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揺らぐ景気回復期待、輸出株と小売株の逆転現象も
2009年7月3日 / 08:56 / 8年後

揺らぐ景気回復期待、輸出株と小売株の逆転現象も

  [東京 3日 ロイター] 3月以来の株価反発を支えてきた景気回復期待が揺らいでいる。6月の米雇用統計が予想外の悪化となり、今後の世界経済のカギを握る米国消費への不安が強まっているためだ。

 7月3日、3月以来の株価反発を支えてきた景気回復期待が揺らいでいる。写真は都内の株価ボード(2009年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 日本でも雇用情勢の悪化に加え、所得が低下傾向にあり、消費への影響が懸念されている。こうした中で、米株安では通常売られる輸出株が買われ、ディフェンシブ銘柄である小売り株が売られる逆転現象も起きている。 

 <雇用悪化懸念で貯蓄に回る米所得> 

 6月の米非農業部門雇用者数は46万7000人減少とロイター予想の36万3000人減を上回り、失業率は1983年8月の水準に並ぶ9.5%に上昇した。前月まで4カ月連続で縮小してきた減少幅が再び拡大。徐々に強まっていた景気底打ち期待に水を差した。2日の米ダウは200ドルを超える大幅な下落をみせ、日本でも日経平均が続落した。 

 実は米国の個人所得は予想外に堅調だ。減税や社会保障給付など景気刺激策の効果で5月の米個人所得はプラス1.4%と予想のプラス0.3%を大幅に上回った。

 だが大規模小売店売上高指数や米チェーンストア週間売上高指数など6月に入ってからの消費はさえない。5月の米小売売上高は前月比0.5%増と3カ月ぶりにプラスに転じたが、ガソリン価格の上昇による影響が大きかったとみられている。

 消費が低調な背景のひとつは貯蓄率の上昇だ。5月の米個人貯蓄は年間で7688億ドルと、統計が開始された1959年以降で最大。個人貯蓄率は6.9%と、1993年12月以来の高水準となった。「雇用などの悪化を懸念し、個人が所得を貯蓄により多く回している」(日興シティグループ証券エコノミストの村嶋帰一氏)という。 

 積極的な金融緩和や、官民共同ファンドプログラム(PPIP)の実施で米国金融問題に解決の道筋が示されたことなどから市場のリスクプレミアムが縮小。3月以降、世界的に株価は回復したが、景気に関しては期待先行の面が大きく、生産などの水準は前年と比べ依然水面下だ。もう一段の株価上昇をうかがうには実体経済の明確な回復が欠かせない。

 先進国の成長率が鈍化するなか、新興国の成長で景気低迷状況を打開する期待も強まっているが、中国など新興国の経済成長を支えてきたのは米国を中心とした外需。内需拡大だけでは成長にも限界がある。「米国に代わる世界の消費主体が現れない限り、世界経済のカギを握るのは米国消費という状態が続く」(準大手証券ストラテジスト)とされ、世界的な株価回復が続くかどうかは米雇用の行方が大きなカギを握っている。 

 <日本では米株安でも輸出株がプラス、小売りがマイナスの逆転現象> 

 日本も例外ではなく、雇用面での懸念が強くなっている。6月日銀短観で、雇用人員判断は大企業製造業で過剰感が2ポイント改善したが、依然として余剰感は大きく、非製造業では逆に4ポイントの悪化だった。設備の過剰感も依然として高い。2009年度の設備投資計画は大企業全産業で前年度比9.4%減と、6月短観としては過去最大の減少率となった。 

 企業の設備・人員削減はしばらく続く見通しで、完全失業率は5月時点で5.2%だが過去最高水準の5.5%を年末までに超えるとの予想もある。

 賃金面でも厳しさを増しており、日興シティの予測では、日本の2009年度の総賃金は2002年度の3.0%減を超えて過去最悪の5.6%減となる見通しだ。

 日本でも定額給付金やエコポイントの導入など政策面で消費を後押ししようとしているが、米国のように雇用面の不安が強い中では効果が十分に発揮されないおそれもある。 

 3日の東京株式市場では米株大幅安の翌日によくみられる業種別株価指数の動きとは異なる展開となった。米株安下で通常売られやすい自動車と電気機器は買い戻しなどで小幅ながらともにプラス。その一方、ディフェンシブセクターであるはずの小売りの下落率は33業種中4番目となった。 

 セブン&アイ・ホールディングス(3382.T)の3―5月期決算が大幅な減収減益となったほか、小売りのリード役だったファーストリテイリング(9983.T)で6月の国内ユニクロ事業の既存店売上高伸び率が鈍化するなどの材料もあり消費への懸念が広がっている。「輸出株も消費への懸念はネガティブ要因だが、場中に円安に振れたというプラス要因があった。一方、小売り株は消費への懸念がダイレクトに効いた格好だ。また生産の回復期待は続いているのに対し、米雇用統計をきっかけに雇用による消費への悪影響が強く懸念されたことも小売り株のマイナス要因となった」(準大手証券情報担当者)という。 

 立花証券の平野憲一執行役員は「1─3月期の景気は底入れしたとみられているが、あくまで生産面が中心であり、遅行するとはいえ雇用の状況は悪いままだ。7月に入って相場がさえないのは雇用の悪化が実体経済にどのように影響してくるかという不安が広がっているという要因も大きい」と指摘。日経平均が1万円を大きく超えていくためには雇用面の不透明感がある程度払しょくされることが必要だと述べている。

 (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者 編集:石田 仁志)

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