展開となろう」と予想している。 

 この日に関しては、グローベックス市場で米国株価指数先物が軟調だったことに加え、堅調にスタートした日経平均も買い一巡後は上値の重さが目立ったことで、ドル/円、クロス円とも軟調な推移。仲値の需給がドル余剰だったことに加え、輸出筋の売りや国内投資家の売りを指摘する声もあり、ドルは95円半ばまで下落したほか、ユーロは129.70円まで売られ、きょうの高値(131.33円)からの下げ幅は1.50円を超えた。  

 市場では「ドルの前日までの戻りは、それ以前の下げのあとの自律反発に過ぎない。バイアスは下向きだ」(みずほ証券金融市場グループ外債トレーディング部マネージャー、鈴木健吾氏)、「ドルは再び94.60円付近を目指す流れになっている」(国内銀行)などの声が聞かれた。 

 <円債、大口投資家が現物買い> 

 円債市場では、中期ゾーンの債券が物色された影響で需給引き締まり感が広がり、先物相場が小幅上昇した。GDPは予想の範囲にとどまり、材料視されなかった。

 一部大口投資家の現物買いが観測され、「ロットは大きくはないが、債券投資に意欲的なことを浮き彫りにした」(外資系証券)という。

 日本証券業協会が20日発表した4月の公社債投資家別売買状況によると、短期証券を除いた公社債売買高で都銀は1兆9720億円の売り越しだった。都銀の売り越しは2カ月連続。長期国債を売却することで「益出し」や金利リスクの調整を図ったとみられる。

 政府が財政支出15兆4000億円に上る追加経済対策をまとめ、新発10年債利回りは4月10日、一時1.490%と2008年11月以来5カ月ぶりの水準に上昇していた。一方、地方銀行や信託銀行、農林系金融機関は買い越しとなっており、参加者からは「地方勢などの投資意欲が金利跳ね上がりを抑制した」(国内証券)との声が聞かれる。

 別の外資系証券の債券ディーラーは「すでに売りの玉が少なそうだとの思惑も、需給引き締まり感につながったのではないか」と話した。 

 追加経済対策に伴う実際の国債増発は7月から。国内金融機関の関係者は「4―6月の債券運用をにらんだ買い遅れ組は少なからずいそう」と指摘した。 

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集 宮崎亜巳)

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